18、街
「食料や備品などの買い込みがあるので3日目の昼まで自由行動でお願いします。
睡眠は車で寝るもよし、街の宿屋で寝るもよし。
宿屋は借りないので寝るときは各自で費用を出すこと。
飲食も街で済ませてください」
ここでは商売はしないのだろうか?
いや、王都から俺の住んでいた街に来る途中にしたからするような荷がないのか。
行商は王都で入手した最新の流行を地方で売り、地方の特産品を入手して王都で売るのだろう。
日用品は街の近くの農家などが作っているんだと思う。
1つの行商が運べる荷なんて限られている。
街全体に供給できるほど運べるわけがない。
そして1回に王都から辺境までという長期間拘束される行商で日用品などの利幅が小さい物を取り扱うわけがない。赤字経営になってしまう。
だとしたら日持ちする特産品を安く買い込んで遠方で高く売り払う仕組みになるのは自明。
「ケンさん、僕は少しコレ行ってきますね」
「勝手に行ってこい」
「あ、ケンさんは今日はエリさんとお楽しみですか?」
「そうだ」
「……これが持つ者の余裕か……!」
娼館でもあるのだろうか、スイさん、若い男ならまぁしょうがないね。
旅の護衛のように命を懸けている職業だからお金は稼げる。
けれどいつ死ぬかわからない以上性欲が増幅されていても別におかしくない。
むしろ普通だと思う。
「私たちはどうしようかしら?」
鼻にかけるような甘えた声で母さんが父さんに言った。
まだ結婚から5年は経っていないだろう新婚なのである。
「とりあえず早めに宿を決めてこようか、じゃないといい場所取れないよ」
「そしたらどうするの?」
「そしたら……」
「そしたら?」
「少し市場でデートでもしないか?」
「えぇ、いいわね」
父さんは正解を引いたようだ。母さんの声は目に見えるほど弾んでいる。
「ねぇ、リク君はどうする?」
「宿屋に預けるわけにはいかないだろ」
「そうね……」
「あ、私が預かっておきましょうか?」
「「え?」」
(え? ……ニキさん?)
「子供がいるとあまり羽を伸ばせないでしょう?
たまに預かってもらうとデートができてすごいありがたかったんですよね」
「ニキさんは子供が?」
「えぇ、いますよ。これでももう35なので」
「すみません、よければ少しの間だけ預かってもらえませんか?」
「リク君は手があまりかからないでしょうし全然いいですよ」
「ありがとうございます。本当に助かります。
でも大丈夫なんですか?……買い込みに行くのに赤ん坊を連れてなんて?」
「食料品を買うとき、赤ん坊連れているとおまけしてもらえることが多いんですよ」
「なるほど考えているんですね……」
頭越しに話が進んでいく。
連れて行ってもらえるだろうけど乳母車から降ろしてもらえそうにはないな。
……王都に着けばきっと降ろしてもらえるよね!






