33、不安
その後母さんに抱きかかえられてちょっと空中遊泳をした。
空中に浮かんでいると車の揺れを感じなくなり、母さんが何か魔法を使ったのか揺れで響く轟音が大分小さくなった。
息をするように空中へと浮かぶ母さんはすさまじい。
普段からこうしているんだろうか?
やはり魔法を日常的に使えた方が便利だと思う。
それに楽しそうだ。
俺は浮かんでいる感覚を楽しみキャッキャッと笑った。
前世、成人男性の姿でやったらドン引きするな。
今世、赤ん坊の姿でこういう風に笑わなかったらそれはそれで恐いが。
赤ん坊にスタミナはない。
少し楽しんでいたらいつの間にか眠りの世界へと落ちていた。
おぼろげな意識の中両親の声が聞こえた。
「こうしていると普通の赤ん坊みたいなんだけどね」
「そうだな」
「でもこの子は賢い。賢すぎるといっても過言じゃないと思うの」
「天才っていうやつだ」
「そんな言葉で済ませられるものなの?」
「だがそれが事実だろう」
「この子は仮面をかぶっている気がするの」
「仮面?」
「いい子供であろうとする仮面」
「そうか」
「何かに対する反応が少し遅いの」
「うん?」
「どういう風に動けばいいかを考えてから動いているというか……反射的に動いていないの」
「そりゃ……赤ん坊なんだから知らないことに対して少し考えるくらいのこと普通じゃないのか?」
「そうかもしれないけど……」
「大丈夫、不安になることはないさ」
「えぇ……」
……ダメかもしれない。
目が覚めると先ほどまでの記憶が曖昧になっていた。
何かとても不安を感じる内容だった気がする。
わからない。
でもどうしていくかはわかる。
今は流れに身を任せるしかない。
関われるだけたくさんの人と関わり未来に不安がないように環境を作り替えていくしかない。
自由に生きるためには必要なことだ。
魔法。早く使えるようになりたいな。
体の中のこの力も圧縮して量増やして循環させて体の外へ逃がさないように動かし続けるのも呼吸するようにできるようになってからドンドン身体能力が上がっている気がする。
力加減を間違えないように気を付けないとだめだ。
魔力というエネルギーを外へ放出しないようにしているせいか、身長もけっこう伸びるのが速くなっているんじゃいかとおもう。
体の節々が痛い。成長痛だと思う。前世で経験したのと似た痛みだ。
巨人にならないよな?
大きい体格は魔物など居る世界では戦闘向きということでありがたい。
ただあまりに常識から外れた体だとそれはそれで困ることがおきそうだ。
怪物扱いとかされたら困る。






