224、人型兵器
おじさんが遠隔で操作したのだろう。画面の中央に窓が出てきた。
青い空が一瞬映った後白い金属質の機体? が映る。
視点が度々移り変わる。視点が異様に多いな。酔いそうだ。
「これが1番ちゃんと見えるだろう」
止まった窓を見ると大きな機体。フォルムは人型。
……どこの機動戦士かな?
いや、思考が停止したんだが。そこは普通戦闘機とかだろう。
なんで人型? 人型のメリットある? 魔法の性質による適性か?
動物型の方が絶対いいだろう。戦闘だろ? 戦闘するならトラとかがいいはずだ。
いやしかしだ。人型のメリットは大きな武器を持てるとかあるな。
しかし機械だぞ? アタッチメントパーツとか用意して、武装を換えればいいじゃないか。
繊細な操作を、小手先での操作をする? 関節の負荷とかやばそうだし、パーツの入れ替えがめんどくさそう。
ゴーレム技術の応用? 動物を直で組み上げると魔力の意識が宿ってしまうので扱い辛いとか?
ある程度生物の姿から外して固めていく事で機械化を成功させた? どうなのだろうか?
そもそもニーナ達の存在が色々おかしいんだ。なんで生物の形状を取ると成熟した自意識を持つ?
意味が分からない。
ニーナに頼んでみたら自意識のないこの体を作れたし、俺はこの体に住む事が出来た。
これも色々おかしいだろう。あの時の俺は何を考えてニーナに頼んだ?
そういえばニーナって魔力の中でなんか重鎮臭わせてなかったか?
色んな意味で理解が出来ない。
とにかくだ。まずあの機体が人型をしているかだ。
なんか羽生えているところとか、周囲にたぶんタマゴが浮いているのとか、ツッコミ所満載だ。
見ている感じ、けっこう人間に近い風貌だ。鎧を纏った天使といったところか。
「驚いた様だな」
鎧の隙間からなんか見える肉部分。色は青白く肉感は薄い。
繋ぎ目というか隙間というか、そこから赤い光が漏れ見えた。何の色だ? あれ?
これさ、細胞1つ1つをゴーレムで再現した機械とか? 気が狂っている。
色々理解が出来ないが、あれを動かすには膨大な魔力が必要そうである。
指先が尖り、悪魔の様な手の形だが、全体的意匠は天使だ。
顔? イケメンだな。どことなくリク君に似せられている気がする。意味が分からない。
ほんとなんだこれ。
自己修復能力とかないと人型は整備が細かすぎて運用が終わる。
集合体だとしたらどうやって魔力の伝達を行っている? 魔力の吸収をデフォにしてたら厳しい。
一体型ならあそこまで人間に近い形である以上自意識があっておかしくない。
自意識がある? 操作の都合を考えるとその方がいいのか? して欲しい事を叶えてくれるなら楽。
ボタン1つで動かすにはある程度マクロというか決められた動きしか出来ない様に整える必要がある。
そうしなければ腕を動かしただけでバランスを崩して終わる。全部の動作を管理して、自由に動かそうと思ったら両手の指だけでは操作しきれない。
自意識を持った人型兵器……。なんだろう、すごく暴走しそう。
某人型兵器は話す事ができない。
こちらの兵器は元となった人がどこの誰かも分からないが、ニーナしかり話す事ができる気がする。
この違いは大分大きいだろう。
しかし自意識を持っているとして、それって搭乗する余地というか必要はあるのだろうか?
稼働エネルギーは放出とかしない限り、容量マックスまで入れたらどれでも3日動くはずだ。
稼働時間は短い戦闘なら基本問題ないだろう。そもそも放出系の攻撃は魔物に対して相性が悪い。
「あれは神の出来損ないだ」
なんじゃそりゃ。
神? なんでそんなものの出来損ないが?
そもそも作ろうとしたのか? そんなものを?
何のためにそんなものを作ろうとした?
操縦できる様にしている理由とかも意味が分からない。
もしかして人類は神と敵対しているとか?
いや、敵対していたらあの神様らしき人は辛辣になってしかるべきだ。
神様はそもそも敵対する価値を人間に見出していない可能性も高いか。
どうとでも出来る存在というか、そもそもペットを見る感覚で見ている可能性すらある。
この船からして魔法に依存したモノが多いし、それを止めるだけで石器時代にまで文明は落ちぶれるのでは?
だからか。
首根っこをつかまれているから、それを脱却し対等になる必要を感じているのかもしれない。
ニーナの存在が、俺の体を作り上げる時に必要とした過程が、神の支配を自覚させた。
いくら自由に魔法が使えるとしても、そこには見えない頸木があり、いつでも破滅させられる事を知らしめた。
だから自分達の自由に出来る神様を欲した。
しかし魔法を管理するには能力が足りず、それが故の出来損ない。
なのかもしれない。
いや、これはただの想像だ。
俺の持っている断片的な情報を適当につないだだけのそれだ。
そもそもこれが事実だとして、操作できる人が限られているのであれば意味はないんだ。
それは支配者の交代に過ぎず、暴君が生まれる可能性すらあるんだ。
そもそも宗教すらあるモノが相手なのだ。
どこそこに神を貶める者がいるぞと垂れ込まれたら暴力装置が発動する気すらする。
ユエさんとか暴力装置そのものな狂信者の爆撃とかやばいだろ。
「新たな魔法でも作ろうとしたか?」
魔法。色々なモノがあるが、それらで出来ない事はあったのだろうか?
時を操るとか考えた? 空間を超えようとか考えた?
その類なら出来ない可能性は多々あるだろう。
そんな事をしようと思ったらどの程度魔力が必要かも定かではない。
そもそもそんなモノを弄る必要があるのだろうか?
いや、必要かじゃないか。そこにあるから調べるのだ。何かに利用できるかもしれないから。
現状の人間では光速で動く事が出来ないし、何光年と離れた場所への移動などは出来ない。
しかし空間の操作能力が開拓出来れば他惑星の探索なども出来る様になるだろう。
それは住んでいる星が寿命を迎えた時脱出する場所を確保する方法へと繋がる。
結論いつかは必要になる技術だ。
この星が崩壊する時に現行人類がいるかどうかは微妙だけれどな。
そして人間が星を必要とする生き物かどうかも置いておくか。
宇宙船で根無し草する可能性だってある。各地の星から必要な元素を持ち去っていくヤツね。
いや、そこら辺へまず考えが行くのはラノベの読み過ぎか。
「すまない、ちょっと何言っているか分からない」
DA☆YO☆NE!
いやぁ、うん。もしその通りだとしたら開幕1秒で物語が終わっちゃうな。
映像を見せて、思わせぶりな事を言ってみたら、最終目標言い当てるヤツいたら天才超えて物語クラッシャーだわ。
作者からしたらこいつは消さねばってなるヤツ。不慮の事故で亡くなっちゃう。殺される。
もしこの憶測だけで正答が出せるのであれば推理小説でいう安楽椅子探偵になれるだろう。
しかしながら事実確認をしてくれるワトソン君は俺にいないのだ。刑事さんもいない。
バリツも出来ないし、柔術も覚えてないし、一流の執事術も覚えていないのだ。俺は探偵になれない。
もし正しい答えを得ていたとしても、俺にはそれが正答だという確証は得られない。
適当に辻褄を合わす事はいくらでも出来るものだ。しかしそれは陰謀論と何が違う?
いくらかの事実を元に「信じるか信じないかはあなた次第です」これは馬鹿らしくないか?
やっている事は同じなんだよな。だからほんと馬鹿らしい。
観測した出来事を集めて、細かな事実を積み重ねて、そうして初めて点と点は繋がる。
キリンの首の長さの秘密を知りたければ先祖の骨を探せ。当時の環境を知られる情報を集めろ。
憶測はいくらでもたてられる。それこそ宇宙人が伸ばしたとかいっても憶測だからよくなってしまう。
「いや、何でもない」






