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203、良く分からない!

「まず確認しよう。お前は俺に何を望んでいる?」


 何の理由があって起こしたかは分からないが、ここから離れないという選択肢はないだろう。

 もう一度休眠? 状態になるにはエネルギーがあり過ぎる。

 そしてもう一度眠ったとしてもまた起こされるのは間違いない。


 俺が眠ったと言っても、体や精神を休ませられるような眠りではない。

 この体には疲労なども多分ないし、肉体的な支障はない。

 そして眠ったと思った次の瞬間が今だ。実質死んでいるのだ。


 燃え尽き症候群だろうか? 燃え尽きた? 燃え尽きられる程やり切れていないだろう。

 これは再びのチャンスだと何故思えないのか。心が負けてしまったのだろうか?

 不本意なそれだからだろうか? 分からない。不本意だろうがチャンスはチャンスだろう。


「何も?」


 とりあえず目の前でニコニコしている大人版リク君は無性に頬をつねりたい。


 何も考えずに俺の様な厄介なヤツを起こすわけがない。

 何かしらの理由はあってしかるべきだ。それが執着だとしても明かすべきものだ。

 それを解決しない限り、俺は本当の意味で自由になれない。


 そう自由だ。


 俺は自由が欲しいんだ。


 自分の責任で、自分の裁量で、出来るモノを探しやりたいのだ。


「じゃあ、俺はどこかに行くから着いてくるなよ?」


 もしこれで着いてくるのなら何故着いてくるか聞けばいい。

 着いてこないならそれはそれでいい。自由になれるからな。

 あの闇はどうやれば晴らせるかは分からない。


 だけれど揺らせば色々と分かるはずだ。わざわざ起こすのだ。そこに何がしかの目的があるはず。

 やってほしい事をしている場合何もないが、やってほしくない事の場合止めに入るだろう。

 そうやって行動により揺さぶる。そうすれば目的が見えるだろう。たぶん。


 しかし……何をやっても肯定された場合目的が見えない。

 その場合は何を意味するだろうか? 俺が起きているという事が目的だとかそんな話になるのか?

 まぁ、やる事の大半は人間の真似事だ。それをするとわかっているだろうリク君には止める理由がないとかそんな話があるんじゃないだろうか? 困るな。


 いや困るだろうか? 生命線を握られているのは受け入れにくいが、結論自由なのだ。

 全部自分で出来ればいいのだけれど、結論それはどんな生き方をしていても何かしらの制約を受けるものである。

 会社に勤めれば会社のルールに。それが社会というものだ。そこに混ざって自身の価値を示したいというなら制約を受け入れるだろう。


 だがしかし会社勤めなら極論どこにでも行けるんだ。

 お金という社会のエネルギーが得られるなら、どこの会社でもいいし、何なら十分なお金さえあればしばらく会社で働く必要もなくなる。

 俺は魔力を定期的に得なければ動けなくなる。その供給元は極論どこでもいいが、残念ながら十分な供給なければ動けなくなるので、現状の選択肢はリク君しかない。


 大量虐殺や巨獣討伐……いや、巨獣の中にいるだけでも最悪大丈夫なのか。地下水道のよく分からんクジラっぽいのの中にいた時は魔力吸収出来ていたわけだし大丈夫なのか。


 ……。

 

 魔力吸収用の生物を用意出来たらいいのか?

 木の神様らしき人物は巨亀に乗っていたよな。

 あれ、そういうための生き物じゃないか?


 乗騎として育成した専用の生物を持っている癖に、俺には人間になれとか言っていたのか。

 あの言葉は混乱させるためのモノだったのだろうか?

 いや、それ以前に神様とはどういうモノなのだろうか? その性質を知らん。


 乗騎欲しいな。亀みたいに防御特化型が欲しい。

 何ならフジツボとかでもいいのか。むしろフジツボがいいな。動く必要ないし。

 あの亀サイズのフジツボ……。それはプランクトンだけで生きられるのだろうか?


 シロナガスクジラだってオキアミで生きているし、問題ないのか?

 それ以前にオキアミってまぁ、エビだよな? 海中を漂っているという意味ではプランクトンだ。

 フジツボも大きければ、大きいから消化出来るとかそんな感じになるだろうか?


 分からない。

 分からないがとりあえず後頭部がチリチリする。

 後ろに居るのは大人リク君だ。


 ……。


 見ている。


 間違いなく見ている。


 これは間違いなく俺を見ている。


「何だよ! 何か思っているなら言えよ!」


 すっごいニコニコしている……。


 あぁもう、こう俺みたいな生き物を見ても面白い事などなかろうに!

 ……いや、案外楽しいかもしれない。普通と違う動き方をするから。

 しかし主な変化は内心なのだ。行動に出るまで俺はけっこう遅い。


 考えるのがどんなに早くなっても、体がついていかない事が多い。

 今の体になっても、いや今の体になってから更に俺自身が体に追いつかない。

 どんなに体がいい物でも、使う俺がダメなら宝の持ち腐れになるのだ。


 どんなにいい環境であっても、俺がダメだから先へ進めなかった。

 そうだよ。俺の判断は色々間違っているんだ。だからぶれているんだ。

 下手の考え休むに似たりだっけ? 囲碁将棋が語源だとか聞く。ほんとこれだよ。


 もし研究に没頭できる様な人物であれば。もしコミュニケーションに長けた人物であれば。

 可能性だけ見れば俺の境遇は最高ランクの職種につき、俺の望んでいた世界へこの体はいけただろう。

 いや、リク君がそうなっているじゃないか。そこに間違えなんてなかった。


 俺が俺だからダメなのだ。

 変わらなければいけないのは俺自身だ。

 変わり方が分からないけれど。


 ……。ってかニコニコしているだけかいっ!


 まじで何を考えているんだ? 意味が分からない。

 ……。それが一番俺を動揺させる行動と分かっての行動だろうか?

 新しい情報が出ないのが一番困るんだ。


 何かしらの行動があればそこから類推できる。

 まぁ、外れる事もままあるが、それでも思考の余地があるんだ。

 いや、黙っている理由は聞こえていないというオチか? いや、聞こえているはずだ。


 あぁ、もう理解が出来ない!

 起きたばっかでなんでこんなテンション上がっているんだ? 起こされた言葉が衝撃的だったからか!

 熾火にガソリンをスプレーしたみたいなもんか? 大爆発起こしちまうな!


 変な沸騰は止めよう。そこに何の利もない。

 まず考えないといけないのは現状の確認だ。

 リク君が何を考えているかが理解出来ないが、それは置いておくんだ。


 今重要なのは何だ? リク君のケアか? 原因が分からないなら何も手を付けられないだろ。

 じゃあ、俺に何が出来るかか? 行動時間の無制限化を目指す? どうすれば出来る?

 それには魔力の補給場所がないと厳しいな。


 ……東西南北は各神が対応しているんだろう。そこで魔力の補給は期待できない。

 だとすれば王都の地下だろうか? あそこには不思議な生体系があった。あそこなら生きられる?

 もしかしたら本物の土の神様がそこにいるかもしれない。


 ……。いや、だとしたら木の神様の言葉が分からない。

 土の神様はこの世界にいないのでは? だとしたらあそこは空白の玉座といえばいいだろうか?

 空白の玉座。何か悪い事が起こりそうな予感がするな。それを埋めるために呼び起こした?


 わからない。


 わからない。


 わからない。


 まぁ、とりあえず王都の地下は好き好んで居たい場所じゃないな。

 光よりも闇は好みだけれど、だからといってあそこまで陽の光の届かない空間は別に居たくない。

 俺としては森の中で木漏れ日を見ている方が好きなのだ。


「何か言えよ、ばーか」


 なんか涙出てきそう。情緒不安定が過ぎるだろう。

 寝ていた場所と違うから現在地も分からないし、不安しかないからか。

 リク君のニコニコ顔が少しひび割れた。その意味は理解が出来ない。


 あぁもうどうしようか。

 あの生垣を越えればきっともっと情報が得られるはずだ。

 目測3メートル程度。この身なら簡単に越せる高さ。


 これを越える事は逃げる事だろうか? そうだな。逃げだな。何も生まれない逃げだ。

 王都の地下に潜れたとしてもただ生きる事しかできない。

 ただ生きるだけで何がいいだろうか? 生き物は生きる事で選別され未来を紡ぐが、俺にはそれすらないだろう。意味のない逃げだ。


 逃げるのは簡単だが何もない。ここでリク君と一緒にいれば分かる内容も増えるだろう。

 俺は1人だと結局人間としては何も出来ないんだ。化け物としてなら生きられるだろうけど、それはいつか狩られる定めのそれだ。それは望ましくない。

 俺は生きたいんだ。


「大丈夫」


 何がだ!

シロ「フシャーッ!」

リク(可愛いなぁ)

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― 新着の感想 ―
[一言] 不器用な妹を見るような感じなのかねぇ
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