62、監視部隊がいればこの人もいる
「我は走ってついてくればよいかの?」
「え、えぇ。そうですね……」
ニーナの質問にミラ先生は少し弱弱しい態度で語尾を濁らせた。
「ミラさん」
いつの間にかミラ先生の肩に裏ボスが手をかけていた。
そしてそのままくいっと裏ボスの背中へミラ先生をニーナから隠した。
「副官様」
「とりあえずの判断だがここは私が受け持とう」
裏ボスはニーナを見据えながらミラ先生に言った。
「わかりました。よろしくお願いします」
ミラ先生が少し弱った声で言うと裏ボスはミラ先生の方へ振り返った。
「おいおい、しおらしいな。お前らしくないな? あてられてるんじゃないか?」
「そ、そんなことは」
ミラ先生の頭を一頻りわしわしと撫でて裏ボスは笑い、ニーナの方へ向き直った。
「とりあえずらしくない顔は隠しときな。ここは私が何とかするから」
裏ボスはそう言ってニーナの方へと歩いていった。
なんとなくミラ先生の顔を見るとちょっと赤かった。
裏ボスの背中はちょっと大きく見えた。
それを見ているニーナの顔は目を細めていてすごく優しい顔だった。
「ニーナさんって言ったか」
裏ボスはニーナを見上げながら言った。
ニーナの体高は2mといったがそれは地面から肩までの高さだ。
ニーナの頭は3m程の位置にありちょっと離れて見上げなければ視線が合わない。
「そうじゃ、我はニーナであるぞ」
「今、あんたの主さんはそこのしおらしくなっちゃってる姉さんのところにいるんだが、さすがにニーナさんみたいな大きなのはいられないんだ」
「むむ」
「そこでなんだが私らのところで過ごしてくれないか?」
「そうは言っても我はリク殿に付き従うように作られたからのぅ」
「リク君も一緒にだったらいいか?」
「むむ」
「ニーナさんとリク君だけで過ごすっていうのはムリだぞ?
リク君はいくらすごい能力を持っていても、まだ体が小さな赤ちゃんだから体温調整がうまくできない。
だから屋根のない吹き曝しではあっという間に風邪ひいたりしちゃうからな。
それにこのくらいの年の子は人の手がないと生きていけないんだ」
「むむ」
「もちろん行動を強いるからには何か対価を出そうと思っているのだが……欲しいモノはあるだろうか?」
「特にはないのぅ。何せこの体は魔力だけで動くからの。
空気中の魔力を集める能力があるから飲食など必要とせんのぅ。
強いていえば体を多少動かせればいい程度じゃ。
それとこの体はリク殿の最良の庇護者であることを望まれておるからの。
情報はあればあるほど欲しいものじゃな。
ありとあらゆる情報をな」
ニーナ……。悪い目しているね……。






