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350、部屋に戻る

 自分で頑張る。これは自分の意思で決めたことだろうか?

 いや、どうしたところで自分でしか対応できないだろう。

 本当にそうだろうか? わからない。だが共有してどうなるというのだ。


(どうだろうね? どっちだと思う?)


 うわ、うざい。すごいうざい。確定させないのも疑心暗鬼を深めさせようとしてくるのもうざい。

 自分の意思だと考えても、それが左右された結果のモノだと笑われている可能性がある。

 自分の意思じゃないと考えても、それが左右されていないモノだとしたら勝手に影響を感じているという事だろう? どっちにしろ笑いが止まらないな? 畜生。


(うふふふふ)


 性格悪すぎてキモいわ。断言してくれたら気楽になるだろうに。

 いや、ならないな? 嘘の可能性を否定できないし。気色悪。

 胃がムカムカしている気がするわ。吐き気もおきない体で最悪すぎる。


(まぁ、末永く付き合いましょ? 時間はお互いたくさんあるのだから)


 すごい滅したい。


 円卓勢が視界の端をわちゃわちゃしているのがよかった。

 心の中の天使と悪魔というには数が多かったが、うざくはなかった。

 あれらは自分の一部だしうざいわけがない。


 客観視のし過ぎで自意識が薄くなっていたから良くなかっただけだ。

 自分の中でこの立場だったら? をキャラ化しているだけの存在だった。

 どういうモノだが理解しているはずなのに、それに傾倒し過ぎた。


(でももういないの)


 うるさい。


 自分がするべき事を把握しろ。自己を明確にしろ。

 自分の欲求か、ヤツの欲求か区別しろ。

 ヤツのしたい事に乗せられるな。


(でもそもそも私が君じゃないと、君はどうして言えるの? 私は君だよ?)


 リク君に色目を使う段階で俺なわけがないだろ。


(君だよ? 君はリク君に依存し、それを恋愛混じりの感情へと変化させていた)


 なわけがない。ありえない。そもそもそういう抱く頭が俺にはない。


(君は本当にそう思っているの? 自分が依存できる人なんていう奇特な相手に何にも思っていないわけがないよね? 君は嘘つきだよ。自分に対してよく嘘をつく。そういう性質があるでしょ?)


 ありえない。リク君は依存相手じゃない。強いて言えば子供だ。

 無垢な魂に俺の意思を受けてしまった可哀想な子だとも言える。

 俺が関わらなければもっと普通な人生を歩めた子なのだ。


 そんな子に対して欲情する? ありえない。有り得ていけない。

 あの子に対し、俺が抱くのは罪悪感であるべきだ。被害者なのだから。

 手をひかれ進むのは状況に流されたからに過ぎないんだ。


(嘘をもっともらしく語るの、本当に得意だよね? 私じゃなくちゃ信じちゃいそう。表面というかある程度深層まで本当にそう考えている。そうだと信じている。でも君は分かっている。目を塞ぎ、違うと否定しても、どんなに自分を嘘で包んでも、君は気付いてる。君はそういう生き物だから)


 嘘つきだとしてもリク君へお前が抱くような感情を抱くわけがない。

 本だったらなるだろう行為は多少想像しても、自分が抱くはずもないモノだ。

 そもそも人間は俺にとって同族ではない。同族足りえない。


「シロ、疲れてる?」


 中に敵がいると休む暇もなくなるんだよな。

 この調子で俺が疲れていくと人と関わる事が危険になるだろう。

 マントルまでモグラが如く掘り進んでやろうか?


 途中で燃料切れしたら丁度いい。深ければ深いほど発掘される危険がなくなる。

 もう誰にも迷惑をかけず、人と関わる事のない空間へと行ける事だろう。

 なんかすごく冴えた方法な気がしてきた。誰にでもできるたった一つの冴えた方法かな? いや、誰にでも出来るわけないか。


(あのー……。私が悪ノリしたのもアレなんですけどね? 自暴自棄はよくないと思います!)


 カマキリについたハリガネムシよりもクジラについたアニサキスかな? 寄生虫の種類としては。

 あぁ、でもお前は繁殖するのか? 切ったら分裂するし増えそうだな。増えたらすごいうるさそうだ。

 想像するだけでイヤすぎる。細かく分けて「あ」とかも言えない状態にしてやりたい。


(だから殺意が高すぎるんじゃあ!)


 ? 当然だろ?


「ちょっと話したことだけど、頭の中にうるさいのがとりついたんだよね。対処はたぶん自分で出来るけどしばらく疲れやすいかも」


 このくらいは言っておいてもいいだろう。いいのか? いや、言うべきだ。

 もし自分で出来るが対処能力を過信したが故の妄言だったとしたら、俺の暴走で迷惑を被るだろうリク君には伝えておくべき案件になる。

 リスク管理的な事を考えれば言わないという選択肢はない。


 さっきはアレに口を塞がれていた可能性がある。

 自覚なく乗っ取られるというのは地獄。

 疑心暗鬼が止まらなくなる。全てにおいてよろしくない。


(私悪い事はしないよ……ホントだよ……?)


 信じられない。本当にしないとしても自分の体を貸す理由、貸していい理由がない。


「そっか。大変だね」


 撫でられた。抱えあげられた。何が起きた?


 いや、分かる。分かるが分からない。

 なんか優しく微笑まれてる。マジで何を考えている?

 リク君、君は俺に何を思っている?


(とりあえず負担を減らしたいんじゃないの?)


 もしかしてお前とリク君は手を組んでるのか?

 わたわたされても困るが、サラッと受け入れられるのも怖い。

 受け入れるのが早いところが何か予定調和を感じる。


(ないない。第一どうやって協調するの? 連絡を取り合う手段もないし、リク君が私を認識する事も出来ないのに)


 何をもってそう断言できるんだ?

 あの水晶窟の意味深集団の手下だと思っていたが、そもそもリク君の手駒だった可能性がある?

 そもそもあの意味深集団がリク君の傘下ではない保証もないか。


「ありがと」


 まぁ、でも、うん。気遣いとも見えるから礼は言う。

 リク君はそういうタイプだとは思いたくないが、気遣いの押し売りしておいて要らないって言ったらキレるタイプがいるし。

 面倒事は避けたい頭が抜けない。抜く必要もないか。


 余程の迷惑を被る時以外は要らないというのはなんかキツい。

 そもそもの話、俺はこの強い体でないなら、関わる価値が薄いだろう。

 俺というソフトはどう足掻いても欠陥でしかない。


 勝手に行動し、人にろくに相談もせず、グループに加わることもない存在。

 輪の中に入れない、入れる気がしないから。そんな言い訳ばかりを繰り返す。

 人間性に欠けていると言わざるを得ない。


(私は違うよ? 君がいいんだよ?)


 侵略者はうるさい。


 そもそも体だけはそこそこ優秀なんだよ。体だけは。

 どんなにハードが良くても、ソフトが貧弱なら役に立たない。

 COREI7(新しい方のCPU)とか1テラ(大容量メモリ)とかそんなハードをWindows98(過去の遺物)みたいなソフトで動かすが如きだ。


 過去の遺物とか言ったが、設備の互換性の問題でまだ現役で動いているところがあると聞く。

 だがそんなメリットもない俺に何故価値があると言える?

 お前も体が目当てなんだろう? このスットコドッコイ!


(っ痛っ! なんか浮気男みたいな感じに言われて叩かれた?! お姉さんは体が目当てじゃないですよ! 心が目当てですよ!)


 大変申し訳ございませんが、友人にもなりたくないので、速やかにお引き取りください。


(お姉さん悲しい……! 君に好きと言われるまで帰らないんだから!)


 好き。言ったよ? 帰ってくれるかな?


(酷いっ!)


「とりあえず部屋に戻ってきたけど……ベッドで休んでる? 到着まであと少しだろうけど、近くにいた方がいいかな?」






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― 新着の感想 ―
[一言] 単離しちゃうしかないな
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