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ドロップアウト転生。~俺はもう後悔したくない。~  作者: きのえいぬ
幼児期

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幕間、母の想い

 異質だった。


 生まれてきてすぐ言葉を理解していた。

 声から音を真似するくらいなら理解できる。

 けれどあっという間に言葉を理解ししゃべれるようになっていた。

 それだけなら頭がいいだけで話が終わるかもしれない。


 人間は多かれ少なかれ魔力を体外に放出している。

 放出された魔力は身体から離れるに従い密度を落とし感じられなくなる。


 私は人一倍魔力の感触に長けている自信がある。

 私はこれでも万魔と呼ばれた魔法使いだから。


 魔力。これは全ての生き物に宿る力。生き物は多かれ少なかれ魔力を放出している。

 人間程の大きさの生き物が部屋にいればその魔力の存在に気づかされるものだ。

 私のリクにはそれが感じられない。


 生まれた当初は感じられていたリクの魔力は日々減少していき、ラミ様に出会ったときにはもう感じられなくなっていた。

 魔力が感じられなくなり始めた時は病気を疑ったがリクは元気だ。

 ロウソクは燃え尽きるその瞬間一際輝くという。

 不安になった私は絵本を読んでいる時に触診して気が付いた。

 魔力がないんじゃなく放出しないようにしているんだと。

 リク自身で放出を止めているんだと。


 魔力を放出しないようにしているならさせればいいと安直なことを考えるかもしれない。

 確かに少量ならそれで問題はない。

 でもそれで問題ないのは本当に少量なのだ。

 魔力は放出されれば魔法となる。

 神様の法で統制されれば魔力に応じて秩序ある魔法となって力は発現する。

 しかし神様の法で統制されていない魔力は爆発となって発現する。

 本当に少量ならそれこそ綿毛も揺らせない程度だ。

 けれど例えば1等級魔法使いであれば、立っているだけで、自然に放出している魔力の爆発で常に風が吹いてくる。

 もしだ。今までに貯めた魔力が一気に放出したら?

 大爆発となってしまう。

 普通に過ごしていても魔力は使わなければ限界量を超えて決壊し暴走という名の爆発を起こす。

 シスターリンが言った通りに。


 目を離せばどこにいるかもわからなくなる。

 とても賢いから危ないことはしないだろうけれど、普段人の気配に敏感な私にとって感じ取れないリクはずっと見ていないと怖かった。

 もし魔力を放出したら、例え私では止められなくても、止めないといけない、そう考えたら責任は重くなった。


 ラミ様に会えて本当に良かった。

 これで彼に魔法を教えられる存在ができる。

 不安と共にリクを見なければいけない、そんな日常を辞めることができる。

 しばらくリクは大変だろうけれど、暴走の危機もこれでなくなるだろう。

 ラミ様が面倒をみてくれるなら王都にいる間も安心だ。

 教会も英雄筆頭には頭を上げられないだろう。

 あの狂信者達は何をするかわかったもんじゃない。


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