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372、読書に耽る

 パラパラとめくり適当にページを見て気になる単語を抑えていく。

 単体ではそこまで意味を感じなくても、複数がからまると妙な絵が浮かび上がったりするものだ。

 でもこれ陰謀論にも落ちやすくなるからよろしくない読み方でもある。


 単語に対するイメージを偏らせたくはない。

 ただ周囲がどういう風に捉えているかを抑えるくらいがちょうどいい。

 使う必要はないがスラングを覚えておくくらいみたいな感じか。

 相手が明確に悪意をもって罵っているのを知れば躊躇なく踏み潰せるし。


 人はすがりたいモノにしがみつく。

 今の俺は逃げたくて仕方がないだろうか?

 逃げても仕方がないと諦められているだろうか?


 逃げる事を諦めてここで過ごす意思があれば気楽だろう。

 図書室で半年近く過ごすなんて思考をするくらいだ。考えられる。

 都合のいい妄想をして逃避しているとも思える。


 繋がらない点と点を結んでありもしない絵を描く。そうやって体が逃げなくても、思考が逃げる。

 余裕のない人が陰謀論にすがりつく様に、俺は世界の真相を触ろうとする。

 そんなモノに触ったところで何の得があるだろうか? 楽しいだろうか? わからない。


 ピラミッドは宇宙人への信号だった! とか、そういう胡乱な話は面白いか。

 荒唐無稽なモノはファンタジーだ。創作として楽しめるモノである。

 話のネタとして、空想のタネとして、日常生活では駄弁って遊べるモノだ。


 独りよがり。自分の中で完結しようとする。

 話のネタになるとか考えても、そういう話を俺はしたことがないだろ。

 ただそういう話をしている人がいたなと、頭の隅から引っ張り出して羨ましがっている。


 頭が余計な事しか考えない。本が頭に入らなくなってきた。

 1人でやる趣味事に外を求めるな。自分が楽しければそれでいいんだ。

 自分が楽しくなければどんな素晴らしい出来事も砂の味になる。


 余裕が欲しい。


 それには安寧が必要。


 そのためにはリク君が必要だろう。こんな思考ですがりつくのが申し訳ないが。

 自分の身1つで全てが完結できればとゴーレムになったはずなのに、リク君がいなければ生活ができなくなった。

 どうしてなんだろうな。本当に馬鹿をしたんだな。


 机の向こうでリク君は自分の手元にある本を読んでいる。微笑んでいる。

 リク君は何を思って生きているのだろう? 今のこの時間はなんだろう?

 リク君は生きるのに余裕があるんだろうな。そうとしか思えない。


 生きるのには土台が必要。普通の人なら社会があり、金銭を稼ぐ事で生きられる。

 俺の場合は社会の保障にすら引っかからないゴーレムだ。魔力でしか生きられない。気がする。

 魔力なければ動かないのは間違いないが、食事を魔力に変化させられないと誰が言った?

 できる気はしないけれど。


 食事で得られる魔力は食物に含まれていた魔力だ。

 いや、それは感知した他所の魔力で、自分で生産していた分ではない?

 食物に含まれていた分はどこかで生産されたモノのはずだ。


 食べ物を分解し動くためのエネルギーを回収する。アデノシン三リン酸とか懐かしい。

 魔力はどこからエネルギーを回収し、赤子でも大地を数十m近く削るような力を出させたのか。

 どう考えても普通にしてそんなエネルギーを得られるわけがない。


 魂とかいうよくわからないモノが根源なのだろうか?

 肉体や物質に関係しないエネルギーがそこにあると?

 思念などが影響して? 植物にも含まれるのだから思考とかではないかもしれない。


 やっぱりよくわからない。そういうモノとして思考を投げ捨てるのがいいのか。

 ここを深掘りしたらリク君に頼らずとも生きられるかもしれない。

 選択肢を増やせるなら選択肢を増やした方が気楽になれる。


 リク君の事が嫌いなわけではない。

 嫌いなわけではないが、命綱がリク君しかないというのが怖い。

 それ1本だとそこに尻尾を振って生きるしかなくなる。さもなくば死か。


 魔力に関する本とかはないだろうか?

 神話関連をざらっとあさってもヒントにはならなかった。

 いや、今の俺の浅い知識では糸口が分からなかったが正解か。

 ここにある神話には少なくとも魔力との関わり方が書かれているはずだし。


 魔力とは何か? みたいなモノは研究者の間で話題になっておかしくない。

 なんだかんだ関わるモノだから、どういった性質を示すかは研究されるだろう。

 魔力はどこから来たか? みたいなモノは宗教の闇に落ちていそう。

 神様を調べるモノだー! それをその様な方法て調べる事は我々が許せない! とか、色々宣われそうだ。


 人を調べるために解体してもいいですか?

 生きている人を開いてもいいですか?

 宗教家からしたらそういう風に言われているのと大差ない。かもしれない。知らんけど。


 可能性。憶測。結局は何も見えていない。

 自分勝手に世界を見ている。

 触らずに外から偏見で騙るのは楽だよな。


「ねぇ、何見ているのかなー?」


 ぎゃふん!


 ……なんだ、ヤツか。というか近いな、おい。

 机に座るんじゃねぇ。むだに悪い顔をしやがって。

 このぬいぐるみ野郎も着いてきていたんだわ。


 存在ごと消えてしまえばいいのに。


「図書室では私語厳禁」


 という名目で黙れ。


 魔力に関する本を探しにいかないと。

 魔法とか魔術とかでもいいか。

 何か取っ掛りがあるかもしれない。


 永久機関の野望はどこにでもあるだろう。

 追加の労力なく動かし続けられるモノとか美味しい。

 動かし続ける限り利益を得られるのだから。


 永久機関の研究からの流れで魔力の産生方法とか調べるのは有り得るはず。

 魔力の産生には生体部品が必要とかなるのだろうか?

 生きていれば形は問わないとかありそう。暗黒の研究になりそうだな。


 どこまでが命があるという判定になるのか。

 脳だけでも生き残れば魔力を産生できる?

 魔力カートリッジという名の外道装備が作れそう。

 犯罪者は加工し魔力カートリッジにして都市のエネルギー運用に使われますってか?


 その方向で魔力の運用研究がされてたら俺の役には立たないな。

 魔力の中の意識の魔力さんも正しく動かなくなりそう。

 暴動を起こして都市崩壊? 研究室爆散かな?


 魔力に中身がいるというのがやはり意味が分からない点だよな。

 魔力はナノマシンとかそんな感じの存在なのだろうか?

 ある一定以上の塊に個体としての意識が生まれるとか。


 魔力を使って何かをするという方面の発展は高そう。

 魔力そのものの扱いは……たぶんリク君方面からのアプローチで研究が進んでいそう。

 リク君が量産可能かもしれないという想定で研究されていたら本当に怖い。


 ナノマシンみたいな人工物が魔力だったら?

 赤子が使用量をミスって爆発させる仕様ができないだろ。

 むしろ出来なくなる様に制限をかけるはずだ。してくれ。

 そうでなくても爆発しているみたいな様子がうかがえるんだ。人工物だったら怖すぎだろ。


 何かの間違いで出来た人工物だったら有り得るか?

 安全性皆無で存在が事故。でも使い勝手がいいみたいな?

 でも人工物だったとしても、どこからエネルギーを持ってきているんだよ。


 元からエネルギーが多く含まれていて、直ぐに爆裂する様な危険な物質だったとか?

 存在そのものが崩壊しかけていて、何かしらの触媒を使ってそれを加速させ、エネルギーを取り出すみたいな。

 魔力って原子力発電か何かか?


 その線でいくとして、どうやって魔力に再利用可能なエネルギーをいれるんだよ。

 食料みたいな微細なカロリーじゃほぼ無だろ。無からエネルギーが湧いてきてるじゃないか。

 そうなると魔力さんが怪しいか? 人間そのものがエネルギー補給していないのだ。そこ以外にやっている相手がいない。


 生命体を目印に魔力さんが魔力にエネルギーを補給している?

 ゴーレムは生命をもたないと見なされ補給を受けられない?

 人間になれという神様の言葉は、生命を持っていると魔力さんに認識させろと、そういう意味で言っていたのか?


 わからんわ。


 もしそうだとしても生命を持っていると認識させる方法が分からない。

 これは神話の方に類似な物語があるだろうか?

 でもさっきみた限りだとゴーレムとか人形とかそういう類の話はなかった気がする。難しい。


「シロ、ごめんね。もう時間になっちゃった。とりあえず部屋に戻ろうか」


 がーん。


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