74、落語
「しょんな~」
「ょうじ?」
「う~……」
「せんせ~い!」
「つんつん」
「かむな! 俺までかむな!」
「にょむにょむ」
「なぁなぁ、キー君?」
「ろ~!」
「うにゃ~!」
絶賛群がられ中の俺である。同い年くらいの子供に噛まれていたりする。
相も変わらず対処法が分からぬ。
玩具はないか! 玩具っ!
少し気を惹く玩具があればそれを起点にきょ
口に手を入れないで……。
それにしても小さい子多いな……。
どういう集まりなんだ……?
「カナ先生、うちの子はどうですか?」
「そうですね~。昨日は聖歌の『我らが土の神よ』の部分をとてもいい声で歌ってましたよ!」
「あぁ! 家の中でもよく口ずさんでました!」
カナ先生は送りに来た子供の親御さんと世間話中……。
これは集まり切るまで待ちなのか……!
小さい子達よ!俺を弄ぼうというのかっ!
「ねぇ~!」
「どこからきたの~!」
「このこの~!」
口に手が入ってる!
髪~!
手を引っ張らないで!
あ~!
軽く動いてもしがみつかれて離れない!
これを引き離そうとしたら近くの子達をケガさせる出してはいけない領域に力の強さがなる予感がひしひしとする……。
「リク君? 声出して動かないと遊ばれる一方だよ~?」
なんかキー君が言ってるけど……どうすれば……。
こ……声を出さないと……。
な、何を言おう?
「しょうがないなぁ。お~い。ちびっこ~。その辺で一旦ストップな?
最高に役立つ話してやるから、聞きたいのだけこっちこい」
「キー兄ちゃんのお話だ! ひゃっほぅ!」
「ちゃんと座って聞いてろよ?わかったか?」
キー君の号令の下、教会のベンチに子供達は座っていった。
落ち着いて周りを見てみると周囲の子供の年齢は5歳くらいが1番多い。
小さい子は3歳くらいからいるが上はキー君が最年長のようだ。
後ろに見える親御さんの年齢も20代前半が多いかな。
中には18くらいの親御さんもいるようだが全体的に若い。
今の時間帯は午後5時くらいか。
夕食の準備とかは大丈夫なのかな?
「お~し、じゃあ、そうだなぁ……。みんな、何か恐いモノある?」
キー君は子供たちが一通り集まり大人しくなるとそう問いかけた。
「お母さん!」
「虫~」
「モンスタ~」
「隣のユリちゃんの足」
「とり……」
「ソラ先生をお婆ちゃんって呼ぶこと!」
「お黙り!」
子供たちはこぞって手を上げて楽しそうだ。
そこの7歳くらいの少年、声は恐がっているけど目線がスカートの中に入ってないか?
いつもやっていることなのだろうか?
お約束があるように流れていく。
「そうかそうか、ユリちゃん足の角度危ないよ? クミちゃんガン見しない。
ちなみに俺はお団子が怖いな」
「えぇー!? お団子ー!?」
「なんで!」
「引っ搔かないよ?」
「美味しいよ!」
「噛まないよ?」
「急に飛び出してこないよ~?」
お団子?
「お団子はなめちゃいけないんだ……。あれって1口サイズだろ?
ソラ先生くらいの年になると喉が細くなるから詰まって息が出来なくなって死んじゃうことがあるんだ。
若いからって何個も口に頬張れば喉に詰まってしまうんだぞ?
美味しいからってパクパク食べると『うっ』ってなって死んじゃうんだ。
お団子は恐い恐い……たくさんあるお団子は恐いな……見るのも恐い」
「でも美味しいよ! 私大好き!」
「私も!」
「僕も!」
「僕も!」
「キー兄ちゃん、お団子恐いんだ~!」
「お母さ~ん! お団子買ってきて~! たくさん!」
「はい! そこっ! 何を言ってるんだ~オニ君は~!
もしかしてオニ君はもうこの話知っているのかな?
じゃあ、実は王城にいる転生者から来たお話なんだけどさ。
お団子が好きな人がたくさん食べたいがための話があるんだ」
やっぱり饅頭恐いの変化球だよな。
会った時の言葉は転生者だと疑われていたのかもしれない。






