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27、中郭の街からの出立

 そして日は明ける。

 この街を出発する日だ。

 艶々した顔の両親が仲睦まじそうに歩いてきた。

 乳母車の中から立ち上がり手を振ってみると笑って手を振り返した。

 心は大分晴れやかなようだ。

 俺がいたことで出来なかったことをたくさんできたのだろう。

 車という集団生活特有の鬱屈さも街に来たことで解放されさぞかしお盛んになっていたことが想像に容易い。


「ちょっと離れていたけど元気だったか? リク?」

「はい。元気です。父さん!」

「そうか、そうか」


 父さんはそのごつごつした手で俺の頭をなでると抱え上げて高い高いをしてくれた。

 体が空気中で自由になるふわっとした感覚は気持ちよく自然と笑顔になった。


「皆さん、集まりましたか? それでは出発の時間ですが準備はいいですか?」

「おーっ!」

「返事がいいですね。それではまた長い旅が始まります。行きましょう」

「おーっ!」


 ニキさんが号令をかけて護衛のメンバーも車に集まり出発をするといろいろな人の別れを惜しむ声が聞こえた。

 ニキさんの影響力の大きさがよくわかる。


 そして車中の旅にまた舞い戻った。

 俺は乳母車の中、乳母車は壁に固定されて動かない。

 つかまり立ちで車の振動に耐えながらバランス感覚と筋力の強化に励む車の旅だ。

 ただそれをしているだけだと思考に余裕があるので考え事を深めていく。


 今後の人生のキーパーソンになりそうなニキさんと仲良くなるため何ができるのか。


 今の俺だとどうしたところで舌足らずなのだ。

 意識していても俺の発音はまだほかの人と違うのがわかる。

 赤ちゃん言葉になっているのだ。天然物の。


 そんな舌足らずの赤ちゃん言葉で悪ぶったり、ドヤ顔しても、可愛いだけだ。

 まぁ、今はそれでもいいか。

 可愛いというだけでも人を引きつけるのにはいいからな。

 そこに俺の魔力量の豊富さも合わせれば有用な人材として見てもらえると思う。

 あとは……何が必要か。


 力があっても振るう技術がなければ使い物にはならない。

 ハサミだって使い方次第で紙1枚でなんでも作ってしまう。

 しかしそれにしたところで技術がなければ作れる物が限られる。

 せっかく鍛えた力だ。

 自由に使えるようにしないともったいない。


 俺だけの特性……。

 そうだ。髪の毛にも魔力を詰められると思うんだ。

 皮膚の下までなら魔力を循環させることができるんだから。


 もう少し魔力の扱いの精密さをあげられるようになったら髪の毛でちょっとアクセサリー作ってみよう。

 もしかしたら魔法に反応して強化魔法が反応するようにできるかもしれない。


 あ、この方法は危うい……。

 資源として俺の髪の毛を使うということは使いすぎれば丸ハゲだ。

 そうじゃなくても長い方がアクセサリーにしやすいよね? ってなれば髪の毛を自由にできなくなってしまう!

 生体兵器って扱われるようになったら監禁ルートじゃないか。


 これは人に見せるのは断念しないと。

 俺の体は俺の物だ。

 やりたいことをするためには隠さないといけないことは山ほどあるのだ。


 魔力は循環していないと徐々に消えてしまうし、ただアクセサリーにするだけじゃすぐに効果はなくなると思う。

 今までの抜け毛にしても魔力は既に抜けているだろうからたぶん問題はないはず……。


 髪の毛で輪を作って循環させる?

 いや、導線にはできそうだけれど輪っかにしたところで髪がくっついているわけじゃないからムリか。


 髪の毛を編み込むことで魔力の通り道を作り回路を形成……。

 そうして魔法を発動させる……。

 これはなんかできそう。

 これはちょっと研究が必要だな。

 まずは髪の毛伸ばさないとだ。


 それにしても魔力を毛の1本1本にまで浸透させることか。

 できるようになれば夢は広がるな。

 どんなに魔力が大きくても触ればどかんの爆弾じゃやっていけない。


 練習あるのみ。



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