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264、変態め

「分かった、着せてあげるね」


 急に声を出したと思ったらなんだその顔は! さっきまで恐怖の対象の様に見ていた癖に!

 いや、まじめになんでかな? なんでそんな玩具を見るような目で俺を見るのかな?

 どんな意識の転換が頭の中で起きたのかな? 道理が通じない相手にしか思えない!


 これは相手が俺に対して思っている事かもしれない。ハイロー激しいし。

 1分前に考えていた内容と反する内容を考える事が多いし。焦り対策か、ボケも多い。

 俺が一番否定したい相手が俺自身だからだとは思う。肯定など出来るわけがない。


 本当にどうしようもないくらい自分という存在を否定したいんだ。

 それが健常な事だとは思えない。そう思う程さらに否定したくなる。

 否定の歯車はいつからクルクルと回っているか、もうそれすらも分からない。


 あぁもう、ほんと今考えるべき事をまるで考えられない。

 目の前でなんか徐々に荒い息になっていくこの危ない人への対処法が必要なんだ。

 吊り橋効果もそうだが、恐怖と発情は近い場所にあるのではないだろうか?


「渡していただければそれで問題ありませんので」


 性欲関係の目線に対し、何か厳しくなる気がする。自分に決定的に欠けているモノだからだろうか?

 自分にないからこそ、他人のそれしか知る事が出来ないから。そんな気がする。

 それを得るために真似事をしようとか、本などで見たりもしたが、結局はよく分からなかったな。


 他人はこういうモノで興奮するのだろう? そんな思考にしかならない。

 同人誌やエロ漫画とか、そういうシチュエーションに対して「人間ってこういうので興奮するんだよね!」と某塾の「本で読んだヤツだ!」的なアハ体験を起こす様にはなった。

 興奮じゃなくて、知っている事の再確認に対して、感動に近い何かを抱くんだ。


 そういうシチュエーションになった場合たぶん「あぁ、こんなもんなんだな」で終わるんだろうな。

 きっと淡く抱いている「自分も人間と同じ様な感覚になるんだ」という期待が砕けて終わる。

 この身にある「本当はちゃんと自分も人間なのだろう」という感覚も壊れる気がする。


「そうだよ! シロに渡して!」


 ネネ! 援護射撃まじ感謝! いや、ほんと助かる! というか嬉しい!


 ホバリングしながら器用に胸を張るネネに対して、思わずグッてしてしまった。


 どんだけ嬉しいんだよ。俺、そんなアクションとった事、これまでなかった気がする。

 いや、でもそうだな。そっか。人に対してそうやってかばわれる事がなかったからかもしれない。

 ネネだから下心はきっとないって思えているのも大きいんじゃないだろうか?


 自分という存在が信じられないのは、自分という存在を肯定的に見てくれる人、こうやって味方してくれる人を見つけられないからとかあるのだろうか?

 たぶんきっと味方なのだろうと思う相手はいても、それが確証できる何かにありつけていない部分が今一歩信じられない所なのだろう。

 これは友達かどうか問題に近い気がする。一緒にいるし自分は友達だと思っているけれど、相手がもしかしたら友達だと思っていないかもしれない的な何か。


「えぇ~。どうしようかなぁ~」


 聞けば友達だと相手は言ってくれるだろう。友達じゃないよというのはけっこうメンタル必要だし。

 そしてだからこそその「友達」という言葉は相手に対して言わせたモノに違いないとも思う。

 友達であると証明する事は難しいし、証明させるのも違うだろう。判断基準もない。


 友達だからといって、面倒事を全部受け入れるわけなどないし、嫌な物は嫌だろう。

 それにそんな関係は友達というには異質が過ぎる。それは主従関係か何かだろう。

 とてもじゃないが試す段階で健全さを疑ってしまう。最初から疑っている癖に何を言っているんだ。


 お互い共通の趣味があり、その点で対等に話が出来る。

 何らかの理由で生活圏内に重なり、環境的な部分で対等に話が出来る。

 相手に対してどれだけの負担を背負えるかは別にそこまで重要じゃないんだ。

 対等というのがぶっちゃけ一番難しいんだよなぁ。


「渡すの! 渡さなきゃダメなの!」


 自分は同じくらいの目線にいるつもり。だがしかしそれはつもりにしかならない。

 人は勝手に落ちていく。勝手に見上げる。勝手に上から目線だと文句を言う。

 勝手に汚い感情をさらけ出しながら、自分だけきれいなままでいるなと怒る。嘆く。


 人に向けるべきではない感情をさらけ出して、初めて友達になれるというのだろうか?

 でもそれはなかなかに厳しくないだろうか? というか怖いだろう。

 それにアメリカかどっかの有名なシスターが言っていただろう。


 思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。

 言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。

 行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。

 習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。

 性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。


 まさしく思考で死んでいるのが俺じゃないか。

 これが言葉でも終わったら最悪の運命に至るだろう。

 いや、もう運命にまで思考が影響している気がしてならない。


「いつまでも裸でいるのはちょっと」


 もう何週間裸なんだろうか? と思ったが、まだ数時間だ。長くても5時間は経っていないだろう。

 変な人に出会うと思考する量が増えてしまう。逃げたくて思考がどっかに行ってしまう事も多い。

 もっともらしい事を言って、逃げていないフリをして、こうやって今もまた逃げている。


 こうして思考を巡らせている間に、ネネが服を取ってくれたらなとか思ってしまう。

 自分の手を汚さない様に、自分に悪意を持たれない様に、泥に触れないしてしまう。

 相手にとっての目標が俺の入れ物だから、戦略的にはそれが正しい行動なのだろうが、やっている事がとても狡すっからい。


 でも実際どうやれば服が着られるのだろうか?

 服を奪う? 力任せにやれば壊れてしまうのは間違いないだろう。

 自分の意思で渡してくれるのが一番なんだが、それは簡単じゃないだろう。


 脅すという選択肢は取りたくない。何かに傷をつける事自体が避けたい。

 壁に指を突っ込んでむしりエグるとか、体に危害を加えずに? いや、それも好きじゃない。

 というか暴力に頼るなんて下の下の対応だろう。暴力という選択肢自体はあってならない。


「着せてあげるってば」


 すっごいニヨニヨしている。下心が満載の顔にしか見えない。

 別に着せられたところで何か害があるわけではないとは思う。

 しかし許してしまうということ自体が履歴を残すみたいな気分になる。


 頭の中にその時の記憶が残るのがとても嫌だが、ただただ気分が悪い以外に意味はない。

 そちらの方への道を作る事への抵抗感といえばいいだろうか?

 0と1は1しか違わないが、同じ1しか違わない1と2とは大きく意味が違うという感覚だ。


 いや、しかしだ。俺は何故この手が完全にそちらへ繋がるモノだと思っているのだろう?

 これは相手の表情に性欲を感じて不快だからか。下心がなければ素直に着せてもらった気がする。

 それにお風呂で変な道具を出してきたところからして、この人が信じられないのだろう。


 しかしそんな変態の前で裸で居続けるのもよくない気がしてならない。

 いっそ変態には人権がないとして、強奪を考えるべきだろうか?

 もし俺とは違う本物の幼児に対し、こんな視線を向けたらと思うと今ここで絶つべきかもしれない。

 

「嫌だ。あごからよだれを垂らしている相手にさせるわけないだろうが」


 不快感に対してもろいかもしれない。荒くなってしまう語気に苛立ってしまう。

 ナメクジの大群の中を歩いた時は気持ち悪いとか考えてなかったな。いや、考えていたかも?

 実際やるとそこまでの感覚を覚えないけど、想像だとむっちゃ気持ち悪いってヤツか。

 想像がたくましすぎて、現実に対して何も感じなくなるの、ほんとこの体はアバターだな。


 さすがによだれはまだ垂れていなかったが、手の甲であごを拭う姿に思わずジト目した。


 見ていると余計に顔が崩れていく。表情を引き締めようとしているのか、口角は上がっている。

 しかしそれ以上に崩れる方への勢力が強そうだった。一応は隠そうと努力をしている様である。

 なんかジトって見ている間に百面相していくので、ちょっと面白くなる。


 この人、もしかして小さい子にいじめられたい系の変態なのでは?

 そっち方面の変態であれば普通の幼児にとっては問題ない可能性が高いな。

 行動が幼児寄りのネネには反応していない。いや、反応されても困る。


 ただたまたま俺がその琴線に引っかかってしまっただけで、普段は普通の可能性が高い。

 普通であれば問題ない人だったからそういう方面の仕事を多めに頼まれていた可能性が想像できる。

 こう壊れている姿がその他大勢に見られていたら雇い止めされている事間違いないだろう。


 もしかして泣いていた理由って再会したからとか、そんな理由の可能性とかもないだろうか?

 分からないな。そんな内心は聞かないと分からない。それ以前に言語化すらされていないか。

 内心の言語化って難しいし。それに言語化されても理解できないだろう。


 もしかして命令したら言う事を聞いてくれるとかないだろうか? 試してみるべきだろうか?


 





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― 新着の感想 ―
[一言] またシロが上空から自由落下してしまいますぞ!
[一言] どうしてこんなことに……
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