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351、ベッドの上で

 近くにいてほしいかどうか。いたところでどうしようもない。

 だがだとして離れてもらうのは、それはそれでこの頭のヤツに煩わされ続けて、メンタルが死に続けるだろう。

 でもいてほしいのか? いてどうなるというのだ? 話しかけたりするのか?


(話をしなさい。話をするべきなのよ。君は人と話をするのをおろそかにし過ぎなの!)


 おろそかにしているつもりはない。話すべき、伝達すべきと思ったらしている。

 関係各所に話が通っていないことは大概やっかい事の元凶になるからな。

 伝え方の順番だって考えるし、どうしたら話が通りやすいかだって考える。


(君のそれは仕事のための言葉でしかないよね? 理解している癖に何も言わないのバカでしょ?)


 つらいとか助けてとか言えと? そんな事してどうなるっていうんだ。

 そもそも元凶のお前がつべこべ言うなよ。

 下手に関わると女々しい状況に陥ってお前が大歓喜な感じになるだろ。


(そうなるとしたら君がそういうことを望んでいるからじゃない? 望んでいるから「私が望んでいる」なんていいながらそういうことを想像できるのでしょ? 何が違うの? 違わないでしょ?)


 違うだろ。というか俺の想像の大半はたいてい昔読んだ小説とかが元になっているとすら思う。

 本来の俺は人間になんて興味ないしな。中学以前なんてそれが顕著だった。

 ただ見て。観て。診て。言語化しないまま人間以外の世界をずっと見ていた。


(はいはい。君はそう言い訳を繰り返すのね。ニンゲンヨクワカラナイって幼稚園の頃に思って比較的に単純な身近な自然にだけ目を向けていただけでしょ? 周囲は君が分からないって思ってたと思うよ?)


 だとしても人間は面倒だ。理解し難いモノだ。小説の様なわかりやすい関係性もない。

 起承転結もない。大まかに1本の筋になる様な関係性も存在しない。

 チェーホフの銃だったか。作中に登場した道具や伏線は登場した以上は必ず使われるべきみたいな決まり事などもない。


 そんな世界は何が正しいと判断すればいい?

 どうやって読み解けばいいのかの解法がないんだ。

 俺がわからないと思って何が悪い?


(逆ギレ? 分からない分からない喚いているのは君だけでしょ? そもそも全てが分かると思っていないでしょ? それなのに分かるべきは傲慢じゃない? 分からないのだから伝えなさい。分からないことをしっかり伝えなさい。それはできるでしょ?)


 分からなければいけないことがだいたいタブーの領域になるのだが?

 そういうの聞けるわけがないだろうが。

 もう少し聞きやすい内容なら俺も困っていないんだよ。


 そもそも敵とか味方とか簡便に分けられない。

 昨日の敵は今日の友? 今日の友は明日の敵にもなる。

 そもそも味方と思っているのは自分だけとかな。


 真面目だが陰キャっぽい大学生が電車で友人っぽい人と仲良さそうに話しているのを見た事がある。

 その陰キャっぽい大学生が自分の降りる駅で降りたと思ったら、その友人っぽい大学生が複数人の同クラ? と車内で合流して、悪そうな顔して答えか何かを共有してたの。

 陰キャっぽい大学生は友人っぽい大学生に利用されてたんだなって、あの光景を見てて俺は思ったよ。


(ねぇ、君のトラウマスイッチはどれだけあるの? 百式?)


 この程度をトラウマとは言わない。

 フラッシュバックが起きる様なものでもない。

 それに誰かが損しているわけでもない。


「大分重症かな?」


 なんて返せばいいかのネタ出しがまるで出来なかったではないか!


(上様。暴走してるのは上様だけですぞ)


 爺はうるさい。


(黙りませぬ。爺は上様のためを思ってですな)


 自害するのですぞ。


(殺意! ねぇ!!! ネタに乗ったのに!)


 乗ってくれとは言った覚えはない。


「けっこうきてるかも」


 分離手段を思いつかないのも大きいか。

 しっかりとした自我が相手にあるなら境界線を作るのも簡単な気がするのだが、どうやって境界線を引くかが分からない。

 魔法で分けるのがいいと思うのだが、発動キャンセルを食らったのがキツ過ぎる。


(夫婦喧嘩は犬も食わないだけだよ?)


 誰が夫婦だ。お前が魔法を消したのだろう?

 いや、そもそもこの体の中で魔法が使えるのか?

 魔法無効化の体だ。魔法自体が使えない可能性か。


(私がいるから使えるよ?)


 使えるんかい。というかお前がいるから使える?

 魔法を阻害している相手がよりによって杖だと?

 それは何の間違いだ? 地獄じゃないか。


(私を君は捨てられないよ? 君に干渉出来る魔法を使えるのは私だけだし)


 最悪の寄生虫だ……。


「とりあえず傍にいるよ」


(でも私さえいれば君はどんな魔法も使えるんだよ? 私ほど便利な女もいないよ?)


 それどんな売り文句? 性嫌悪気味の俺に刺さるわけないよね?


(そもそも本当に嫌悪してるの? そう思いたいだけじゃないの? 関わらない方が楽だからそう考えてるんでしょ? 君の中ではこの性別はこうあった方がいいみたいな感じあるじゃん。君は自分をその中のどこかに置くのが出来ないんでしょ? だから嫌。諦めたい。避けたい。ねぇ、何か違う?)


 ズバズバ言える私スゴいーってなってない?

 別にすごくないから。

 そもそも俺が性嫌悪気味だからって何か困る事はないんだが。


(いや、むっちゃ困ってたじゃん! 手のひらドリル? 舌二枚どころか十枚くらいあるんじゃない? 意識丸ごと嘘をつくのヤバいよ? 今本気で言ってたよね? 病気?)


 うるさい。


「ありがとう」


(最近の若者は怖いねぇ……これがキレる若者ってヤツかい? のぅ、爺さんや?)


 俺が最近の若者で一括りにできるほどそこらに転がっていたらそんな世を儚むわ。


(確かにそれはとても生きにくそうかも)


 目線で察せ合戦が行われるだろうな。

 言葉が足りない世界になるのは間違いない。

 一寸先は闇どころか、一秒後には事故が起きてるんじゃ?


(君はなんでそんなに自分を信じないの???)


 信じられる要素がどこにあるんだよ。


(君は少なくとも人に迷惑をかける事に喜びを見出す様な存在じゃないでしょ? ケンカをふっかけに行くわけでもないし、モノを壊したくて壊す事もないよね?)


 それは文明に関わる以上、最低限のルールだろう。

 そこを守れない存在がいると治安も何もないだろ。

 少なくとも人間として生きたい俺は守る部分に違いない。


(世の中、それが出来ない存在の方が多いよ?)


 だがその人達はそれをするという事が何を示すのかを学んでないだけだ。

 環境がそれを許さなかった、間違った学習をさせた。

 俺はただそこは考える頭があったから、対応出来ただけに過ぎない。


(そう。でも君は出来ているのでしょ? 認めてもいいじゃん。君にとっては小さい事かもだけど、君は出来ているんだから認めてあげなよ?)


 その程度は出来ているに入らない。


(ばーか)


 ばーか。


「手でも握った方がいい?」


 何故? なにゆえ? なぜ?


(人は不安になった時誰かの手を握ると安心したりするモノなんだよ?)


 え? それはアニメとかマンガとかの演出だけの話じゃないの?


(君はもう少し人と触れ合う必要があるね)


 お前はまじでウザいな。その触れ合うがマジで出来ないのが分かってるだろうが。


(じゃあ、私と触れ合お!)


 どうやってだよ!


「お願いしてもいい?」


 お前!? もしかして口を!?


(さーて? 本当に私がやったかな? どうだろうね?)


 いや、お前しかそんな事を口走るヤツいないだろうが。


(君が君の口で言ったんだよ?)


 嘘だ!?

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[一言] さーてどうなるかねぇ?
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