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370、要望

 1時間半。それ以降は何か用事があるという事だろうか? 何があるのだろう?

 単純に図書室にそんな長くこもる気はないという事かもしれない。

 そもそもリク君は本を読む……いや、この本棚を備えていて読まないなんて事はないな。俺ならない。


 本の虫はおいておいて、どれを読むかの選定が大事だ。

 国語の授業で必ず通る物語みたいな、定番中の定番の作品は大事だ。

 話のタネとして優秀だからな。倫理観みたいなのもここで醸成されているかもしれない。

 まぁ、同じ教育を受けても同じ様な倫理観や衛生観念にはならないのだから、参考程度にもならないかもしれないが。


 鉄板中の鉄板は幼少期に読み聞かせられた神様の寓話か。

 実際に神様のいる世界で聖書は根底として固いな。

 だがここの神様は全知全能というわけではないだろう。

 自分の得意分野の才は大きいだろうがそれ以外は疎そう。

 まして人を救おうと手を貸してくれはしないか?


「リク君は『これは誰もが読んでいる』みたいな本はここにあるのかな?」


 教科書の中の作品はあまり深い興味を覚えた事なかったな。

 そう考えると手元に残す感覚からは遠くなるかな?

 本はやはり自分で見つけて繰り返し読んだモノの方が感慨深い。


 人におすすめされて……という類で好きになったものは少ない気がする。

 まぁ、深い付き合いがなかったので好みとかも全然分からなかったからか。

 そもそも読書の目的が昔から人のフリをするためみたいな感じだし。

 それでも全然人間できないけど。考えるほどに遠くなる。


 宗教が根底にある世界だと聖書ありきで話が進むのだろうか?

 日本の場合だと基本はお天道様が見ているになるだろう。

 日本は無宗教という割に信心深さがあるのが不思議。


「それだったらこの辺りかな? 歴史的古典とかはここら辺にあるよ」


 リク君に連れられ部屋の奥の方の本棚のところに到着。

 古典ってなんか図書室とかだとやたらと角っこにあるのはなんでなんだ?

 古典コーナーみたいな感じで、一纏めにされがちなのも不思議。


 背表紙の文字がなんか時代がかっている。でも本自体は新しい。

 復刻版とか改訂版とかだろうか? 現代語訳されているとかもあるな。

 現代語訳されていない作品はほんと変なところで(あれ? これはこういう意味かな?)と推測してたまに外した。

 過去の風俗を理解していないと正しい理解ができないんだなと、改めて基礎知識の重要性に気付かされたモノだ。


 勉強は目の前にある知識を利用するためのモノ。

 いくらパソコンやネットで検索できたとて、どういう風なモノがあるかなど薄っすらでも知らなければ検索することができない。

 一部だけ知っていても利用しようとした際に致命的な被害が発生するとかもある。特に法律関係が踏みやすいイメージ。

 想定外の使い方で損失が出るのは機械が多いか? ネコをレンチンで乾かそうとかね。ネコが死ぬわ。


「高いところの本が見えないね。僕が8段目に届く様な踏み台って用意ないかな?」


 高さ的に4段目がギリギリ取れるかなという程度。小さい体は不便だ。

 大き過ぎても不便なのだろうが、小さい体はどうにも使い勝手が悪い。

 本の大きさもこの手には大きすぎる。A5くらいのサイズの本は捲りづらいだろうな。


 本を持ち上げると目が近くなり過ぎて辛いだろう。

 机の上に広げて捲るという形になるだろうか?

 イスに座ってだと角度的にキツいだろうからイスに立ってになるのか。

 なんかすごい嫌だな。譜面台みたいなところに本を置いて立って読むのが良さそう。


 小さい体だと本をいい感じに読むのにも色々器具が必要そうで面倒だわ。

 大きな体が恋しい。適切な身体サイズになりたい。切実に。読書が捗らない。

 まぁ、小さい体にもメリットはあるだろう。たぶん。戦闘なら有利だ。被弾面積が少ないし。


「あー。ごめんね。ちょっと用意がなかったよ。後で用意してもらうね」


 それはまぁ予想していた答えだろうから気にならない。

 むしろ用意があった方が怖いまである。

 何をどの程度まで想定しているのかって感じで。


 用意してもらうならちょうどいい高さの譜面台とイスがセットになるといいな。

 この体は成長しないというなら、ずっと使える代物になるだろう。

 書き物とかも出来れば情報の整理に役立つだろうか?


 書き物をするとしたらノートも欲しいか。

 端書用のメモ帳も欲しい。適当な思い付きをメモするのはノートと別がいい。

 ノートは思考の整理も兼ねて、系統立てて書きたいし。


「踏み台以外にも欲しいモノがあるんだけど、今頼んでもいい?」


 目に入る本のタイトルを適当に追う。

 神様が関係しているだろう話が多い。古典は宗教色が強いのかもしれない。

 会える神様がいるからこその特色だろうか?


 まぁ、簡単に会えるわけではないから、実感は少なさそうだが。

 ここの神様は頼みを聞いてくれそうでもない。

 あくまでそこにいる隣人くらいの感覚か?


 環境を変える程の力を持つ隣人か。怖いな。

 利用しようとすれば災厄を招くような相手かもしれない。

 悪人にとっては災厄すらも都合がいいか。


「大丈夫だよ」


 悪人に変なちょっかいをかけられて、妙な厄災を起こされるのが困るから、宗教団体が周囲を固めているのかもしれない。

 いや違うかもしれない。ちょっかいをかけられてやばかったから自警団で周囲を固めた。それが時を経て宗教団体へと姿を変えたとか?

 そもそもここの神様という存在がどういうものかが分からないから悩ましいか。


 生態系から考えて、人間が急にどこからか現れたみたいな雰囲気があるんだよ、ここは。

 過去の痕跡が分からないといえばいいだろうか? 石から鉄へと変わった時代の痕跡が分からないとでも言うべきか?

 転生者の存在も含めて、技術が別の場所から株分けされて生えてくるみたいな、気持ち悪さを感じている。


 魔物の存在もなんか違和感を覚える。

 前世で読んだ図鑑の生き物に似た姿でサイズがおかしかったりしているし。

 近しい環境で近しい姿に進化したとしても何か違和感。


「ありがとう。それじゃあ、あそこの机だと今の僕の身長だと使いにくいんだ。僕の背に合わせたサイズの机が欲しいな。できればだけど机の天板の手前の高さを低くして、ちょっと角度をつけて欲しいんだ。手前の縁に板をつけて落下防止をしてくれるともっと嬉しいよ。それとその机に合わせてイスも欲しい。ノートとメモ帳をそれぞれ別に、あと筆記具も欲しいんだ」


 ここの世界は元々魔物だけしかいなかった。

 そこにどこか別の世界から人間が侵入し拠点を作成した。

 王都を中心に真円状に拠点を作成し、そこから百年か二百年が経過した世界とか?


 百年か二百年じゃさすがに短いな。パッと見、世界は平和だし、世情も安定していそう。

 異世界渡航できる様な文明がどこかで頓挫しているとは思うが、それは遠い昔な気がする。

 一度文化が断絶する様な事故が起きなければ今の状態にならないのではないだろうか?


 数種類くらいしか魔物を見ていないし、動物と魔物の違いも理解していない現状なにも言えないか。

 地下水脈のカニとかナメクジとか魚に、飛行船から見た空のトビウオとかクラゲ? みたいなのとか、あと森のクマさんか。

 飛行船の中の図鑑で見たゴリラとかもたぶん魔物判定でいいんだよな?

 噂だけは聞いているスライムとかも気になる。


 魔法も理解ができるモノでもない。魂云々もややこしい。

 人によって容量が大きく変わるし、どこからそんなエネルギーを引き出しているかわからない。

 よくある設定に魔法はナノマシンが作用してという設定も、魂云々が混ざる事で説明が難しくなる気がする。

 異世界渡航できるほどの文明があれば機械で魂に干渉できるのだろうか? わからない。


「そうだね。用意しておくよ」



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gqch13hqlzlvkxt3dbrmimughnj_au0_64_2s_15


gto0a09ii2kxlx2mfgt92loqfeoa_t53_64_2s_d
― 新着の感想 ―
演技モードに入ればわりと社会性の高い言動できるんですよね……でも……。
[一言] デカい脚立が必要そう
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