表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
298/383

296、車内に入りました

 列車は大きく、前から見ればたぶん家が走っているとでも思うだろう大きさだった。

 列車の側面は通路があり、中央に部屋と思うような空間があった。なんか不思議。

 列車の大きさ的に車輪は4列だったりするのだろうか? わからない。


 壁にはイスが固定されており、端の装置を弄る事でベッドが展開される仕組みの様だった。

 部屋の中央には机があり、それと合わせる事でベッドの両端が支えられ安定するらしい。

 2人部屋と考えるとちょっと狭いかもしれないが、寝台付き列車と考えると広すぎる。


 列車の車両1両につき8人か10人くらいしか乗れないとして、この1台にかける費用は如何程だろう。

 新幹線の車両は1両で数億円? 1日でこの車両は40人乗せられるかな? 何年使えるだろう?

 仮に十億を5年で稼ぐとして1年で2億? 40人で割って1人頭1年500万の負担だろうか?


「シロはそっちにする?」


 パスポート制だと考えたら事足りるのだろうか? いや、少ない? 人件費とか施設費もあるだろう。

 見たところ3両くらい? 千人くらいで支えている? もっと多い? わからない。

 実際に乗らなくても、パスポート制なら都合がつけられそう。毎日満員とは思えないし。


 いや、そもそもフルでも40人も1日に乗せられるかもわからない。

 1年1人2500万払って? とかは色々厳しそう。

 それをするだけの価値は国家的にはあっても、私人としてはないだろう。


 国が支援してという形であれば何とかなるかもしれない。でも採算が取れなさすぎだな。

 今後の技術の広がりを考慮してという形でなんとか? 基礎研究は大事だし。

 潤沢な資金で動かせる試験環境とかだったら研究者大歓喜かな?


「うん。いい?」


 だとしても見た目的にけっこうお金がかかっていそうなんだよな。

 試作機だとしても富裕層が使うから最低限の質をというヤツだろうか?

 このツヤツヤの木製のフレームとか、手間暇かけられている気がする。


 木というか、植物の類は魔法で育成を早められるから安価かもしれない。

 鉄とか金属はそういえばあまり見かけない。冒険者? の武器くらいだろうか?

 だがあれも上の方となると竜の牙とかを材料に使うかもしれない。

 電気を通す以外の金属の性質は他の素材に劣る扱いを受けていそうだな。


 あの謎に多用されるプラスチックも樹液を加工したモノなんだと思う。

 もしかしたら素材が無料に近いかもしれない。そしたら大分コストが下がりそうだ。

 だがしかしこの列車が木製で軽量が過ぎた場合、スピードを出したら浮くのだろうか?


「もちろん」


 浮くくらい軽い場合、動かす分には燃料が少なく済みそうだが停まり難そうだ。カーブで死ねる。

 正面の面積も大きいし、車体の下に入り込む空気の量も大きくて、強い揚力を生むかもしれない。

 さすがに浮かばない様にする仕組みとかあるか。じゃなきゃ人を乗せられない。

 形状とか工夫して空気の圧力で速度上がる程に上から力がかかる角度になっているとか。


 そもそも木だから軽いというのは先入観か。重い木があってもおかしくない。

 あのよくわからないプラスチックもそう。魔法関係含めて、この世界には知らないモノが多い。

 ちょっと考えただけの色々足りていない俺が全てを見通せるなんて思うな。

 俺に出来るのはあくまで予想なだけだ。それも不完全な。外れる事の多い。


 このイスのクッション部分の絹の様に柔らかい布も、俺には絹だとは判断しきれない。

 絹にしてもカイコのまゆを利用したモノ、クモの糸を利用したスパイダーシルクなど判断つかない。

 そもそもこれが虫由来ではなく、植物由来のモノであってもおかしくはないのだ。


「ありがとう」


 リク君を見ると早速ベッドを倒し、そこに転がってこっちを見て微笑んでいた。


 うん。そこは年相応なのね。いや、本当にそうだろうか?

 これはそういうパフォーマンス? 遠慮するな的な。疲れが見える俺を気遣ってとか?

 ただまぁ、そう考えないと今までの行動と方針が食い違って見える。


 そもそも疲れを露骨に示していただろうか?

 いや、状況から見て、そういう風に見えていたのだろう。

 コロコロと人格が切り替わっている様を見れば一目瞭然だったか。


 ここで俺がイスに座ったら空気が読めないヤツ的な感じにならないだろうか?

 それは流石に被害妄想が過ぎるか。ただリク君が選択肢を増やしてくれたくらいに思う方がいい。

 問題はベッドに横になるかどうかだ。身体的には疲れていないしな。悩む。


「僕は出発まで横になるよ。出発したら車内食の配膳もあるからご飯はちょっと待ってね」


 ……リク君も疲れているのかもしれない。いや、疲れていてもおかしくないんだ。

 あの移動時のトラブル率を考えたら、心労が積もりに積もってもおかしくない。

 本当だったら移動して、見学するだけで終わりだったはずなのだ。


 予想しない事が山となって押し寄せていたのだ。

 飛行船で遭遇した怪物、怪物との戦闘、特攻し消える俺。

 風呂に行き変態と遭遇。その後の俺の落下と回収作業とかも。

 心労の原因がほぼほぼ俺だよな。ごめんとしか言えないわ……。


 こうやって傍にいるのも、離れていた時に問題を起こし過ぎたからじゃないだろうか?

 バカ力があるのに、それを考えない様な問題ばかりを起こして、迷惑をかけ続けたんだ。

 悪いのは俺だろう。目を離したら危ない状態にばっか陥るんだから。


「じゃあ、俺も眠ろうかな」


 ここで離れて面倒を起こしたら見捨てられるかもしれない。

 たとえそれが俺が原因じゃない事だろうと、トラブルがやってくるなら、トラブルと俺は等号で繋がれる事になる。

 一緒にいるとそのトラブルを解決しないといけなくなるなら、段々と鬱陶しいとか面倒とか関わりたくないと思ってもおかしくない。

 その果ては拒絶だというのは想像に難くない。


 少なくとも今は問題を起こすな。トラブルを招く様な行動をするな。

 これ以上リク君に心労をかける様な事を起こしてはいけない。

 リク君と一緒にいたいなら特に。


 でもなぁ。トラブルに遭いたくて遭った事はないんだよなぁ。

 いや、うん。それは言い訳だ。もっと気を払え。トラブルを死ぬ気で起こすな。

 向こうからやってくる? それが一番の難題なんだよなぁ。


「できる?」


 いたずらっぽい目でリク君が見る。楽しんでいる雰囲気を感じる。

 面倒な相手と思われていたら、今このような目で見る事はないだろう。

 ただだからといって今はまだ許してもらえているだけでしかない。


 迷惑をかけ過ぎて申し訳ない。だがそれを顔に出してはいけない。

 顔に出せば気を遣わせる。気を遣っていると思わせてはいけない。

 それは相手に疲れを自覚させる行動になり、やけにさせる恐れがあるから。


 人と遊んでいる間はそこまでのモノと思わなかった行動も我に返り自覚した時すごく疲れる。

 楽しい思い出が強ければそこまで疲れを自覚しないかもしれない。

 でも俺は人を楽しませる事は出来ているだろうか? 何かをあげる事は出来ているだろうか?


「たぶん。ここのボタンを押せば広がると思うのだけど間違いはないかな?」


 さっきリク君がベッドを開くのを見ていた。

 それに物理的なギミックだ。どことどこが連動しているかは見える。追える。

 念のため確認はしたけれど、これでミスを起こすとは思えない。


 バカ力を自覚している。だから壊さない様にゆっくりと押せばいい。

 触る。少しだけ押す。それ以上の事はしない。バカみたいな圧をかけない。

 ボタンを押すだけで何か面倒事が起きるとは思えない。


 ……いや、油断は良くない。今までのトラブル率を考えてみろ。

 無から爆弾が発生し、ボタンを押したら大爆発を起こすくらいあり得る。

 よく見ろ。本当にただのギミックを作動させるだけのボタンで間違えないか?


「ふふふ。どうでしょう?」


 いや、怖いわ。















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
gqch13hqlzlvkxt3dbrmimughnj_au0_64_2s_15


gto0a09ii2kxlx2mfgt92loqfeoa_t53_64_2s_d
― 新着の感想 ―
[一言] うっかり力を入れすぎてボタンが戻らなくなる可能性か( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ