67、魔法の条件
一通り条件の確認や実験を行った。
魔力の譲渡はニーナの鼻がベストポジション。少しひんやりしていて気持ちがいい。
魔法を作るうえで確認できた条件。
魔力はエネルギーの媒体であって、エネルギーそのものではない。
魔力に蓄えられたエネルギーを利用して、魔法という現象を引き起こしている。
エネルギーは物質にはなれないので、ゴーレム作成で生まれている質量は空気と地面を材料に作成。
空気だけで作ろうとしたら、気体を固体へと状態を変えるため、辺りが一瞬真空になるとのこと。
固体から固体の方が周囲に影響を出しにくいのでという話だった。
ただ原子核を壊してというよりも、分解し圧力をかけ飛散しないように行い形を整えるという手間がかかっているらしく、崩壊による放射線の飛散を起こすことがないらしい。
そういった部分にエネルギーの大半が使われているため、見た目地味なことしか起きないとのこと。
原子や分子に関する化学の知識は魔力たちもまた転生者であるため持っているらしい。
また魔力時代にあらゆる場所を彷徨い、人へと転生した者たちがいるところへも潜伏していたため、最近の知識にも造詣がそこそこ深いという。
またゴーレムについて話を移すと、部位によって1つだけなら能力を持つように設定することは可能。
木を透明にするなど元々の構造に反することはできないが、物体に伝わってくる振動を増幅するなどは出来るとのこと。
エネルギーの増幅や遮断などは比較的に簡単らしい。
またエネルギーの噴出などにより移動したり浮遊することや吸引力を発生させることも簡単だという。
機能を使うのにはエネルギーを使うので、魔力の補給は随時必要となるとのこと。
細かく部位を区分けすることによって同じ物体であっても複数の能力を持っているかのようにすることはできる。
ただしそういう複雑なモノを作る際にはしっかり1つ1つ指示してもらわなければ正常に動くモノが作れる可能性は低い。
対応する魔力の理解度によって完成度が変わってくるため一概に結論付けられないらしい。
こういった能力をつけることは回路を作ることであり、回路にエネルギーが流れれば動くし、エネルギーが切れれば動かないとのこと。
回路の大きさで出力が決まり、1度回路を作ればその後は物理的に壊す以外に回路を変形させることができないらしい。
故障したり、動かなかった場合のアフターサービスはないようだ。
今いる一軒家をゴーレム化する場合何を重要視すればいいだろうか?
頻繁に住む場所が変わっているから何とも言えないが、少なくともしばらくはここに住む……んだと思う。住める場所が限られているニーナがいるから。
赤ん坊の段階である程度居住環境が限られるが、そこにさらに体高2mのゴールデンレトリバーが入れる場所を用意しろとなれば、新しく住居を作る以外に道がない。
そして監視対象である以上、下手に郊外に住居を作って万一があると困るため、立てる場所も探すのが困難であり、職員の住居に住まわせることもニーナの存在があるため不可能に近い。
だからしばらくは居住場所が変わる心配はしなくてもいいと思う。
またニーナがいるから機密性が高い内容を話す可能性がある以上防諜対策をしないといけない。
転生関連の話題は聞かれたら現状は一発アウトだ。
まずは壁や床、天井などに防音措置を施すべきか。
いや、それじゃ生温い。万一聞き耳を立てられていた場合被害がでないだけじゃ嫌だ。
音や振動を外から内側へと一方通行に変えればいいだろうか?
それをした場合、轟音や音響兵器を食らった場合動きが麻痺しかねない。
音量調節用に壁にもう1枚程板を張り付けてやればいいだろうか。
聞こえた音を全て同じ音量に変換する板。
いや、わざわざ板を張り付けなくても外壁に一方通行、内壁に音量調節と回路を組み込めば問題ないだろう。
次に必要なのはドアの覗き穴や窓に対しての措置。
こちらからは誰が来るのか分かれば対応は容易だ。
ドアの覗き穴や窓も光を外から中への一方通行に変えればマジックミラーになる。
初めのうちは騒々しいかもしれないが、世話役の人が報告を行えばこちらを監視しようとしていることばれていますよと伝わって静かになるだろう。
世話役の人が側を離れた瞬間が機密事項の話し合いの時間になる。
ニーナに確認してみればできることがわかったし、ささっと終わらせよう。






