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359、眠っている時の姿は?

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

「石像であるか。なるほど」


 本当に石像になっていたかは実のところ定かではない。

 石像になったというのは想像でしかない。何せ目で見たわけじゃないし。

 ただ状況的に石像になっていたのだとは思う。


(言い訳の悪魔)


 格下げされた? いや、概念化なのか? どうでもいいな。


 まぁ、石像になったかどうかは正直どうでもいい。

 身動きのとれず意識もない時間が十年とかそれくらいあったという事だけは確かだ。

 その間なにがあったかも知らない。何をされているかもわからない。


(同人みたいな事はたぶんないよ?)


 考えていない。そんな事を考えていない。


(マッドサイエンティスト的な研究とかもたぶんされてないよ?)


 考えてないわ!


「まぁ、実際はどうだったかは見てないから憶測でしかないけど、リク君、実際はどうだった?」


 見ている相手がいるなら聞けばいい。


(大分回り道したよね)


 うるさい。


 想像だとスリープモードになり最低限の防御へ魔力をあてて耐えていた。

 周囲の魔力が切れるまで魔力による防御でダメージが入らない。

 屋外だから常に微量ではあるが魔力が漂っているので燃料切れがない。

 魔力が防御する時は魔力由来の攻撃でないと突破できない。

 魔力由来の攻撃はゴーレムの性質上分解され吸収される。

 そんなクソみたいな仕様がありそう。じゃなきゃ十数年か髪の毛とか細い部分が欠ける事もなく過ごせない気がする。


(魔力のない空間に閉じ込めた上で魔力が完全に消費しきるまで物理攻撃無効ってクソゲーだね……)


 体が小さいからスリープモードでの魔力消費量はほんと微量だろうな。

 魔力による防御の仕組みは理解してないが、物理防御に掛け算じゃなくて、膜を作る様にコーティングされ、存在の位階を上げる様なモノじゃないだろうか。

 その位の理不尽じゃなければ壊れてそうだし。


(君って寝ている間に何が起きていると思ってるの? 高い所から落ちたり、寒暖差や風雨、飛来物で傷つくとか思ってるみたいだけど、そこまで酷い事は起きてないと思うよ?)


 最後の記憶的に城壁から落ちたり、台風の様な強い風雨で飛んできた木々や屋根材などがぶつかる可能性とかあるだろ。


「石像というよりはビスクドールかな? でも触ると少し柔らかかったよ」


 ……。


(同人的な何かは起きていないと思うよ?)


 考えてないからな! そもそも表面が多少柔らかくても関節が曲がるとは限らないし、最後の体勢的にそういう事はしにくいはずだ!


(そういう事ねー。まぁ、そういう事をした相手がいたらリク君が許すとは思えないから大丈夫だと思うよ)


 良いのか悪いのか……。


「魔力を与える程柔らかくなったりしてそうだな」


 土塊を素材にゴーレムとしての身体を生成した。

 まぁ、魔力で変質させているから土がそのままというわけではないと思う。

 だがタンパク質程の分子の長さや柔軟性があるかは分からない。そう考えると魔力が抜けたら硬くなっていきそうだ。


 土と言ったところで組成は場所によって異なる。

 酸化アルミニウムとか二酸化ケイ素とか酸化鉄とかが多いとは思うけれど。

 火山が近ければ硫化物とかも混じるだろう。カルシウムだって含まれているはずだし、その他色々な成分があるのを想定できる。


 そういう成分をいい感じに整えて体を生成したとすれば、例え魔力が切れたとしても柔らかいかもしれない。

 ガラス製の骨とか合金みたいに組み合わせられてたらそれはそれで楽しそうだ。

 鉄とかで出来ていたら電気とか撃てるかもしれない。


(でもタンパク質になっているかもね)


 それはそれで……いやでも意味が分からん。

 炭素をどこから持ってきたというか、原子を分解とか融合させまくったうえに分子に整えてと手間が多すぎる。

 手間とか言っているけど、そうやって作っているのかも分からんし。


「あぁ、それはあったかも。僕がつかんだところから血の気が戻っていったから」


 この体マジで分からん。


(魔力をいい感じに加えれば姿勢を自由に整えられると)


 発情期か? 欲求不満か?


(ねぇ、知ってる? 女子の方が下ネタエグいんだよ?)


 はぁ、そうですか。


(え? 檻? あれ? 空間が閉じられた? 暗い?! 息が苦しい……?! なんか体がボロボロに……)


 これであいつの意識を全て処理出来たら楽なんだけどな……。


(えへ?)


 秒で復活しやがった。クソ。


「とりあえず1週間かからないくらいで石化しちゃったから俺の方は大して近況はないが、そちらは見た感じ色々あったのだろ? むしろそちらの話を聞きたいな」


 イメージ的な分身は全身というか全体じゃないモノな。

 サイズ感とか考えると指人形に近いのだろうか?

 指ごとまとめて叩いてるから痛いは痛いだろうけど致命傷は狙えない。


(殺意が高いよ……)


 相手の全身を知覚し、切り落とす必要がある。

 そもそも自分の全身を認識しているかと言われると怪しいか。

 自分を認識し、それ以外を切り捨てるのがいいか?


 まぁ、まとめて魔力を消費し、リク君達に仕分けをお願いするのがいいか。

 自分でどうにかするには相手が悪い。

 でもどうやって俺とあいつを判別するのか気になる。


(私が本体と認識される可能性もあるもんね!)


 それが一番困る。


「そう言われても難しいでござるな。リク殿の業績が大変大きく、そして多いからのぅ。なんやかんやあって王家とはまた別の一大権力者になったとでも言えばいいかの?」


 なんかあの犬へんな事言い始めたぞ。


 王家とはまた別という部分が怖いんだが。

 経済的な権力者か? 宗教的な権力者か? それとも自治都市とか何かを持ったそんな権力者か?

 最後はないか。今王都にいるのだし。


 軍に顔が利くという事を考えると王家に反旗を翻す様な組織ではないだろう。

 経済的な部分はすごそうだな。飛行船を自由に飛ばせるくらいだし。

 宗教の線も強そう。神様の位置づけ的には土属性は最下位かもしれないが、人の神という目で見ると信者が一番多そう。

 リク君は神子と呼ばれ誘拐された前歴があるし。


 神の偶像としてこの姿かたちは大変有用だろう。

 その方向性で人手を集めるのはけっこういけるのでは?

 地位と知名度のある狂信者も身近にいたから、既存の宗教への影響力も高そうだ。


「なるほど?」


 指示がメインで自分の作業が少なければ同じ時間で出来る事は増えるだろうな。

 どうしても手が必要なところだけ、手を下せば色々と業績も出来そう。

 リク君一派としての業績になるかな?


(魔力等級の高さとかゴーレム作成とかリク君にしか出来ない事は多いから指示メインとも言い難いかも?)


 低い等級がスコップだとしたらリク君レベルになると重機だろうな。

 ゴスっと大きく進めて、細かいところを人にやってもらうとか。

 危険な場所は不死に近いゴーレムに任せれば何でも出来ると。


 大規模建設がもしや一番向いてる仕事だった?

 ゴーレムは薬品とか爆発物とかを扱う分野とかに有効か?

 研究とか建設とか本当にすごい強そうだな。


「そんな大した存在じゃないよ。僕はただ出来る事をしただけだからね」


 その出来る事を想像しただけでヤバいと思ったんだよな。


 宗教絡みだから既得権益関係もちょっかいを出しにくそうだ。

 神敵とか言われて悪評を山の様に積み立てられた日にはやってられないだろう。

 ましてそれが国教と言える様な宗教なら特に。


 神輿となるリク君の存在が強すぎる。

 ゴーレムが身を守る事により、暗殺をする事すらも難しい。

 敵対は出来ないとして、獅子身中の虫として汁を啜るくらいがせいぜいか?


「リク君が動かなければそうはなってないだろう?」


 反逆とまではいかないレベルでの浪費か。

 浪費先を他組織の管轄でする事で何とか力を削ぐ?

 それでようやくバランスが取れた環境が生まれるだろうか?


(リク君を陥れたいの?)


 ちゃうわ。リク君の組織が強すぎる場合、他の組織がどう動くか想定していただけやわ。


 あと想像した内容はたぶんある程度許容してるだろうな。

 お金は適度にばらまかないと失脚した人達の怨念で事が進めにくくなるから。

 あそこの組織って調子にのってない? とか悪評を立てられると諸々行動への支障が出るものだ。


「そうかもね」


 リク君は柔らかく微笑んでいた。







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― 新着の感想 ―
[一言] ほんといったい何やってるのやら
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