274、地上に着いた
コロナどこで拾ったんだろ……() とりあえず治りましたので更新しました!
自宅療養期間まだ残り1週間ある……()
飛行船から降りるとそこは軍の基地の様でした。足元コンクリっぽいなぁ、コレ。
いやでも滑り止めに砂利を混ぜているだけで基本は例の謎のプラスチックか。
ほんとどこにでもあるな、コレ。
うん、普通に着陸出来ちゃったよ。え、嘘ぉ……。絶対に何かあると思ったのに。
俺の事だから着陸失敗したり、なんか良く分からないピタゴラスイッチで変なことが起きると思った。
今までの流れ的にそうじゃん! なんか急に縄梯子で降下する事になって途中で怪鳥にさらわれるとかさ、そういった不可解な出来事が起きると思ってたんだよ! 何で着くの!
いや、着いて欲しくないと思ってたから妙な出来事がたくさん起きていたのでは?
もしかして無事でいたいとかなんかそんな妄言吐いていたから事故が起きてた?
そして事故が起きろみたいなニュアンスの事を考えていたから何も起きなかった?
「ようこそ。リク殿。こんな辺境によくぞおいでくださいました」
ブルドッグ似の軍人が険のある目でリク君に挨拶している。
頬の肉の垂れ具合といい、夜更かしを繰り返したような肌といい、歴戦の軍人感がすごい。
なんかとても偉そうだ。いや、でも現場の上の方ではあるけれど、幹部とかではなさそう。
いかついけれど怖いとは思わない。手を出してくるメリットがないのが大きい。
世の中、中途半端なヤツ程とんでもない事をするモノだ。この雰囲気からしてもガチ勢。
そもそも要所を守る立ち位置の人が腐っているわけがないのだ。
腐る可能性が一番高いのは田舎だろうな。近くに脅威がない場所が特にそうだ。
小さな規約違反に目をつぶって徐々にルールをローカル化させていく部分とかあると悪質。
それが起因して面倒事が起きると隠蔽を考えたりし汚職が生まれ腐っていく。
「ガイ署長、お出迎えありがとうございます。あくまで軽い視察に過ぎません。そうお堅くならないでください。こちらにいる子が例の子ですよ」
あー。うん。あー。あー。あー。
いや、例の子って何だよ。どんな話をしてたんだよ。むっちゃジッて見てきてるじゃん!
あ、いや、わざわざ中腰にならなくていいから。目線合っても何を話せばいいか分からんから!
とりあえずニコニコしておけばいいか? それはそれで難しいな。ムスっとしない様にしよう。
しかしどうする? この人の事何も分からないぞ。階級が署長という事くらいか?
たぶんきっと事前に連絡が行ってお出迎えの体勢を整えていたのだろう。
それってどれくらい前からだったのだろう? 分からない。
どういう風に伝えられているかも分からないが、ただの子供ではないと伝えられているのでは?
どういう態度で話すのが妥当なのか。少なくとも子供っぽく話す意味はないだろう。
大人の様な言葉ぶりで行くのが正解な気がする。いや、たぶんきっとそう。
「初めまして。シロです。ガイ署長、本日はこの様な席を設けていただきありがとうございます」
役職名は敬称となるんだよな? いや、なんというか敬語関係、そんな使ってきたわけじゃないし。
普通の人とも関わってないのに、偉い人と話す口とか出来てないんだわ。
なんちゃってな敬語レベルでしか使える気がしない。王宮関係の小説もっと読み込んでおくべきだったわ。もしくは部下上司系。
今回は王宮関係の方がきっと応用が利くだろうか? 正しい敬語を使っている本だと参考として最高。
部下上司というよりも、命令が別系統の武官文官の会話だよな、これ。判断が難しいわ。
相手は相手でどの程度俺に情報が入っているか分からないと思われるのもやばいところ。
事前に話を俺にもして欲しかったわ。本来なら十分できる時間があったのかもしれないけど。
なんかいかついおっさんがすごい微笑ましそうな感じに目元を緩めてる。
どんな心境変化があったのだろう。俺にはなんも理解が出来ない。どう考えたらいいんだろうか?
手が伸びてきている……。避けたいが避けるべきではないだろう。たぶん悲しむし。
「君はいい子だね。お初にお目にかかる。これなるは国の果て、東の園駐屯地署長ガイと申します。この先には転生者の里があり、そこの出入りを管理しているのが我々になるのです」
頭をワシワシと強くも弱くもない絶妙な力で揉まれた。この人はいい人である。
は。何か隣で魔王が降臨した様な気配が。……気のせいか。
そもそも魔王って何だ。魔物の王か? 魔法の王か? なんだ全部神様じゃないか。
うん、どう考えてもあの神様という存在っていかがわしいよなぁ。思考読まれるし。
もしかして今も読んでる? え、ストーカー? きもいよ?
というか思考を読むってどういう原理だよ。何か波長でも拾っているのか?
魔力関係を極めるとアカシックレコードにでも到達出来るのか?
魂というモノが魔力と同じモノで構成されているので読めるとか? わからん。
隣っていうとリク君だが、いくらリク君でもたかだか俺が頭を撫でられたくらいで怒るか?
そもそも怒る意味が分からないし、そう怒られても困るんだが。
犬とかなら分かる。悪意ある人に毒餌を盛られる可能性とかあるし。
「それであちらの準備も整っているという事で間違いないでしょうか?」
なんか威圧感を覚える。なんか怒ってない? 怒っているよね? なんで?
顔を見てないのにニコニコしているのは理解出来る。ニコニコはしてる。
ただやっぱりそこまで怒る理由が分からない。俺はどうすればいいんじゃ。
目の前のおじさんは平然とした様子で撫で続けている。
こちらに向かってニコニコとするまである。
この体の髪質は最高なので、撫で続けたくなるのは分かる。
あとあちらの準備ってなんじゃ。そういうのちょっと説明されてない。
説明されても信じるかどうかはおいておくのだが。
少なくともしてはいけない事はしない程度、振る舞い云々も気をつけるわ。
「もちろんだ。万事準備は整っている」
おじさんはゆっくりと立ち上がり、服を整えながら言った。
なお魔王の威圧は今しばらく続く模様。あとなんか肩つかまれた。
やっぱりなんでこう過保護になっているのか、怒っているのか分からない。
この身を傷つける事は基本的に出来ないし。
マグマや流砂の中で魔力不足で活動停止とかじゃなければ人間には何も出来ないぞ。
人間を超えた何かであればゴーレムというチートを乗り越えられるだろうがね。
少なくとも俺をなんとか出来る存在というのは現状、神様だけなのである。
本当の意味でどうにかしようと思うなら、知っているだけだと神様以外できない。
リク君がそう怒る理由はどこにもないし、この身は簡単には傷つけられない。
「それでは行こうか。転生者達の園へ」
そういえば俺ってなんで転生者達のところへ行くんだろ?
興味はあるけど、行く程のモノでもないしなぁ。リク君が気を利かせたわけが分からない。
もしやそちらで幽閉? まさか。この体を幽閉する事は難しいだろう。
幽閉するだけなら石像のまま移送すればいいし、何なら石像のままで問題ないだろ。
その園で何か見せたいモノがあるから、俺はここに連れて来られたんだろうな。
さすがにこれで物見遊山と言われたらクエスチョンマーク大量発生だわ。
しかしここに来なければ見られないモノってなんだ?
転生者達のところにしかないモノって事か? それとも解読困難な日本語文書とか出てきた?
俺だから出来る事をのパターンだと余計に悩ましくなる。どこを必要としているかとか。
「まずは詰め所の方に案内します。向こうでの服装へ、そちらで着替えをお願い致します」






