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50、普通の赤ちゃんは

「ようこそわが家へ」


 ミラ先生が扉を開けるとそこには緑あふれる庭園と洋館のような白いお屋敷があった。

 庭園には様々な果実のなる木々が生えており、中庭には白い石の机とイスがあった。

 どこか甘い匂いがする。果実の匂いや花の匂いだけじゃない。お菓子の匂いだ。


「この匂い……」

「あぁ、旦那が作ってくれているクッキーの匂いだな。

 いつもながら美味しそうだ」


 あぁ、奥さんよりも旦那さんの方が女子力が高いパターンか。

 でもこの匂い、本当に美味しそう。

 クッキーはハードだろうか? ソフトだろうか?

 まだ顎がそこまで強くないからハードは厳しいかな?

 果物が庭に成っているということは果物を使ったクッキーかもしれない。

 ベリーの甘酸っぱいクッキーだろうか?

 すごい気になる。


「お菓子食べるか?」

「はいっ!」

「今まで1番いい返事だ」

「え?」


 は……! お菓子に気を惹かれ過ぎたか。


「ようやく子供らしいところが見えた気がするぞ」

「そうですか?」

「家にも2歳くらいの子供がいるんだが、ようやく2語文を喋れるようになったところだから」

「2語文?」

「『パパいた』とか主語と動詞だけで出来た言葉だな」

「そうなんですか」


 言語の成長面がおかし過ぎたかもしれない。


「この頃、『嫌』『ダメ』とかそういった言葉も覚えて、本当に日々成長を実感するよ」

「そうなんですね」


 これは成長惚気だろうか?

 いやしかし赤ちゃんの成長速度に関して全然検討に入れていなかった……。

 俺がモノについて考えられるのは前世補正だろうか?

 前世補正でモノが考えられるから、シナプスの構築もスムーズに行われていたりするのだろうか?

 自我の確立が今の時期、2歳半くらいに起きるのだとしたら、少し……いや、かなり天才などという言葉で片づけられるモノではないのだろうか?


 今更、普通の子供ぶってもしょうがないか。


「男の子ですか? 女の子ですか?」

「うん? あぁ、男の子だよ」

「友達になれるかな?」

「あぁ、ぜひなってくれ」


 ここで断られたら恐かったというのは置いておこう。

 よかった……。そこまで危険視されてなかった……。


 いや、危険視しているけれど、ここで断ってしまったらむしろ危険かもしれないという判断かもしれない。

 直接的には言わないけれど、間接的に接触しないようにされるかもしれない。


 なんにせよ、許可はもらった。

 できるだけ関わって赤ちゃんの常識を覚えさせてもらおう。

 そうしないと少々……いや、かなりの違和感を子育て経験者に感じさせることになる。

 もう遅いと言われても、やらないよりかはましだろう。

 そう思いたい……。













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