表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
328/383

326、ベットの上でゴロゴロと

 重機な仕事。他の人には難しい出力が出来るのが強みなんだよな。

 話せない内容もそれは機密なモノがほとんどだろう。

 機材と違ってリク君本人がもろもろ理解しないと発動できないだろうな。


(機械は操作する人が理解すればいいけど魔法は違うからねぇ)


 それが機密の塊になる理由だろう。最先端技術は迂闊に話せる内容じゃない。

 リク君ほどの高魔力保持者がいない以上、リク君でないと確かめられない事象がたくさんある。

 ゴーレムを作れるあの転生者がリク君並の魔力を持ってたりするだろうか?


「リク君は大変? 楽しい?」


 お母さん地味た事を言ってしまった気がする。

 でも内容に踏み込めない以上、そちらにシフトするしかない。

 機密は話せないから機密なのだ。


(ねぇ、逃げてない?)


 逃げじゃない。


(あのさ、機密はあるかもだけど、多少は話せる内容はあると思うの)


 推測できる情報を引き出すのはあまりよろしくない。俺にハニトラとかさせるつもりか。

 替えのきかない存在だろうが、情報を漏らす存在に、任せられる仕事なんて存在しない。

 そうやってリク君の情報を熱心に聞こうとする部分、やはりリク君の敵の組織のモノだな。


(あぁ、もう! 違うの! 多少は踏み込んで話を広げれば、行きたい分野の話とかにもっていけるじゃない!)


 それでリク君の信用を損なう様な真似はできない。


(倫理観が強い!)


 人としてどうかと思う。


(都合いい時だけヒト気取りか! 自称ヒトデナシ!)


「そうだね。楽しいよ。未知の開拓だもの」


 幸せそうな微笑みだ。本当に楽しいのだろう。

 穏やかな瞳をしている。目線の向こうには何が広がっているだろうか?

 技術の地平線だろうか?


(急にテレビの職人さんに対するナレーションを入れるんじゃない!)


 その道何十年、鉄を打ち続けた男の瞳は何かを捉えた。


(あ、あほだ……。え? 私? その槌は……んぎゃあっ!)


 悪は潰えた。


「リク君、僕さ。何か仕事がしてみたいんだけど、出来たらだけど何か紹介して欲しいな。簡単なのでいいよ。僕自身で探していいならそうするよ」


 探すよりも作る方が楽そう。

 仕事として成立させるためには誰かに必要とされるべきか。

 分かりやすい目安が金銭。お金を払ってでも頼みたいか。


(ねぇ? また1人で完結しようとしてない?)


 金銭のやり取りがある段階で対人になるわ。

 こういうのがあったら使う? みたいな提案が楽か。

 世間一般が要らないとしても、必要としている人がいればそれは仕事足り得る。


(なんかまた変な自論を)


 金貸しとかがそうだろう。高利貸しとか例え貸された人が不幸になるとしても、その時はその人が必要としているのだ。

 首が回らなくなって、実質的な奴隷になるにしても、それを選んだのはその人だろう。

 その状況に陥るまでに対処出来なかったのも大きいか。


(うん。なんで私を見てるのかな? 何かな? 私がそういうもんだと思っているのかな?)


 変な組織の奴隷として過ごしているのに、あくまでも自分は自由意志で動いているみたいなつもりだよな。


(よし。表出ろ! ケンカ……ぐはっ)


「どうしたの? 何か欲しいものがあるの? 買うよ?」


 なんか怖い。いや、普通に怖い。

 籠の鳥に向ける瞳をしている気がする。

 外に出たら生きられない生き物を見る目かもしれない。


(実際に外に出て3日くらいで石になって、十年近く死んでる様なモノだったもんね)


 それはそう。


(自由に旅していると思っていた君が石になって飾られているのを見たリク君は何を思ったんだろうね?)


 あー、うん。複雑だろうね。


(あの時のリク君、泣いて引き止めてたよね? 胸にどれだけの凝りが出来たんだろうね?)


 君は何が言いたいんだ?

 もしや大人しく籠の鳥になり、ペットとして飼われていろとでも?

 俺がそれを許容できるわけがないだろ。


「欲しいのは人の繋がりかな。だからお金では買えないよ」


 人間性は元より欠如している。

 根本的に利害でしか判断が出来ないのだ。

 性的興味にも欠ける。個人に対する興味が薄い。


(諦めたら?)


 そこで試合終了。人生ゲームオーバーだよ。バカ。

 色々大事なモノが欠けていようが、思考で疑似再現すればいい。

 ポンコツな頭だから、完璧な再現は出来ないだろうが、癖強い人に見られる程度には模倣できるとは思う。


(今のままでも変な人くらいのニュアンスでいけるかな? そこに関してはそれ程気にしなくてもいいかも?)


 油断大敵。いつだってこれでいいだろが事故の元。

 違和感から猫被りと思われたらむだに嫌われる。

 素直というか、率直な人の方が、好まれやすいし。


「そうなんだ。でもそれっているの? シロには僕がいるよ」


 怖いわ。漫画だと目をぐるぐるにしてる表現で描かれそう。

 やはりペットみたいな感覚で扱われているのでは?

 それはあまりよろしい状況ではない。


(まぁ、でもリク君の考えも分かるよ。君は危なかっしいしね)


 変な事は自覚している。でも俺は自由が好き。

 囚われていい事はない。その制限は俺が望むものではない。

 ゴリラの毛毟り。犬猫の身食い。リストカット。そんな感じの事に手を出しそうだわ。


(ゴリラで一瞬頭が飛んだわ。ストレス感じたゴリラが自分の体毛を毟るとか知らん! それが真っ先に例えに出るって何なの)


 知らん。なんかゴリラが出てきたんだわ。

 ストレスでお腹壊すゴリラでもいいかな?

 動物園のゴリラはお尻から出たものを投げるらしいぞ。


(ゴリラ情報はどうでもいいんだわ)


「それは健全じゃない。それに他所を見て学べる事は多いんだよ」


 その場所で一番上手くなったとして、全体の平均にすら届いていないなんて事はある。

 攻撃乱打してるだけで十分勝ててしまう環境にいたら、防御とかコマンドキャンセルとか駆使するゲーマーには勝てない。

 まぁ、どこぞの格ゲーの世界大会で無名の海外選手が優勝し、その地元だとその選手は上から2桁の実力だった。

 そんな頭のおかしい井戸もなくはない。


(君は格ゲーしないよね? 友達いないしゲーセンにも行ってないし)


 知っているものは知っている。


(君はほんとよく分からないよ)


「そっか。じゃあ、僕の方で準備するよ」


 苦笑する様にリク君は微笑む。

 優しい瞳をしている。

 何の感情が含まれているんだろうか?


(リク君に用意してもらえてよかったね)


 勝手に動かれるよりも自分で管理出来た方がマシなんだろうなと思ったよ。

 こちらの世界で誰が危険、どこが危険なんて、詳しい話を知らないし。

 転生者知識なんて下手に使えば通報されるかもしれない。


(いや、そこまではないと思うよ)


 では君が今ここにいる理由は?

 いい様に扱われた結果、俺の中に閉じ込められたんだろ。

 あの飼育施設みたいなところで管理されてたんだ。


(あー……。うん。まぁ、そういう事にしておこっか)


 異論がありそうだな。上に従えばある程度外に出られたとかだろうか?

 見えない首輪に行動範囲を制限されているヤツめ。

 君の本体はそもそも死んでいるのだろう? 死ぬまでどころか、死んでもこき使われているヤツが何を言う。


(いや、うん。そうだね……)


「そっか、ありがと。ちなみにどんなお仕事を用意してくれるのかな? 運搬とか肉体労働系の方がこの体の特性を活かせていい感じだよ」


 簡単には死なないのだから、危険地帯での運搬作業は得意だろう。

 大物は体が小さいのでバランスが取れない問題があるか。

 2人か3人で運べば何とかなるだろうけど。


(ありの引越し業者……)


 小さくて力持ちと言われたらそうだろうな。

 巣の周りにあるモノで自分達の必要とするモノを全部作り上げていく様は参考になる。

 とても面白い生き物だと俺は思っている。


(ちーび……ぷぎゃぁ)


「そっちは大丈夫かな?」


 なんか意味深な目をしている気がするんだが、何を考えているんだろうか?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
gqch13hqlzlvkxt3dbrmimughnj_au0_64_2s_15


gto0a09ii2kxlx2mfgt92loqfeoa_t53_64_2s_d
― 新着の感想 ―
[一言] 実はリク君に脳内音声聞こえてる説
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ