3、乳児期
一般的に首が座るのは3~4か月目でそう小説内と変わりません。
6か月頃腰が安定し寝返りをうてるようになり。
7~9か月目で1人で座れるようになりハイハイもこの辺りでできるようになります。
10か月頃で足も安定しつかまり立ちができるようになり。
1歳頃、伝い歩きから徐々に歩くことができるようになります。
主人公には子育ての経験がないのでそのあたりの常識はありません。
モロー反射などの原始反射は起きていますがその辺りはあまり本編で触れられることはありません。
目の前に母親の指が来るのでつかんでみる。
この頃体にお肉がついてきた。ぷよぷよしている。
やわっこい。
この頃になってようやく物の大まかな輪郭が分かるようになった。
まだ遠い物を見るのは慣れない。
丸くて短い手指の先を伸ばし目の前の大きな指をつかむ。
指を1本つかむのがようやくの小さな手だ。
母親の指をにぎにぎしてみる。
俺の幼い肌はあまりに柔らかく、母親のきれいな指先は硬く感じた。
母親が俺に何事か話しかけている。
近くにある母親の目を見ると目が合った。
青い目をしたきれいな女の人だ。
もう少し単語がどれを指しているのか、比較できればわかる言葉も増えてくるだろう。
しばらくの辛抱だ。
へその緒から感じていた感覚は消えた。
しかし似たような感覚がへその辺りから感じている。
これは何だろうか?
首が座るまでの間、手を振り回したり、足をばたばたさせたりして運動する。
にぎにぎと手を動かして握力も鍛える。
前世では筋力がなくて苦労した。
今世では鍛えられる時に鍛えておくつもりだ。
力がなくて困ることは多くても、力があって困ることは少ない。
「いつでもできる」は余裕がある時にしか言えない言葉だ。
余裕がない時程その力が欲しくなるもの。
俺は手足を動かし疲れると、へその辺りの感覚をいじる。
はじめは何の反応もなかった、その感覚は2ヶ月程度かけると少し動いた。
誕生から3ヶ月経つ頃ようやく首が座りハイハイができるようになる。
好奇心のままに手足を動かし部屋中を移動する。
床は柔らかい絨毯。明るい黄色。感触は化繊に似ている。
手の届く範囲内には俺の体よりも大きいものが多く、すべてしっかり床に固定され動かなかった。
部屋の入り口はプラスチックのような柵があり、今の俺には超えられそうにない。
母親を追いかける。
言葉を聞いて覚えるために。
その足につかまったりすると嬉しそうな笑い声をだしていた。
すまぬ、中身が俺で。
その笑顔は俺の体の本来の持ち主に向けられるべきだ。
罪悪感はある。
でも俺は今度こそ真っ当に全力を尽くして生きていきたい。
この体の持ち主が俺になってしまったからには、俺が消えることなんて考えられないし、俺は母親の子として生きるつもりだ。
俺はキャッキャッといつも笑う。
この世界が知れば知る程元の世界に似ているから。
未来への安堵を、新しい物を見つける度に感じた。