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278、説明会だった

 厳つい男性軍人の号令で開始した講義はサラサラと進んでいった。

 スクリーンに映される動画で見る転生者達は一先ず幸せそうだった。

 資料の酷さを思うとスクリーンの中の姿は異様だとも思った。


 あと画面には女の子か女の人しかいなかった。

 いや、子供の内はまだ男の子みたいな子もいたけど、それも年を経る毎に減っていった。

 行って中性的。男性的な人は大人の年齢になるともういない。うん。なんだこれ。


 文明レベルはそこそこ高い。食料と住居、衣服に不自由はなさそう。

 仕事は農作業が中心。魔法で遊ぶ人もそこそこ多く、たまに爆発が起こる。

 いや、うん。なんか映る画面のどこかしかで爆発を起こしてる。ヤバい。


「であるからして彼女らの力は有用な面もある事は確かであるが危険性も大きい」


 解説によると魔法の使い方などはこちらからは何も教えていないらしい。

 魔法を使って自分で機械を作る事が出来るので、それで文明レベルを上げているとの事。

 魔法の使い方や機械の作り方をこの施設で解析し、適宜王都に情報を送ってもいるらしい。


 その場で出来る事が多い。特に魔法で遊ぶ事に夢中になってる事が多いのがよく分かる。

 新しく使えるようになった力って遊びたくなって仕方がないよな。分かる。

 しかもそれを利用すれば地球での生き方の真似事も出来てしまうんだな。


 生活に様々な不足はあれどそれ以上のプラスがある。

 力の使い方は自分で探索できるし、結果的に独自性の高いモノになっている。

 外を目指しても安定はないだろうし、安全な内側にこもるのが楽なのだろうか。


「この様な状況のため現在はこの分野の技術の発展が著しく発見もまた多い」


 ここでは何が話されているのだろう? リーダー気取りとかはぐれはたくさんいそう。

 マウントの取り合いとか多かったら……うん。居たくない空間になるだろうな。

 なんか一人で色々作ってたら猿山からウキャウキャ来て荒らされそう。すごく嫌だな。

 猿山の猿には話が通じないし、交渉も何もない気がするし。想像するだけでストレス。


 あるライン超えたら猿山の猿に対抗するための組織が出来るか。

 自分よりも頭がよく人格が出来ていると思われる人のところに集まると思う。

 自分の身を守るために専用の組織を作るのはある意味当然の流れだと思うし。


 あぁ、そう考えたらスクリーンの中の人達はそういう人の集まりな気がしてきた。

 自分が一番になりたい人達は自分に従う人を集めて端にいそう。

 その中で頭がいい方の連中が交渉関係をする……かもしれない。

 いや、でも結局は餓えたりしない程度には食料確保できそうだし、性根も何も変わらず山賊的な振舞いをしているかもしれない。


 というか日本人だけが転生しているわけないよな。言葉毎に集落出来ている気がする。

 余計に争いが激しくなって面倒になるやつだ。言葉の分からないヤツは暴力でとかね。

 そもそも年代も一致している可能性があるのかさえ分からないんだ。

 同じ国の出身でも言葉が通じるか怪しくすらある。色々不安だわ。


「別の世界の存在ではあるが、我々人間と同様の姿や社会体制を持つため、一部の行動様式は似ている。けれどもこの様に集めて生活させてみると我々と大きく異なる集落を形成する。これは家々の材料の違いなどではなく、生活形式の話である」


 まぁ、まだスクリーンの中の一部からの想像でしかないのだけど。

 解説も注意事項に触れるのがほとんど。具体例としてスクリーンに画像を示すばかり。

 説明は誤解を少なくするために単純にしているからかすごく頭がヒマ。


 解説の通りであるなら成人男性立ち入り禁止になるだろうか。

 もしここに行くとしたらリク君は行けないのか。そうなるはずだよな。

 ここにわざわざ来たという事は現場視察もするよな? それは俺だけでいくのか?

 添乗員もとい案内の人がつきそう。いや、だとしたらリク君が着替えた意味は?


 そもそも中に行く理由はないよな。行ってどうするというんだ。

 しかしこの説明って中に入るための諸注意だよな。

 もし俺をこの中に閉じ込めようというならわざわざ説明する理由もなし。意味が分からない。


「彼女らに我々という外界との関わりを少なくさせる事が必要になるため、彼女らと直接関わる事は許可できない。また男性諸君の存在を見られる事で、余計な刺激を与えるのは避けたい。この施設にある監視装置を使い彼女らの生活を垣間見る事や、ここで衣食を疑似体験する事などは問題なく出来るので、この次第ご了承いただきたい」


 ……。ちょうど考えていた事の答えが出てきた。


 一般に開放するには刺激が強そうな情報が多いから限定公開という事だろうか?

 擁護派も否定派もある程度納得する様な状態にするのが目的だろうか?

 ここは割かし否定よりの派閥向けの説明会かもしれない。内容の感じ的に。

 黒い意見もなかなか多いのが魔物対策ですよ感がある。


 いや、否定も肯定もなく、ただそういう魔物だと捉えている派閥か。

 こういう性質の魔物だからこういう風に利用できるだろうという感じの。

 魔物は利用して当然という頭の何かを感じる。マッドなサイエンティストかな?


 そもそもリク君がどこの繋がりを持ってここに至ったかがその選択にかかわっているのか?

 軍というよりも研究路線で、今の地位を築いたとしたら、この説明会も理解がいく……のか?

 あの図鑑とかを考えると急先鋒に近い立ち位置だとすら思うんだよな。


 なんかそう考えるとリク君が黒に思えてくる。

 リク君がこういう風になる様に里を整えていった可能性とかないだろうか?

 いや、さすがにそこまでの事はないか。リク君が絡んだとしてもそれは最近のはずなんだ。


 幼少期に見た光景から考えて、この施設はそんな新しいモノではないだろう。

 画像や動画を見る限り老人も軒並みという感じだし、何十年と営まれている可能性が高い。

 一定年齢以上がいないとかは……あれ? どうだろう? ご老人の年齢は分かり難いし。


「受け付けられる質問は少ないが、このタグをつけた者に問い合わせ頂ければ答えられる範囲でお答えしようと思う。以上でこの説明会は終わりとさせていただく。ご清聴ありがとうございました」


 腰が曲がったという人は少なかった気もする。

 ここの農作業、生育が早すぎて雑草取りで中腰姿勢を取り続けるとかなさそう。

 病害虫も発生前に収穫が終わってるし、その世代がやられたとしてもすぐ焼いて新しい世代を作り始めるとかも出来そう。


 土中の栄養素はどうなっているんだろうか? 学園で見た様な水耕栽培なのだろうか?

 畑でそこまで急速に成長させたらすぐに土中の栄養素は枯渇すると思うんだよな。

 根粒菌を利用した土中の窒化物を増やす方法も、菌類の作用で行っている事だからいくら魔法があっても一定以上は速度上がらないと思うんだけど分からないな。


 あぁ、うん。とりあえず一定以上の年齢がいない場合、何らかの事情で隔離されているとは思う。

 もしくはその年齢まで生き残れなかった理由があるとか、そんなところがありそうだ。

 特徴的な能力を示せず今後も生産性がみられないとか、なんかそういう理由で処分とかされていたら本当に実験動物か何かみたいな扱いだと思う。

 ただそれをしてもおかしくなさそうな説明会の内容だった。悩ましい。


「シロ、終わったよ」


 大丈夫、気づいている。完全に意識を飛ばしているわけじゃない。

 考え事が多すぎるだけなのだ。実地検分はしてもそれを判断する知識もないのが辛い。

 もし住民と話をしても、知りたい事を聞けるだけのコミュ力が俺にはないのよく知ってるし。


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― 新着の感想 ―
[一言] 女の子と男の娘とお姉さんと男姉さんしか存在しない集落。
[一言] シロちゃん思い至ってない( ˘ω˘ )
感想一覧
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