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162、モンスター

 この都合が良過ぎるモンスター出現ないわー。

 何? 誰の意思? 神様? もし神様だとしたら上から見てるだろ。

 まぁ、モンスターについて知りたかったから都合が良かったんだけれど。


 にしても紫色のカニか。地球にも海にいそうだな。さすがにサイズはもっと小さいだろうが。

 目測で甲羅の大きさは1mくらいかな? ただ手足が異様に細長いな。あれ、深海とかにいるタイプだろ。ここは普通浅瀬とかテトラポットにいるようなタイプのカニが出るんじゃないのか?

 まぁいい。とにかくタカアシガニと同じタイプだ。手足は伸ばしたら8mくらいになるんじゃないか?


 初陣がでかすぎる気がするわ。


 ハサミは小さめだが潰し割るのに向いた構造。ちょうど人の頭なら簡単に割れるんじゃないだろうか?

 だがやはりこの構造は深海であればだろう。本来だったら立てないんじゃないか? これも魔力なのか?

 にしてもこのカニはどこからわいたんだ? 下水道からでも出てきたのか?


 もしこのカニが出てこれるくらいの大きさの穴が開いていたとしてだ。

 このカニはその穴を作れるような力はないはずだ。

 このカニのタイプは砂の海底で動かない貝とかを割って食べるタイプなんだ。


 このカニは既に開いた穴から出てきたということになる。

 つまり穴を開いたものは別にいるという事だ。人かモンスターか分からないがね。

 まぁ、この世界だから魔力で強化されたその力でぶち開けた可能性もあるけどな。


「ありゃ。モンスターいちゃったねぇ」


 すごい。蚊でもいたかみたいな反応だ。

 いやまぁ、1等級なら即潰せる範疇のモンスターだものね。

 むしろ街中での過剰攻撃を懸念しなくてはいけない立場か。


 攻撃されたら俺はケガするのだろうか?

 そもそも肉体性能をまだ確かめてないのだが。

 ソフトがポンコツだとこういう時非常に困るな。


 いきなりモンスターに出会っても自衛が出来るかどうか分からない。

 自衛が出来ないと思うと観察をするのも難しい。

 言語が理解できる相手でも俺みたいな相手だと対話はムリだし。


 ……あれ。物語によくいる口下手キャラよりも俺ってコミュ力低くないか?

 ……3歳児のリク君の方がコミュ力高いもんなぁ。

 俺は3歳児に負けるコミュ力か……。海か山に引きこもりたくなってきた……。


「もうそろそろ雨が降りそうだから出てきたのかな?」


 雨が降るとカニのモンスターが出てくるとかどこの魔境なんだ……。

 地下水道とかに潜んでいたとした場合、湿気が高くないと出てこれない理由にはなるかもしれない。

 その場合、こういったカニのモンスターが普段から地下水道に潜んでいるって事になるが。


 王都だから湧くとかあるのだろうか?

 王都には魔力等級が高い人が集まっているから余剰魔力がモンスターを創りあげるとか。

 どっちみち魔境過ぎるだろう。


 こういうモンスターはどの程度の頻度で現れるんだろうか?

 たくさん現れるようであればもっと家々が廃墟じみたところがあってもおかしくないはずだ。

 町並みはこんなにも色鮮やかだ。どこに壊れている建物があるだろう?


 ……新しい? もしかして補修や改修、新築は一瞬で終わる可能性がある?

 この世界の建物の材質は謎のプラスチック製だ。簡単に改修作業が出来るとか考えられるか?

 防犯性能が気になるがあり得るかもしれない。簡単に弄れるとしたらどこからでも中に入れそうだ。防犯性能はとても低いだろう。


「私達がやってもいいけど後で怒られそうだしなー。シロちゃん! ここは一旦退避だよ!」


 魔力2等級以上は都市では魔法を使ってはいけないんだったか。

 2等級を超えたら重機が暴れるようなものだものな。

 敵を倒すよりも周囲に被害が広がりそうだ。


 まぁ、緊急事態においてはさすがに許可されるだろう。

 死んでも使うな。そんな事を言っても出来るわけがない。

 出来るなら使うなくらいのニュアンスが正解じゃないだろうか?


 ……ユエさんが使っていたのはいいのだろうか? ユエさんは1等級にほど近い2等級だったはず。

 何か免許があれば使えるとかだろうか? バレーボールサイズの球を作っていたが魔力等級からして実は超絶技巧だったりするかもしれない。

 もしくは体から自然に放出される魔力を利用したモノとか?


 危ないから全員使っちゃダメとは言えないもんな。

 もちろん何かしらに使ってはいるだろう。暴発が怖いだろうし。

 王都の外とか魔法を自由に使っていい場所があってもおかしくない。


「シロちゃん逃げるよー?」


 タカアシガニってどうやって地中の貝を見つけているのだろうか?

 目は甲羅の上辺り、さして長く伸びているわけでもない。

 匂いだろうか? クモみたく空気や地面の振動を聞いているのだろうか?


 ザリガニだとスルメイカなどの臭いの強いエサへの食いつきが良かった。

 魚の死骸などを中心に漁っているからそうなのだろう。

 生きた貝はそれほど臭わないと思うが多少は臭いがするのだろうか?


 タカアシガニがいる場所は深海の海底、そして砂地だ。

 クジラなどの大きな動物の死骸などが降ってくる可能性は多々あるし臭いだろうか?

 明暗の区別はついても、モノを目で見て動く生き物ではないはずだ。


 まぁ、モンスターが元になった動物の能力を持っているとは限らないんだけどね。

 体の構造で多少は出来る事が絞られてくると思うんだけど、どうなんだろうか?

 目測でまだ50mくらい離れているけれど気づかれているだろうか?


「シロちゃん、モンスターは危ないからね? ほら早く」


 ラスちゃんは俺の手を取りゆっくりとその場を離れようとした。

 カニは未だ動かず口元を動かしてジッとしていた。

 あまり速く動く事が出来るタイプじゃないからそこまで遠くの獲物は狙わないのだろう。


 曇りの天気。若干の暗闇の中、大きな紫色のタカアシガニが道路の角に立っているとすごくシュールだな。

 モンスターって何かモノを食べたりするのだろうか?

 食べるとしたら魔力が豊富に含まれているモノを狙いそうだ。人間とかな。


 そう考えると漏出している魔力を感じる機能がありそうだ。

 臭いを嗅ぐ代わりに漏出している魔力を感知して、濃い魔力の方に足を伸ばす。

 そうしたら必然的にご飯のある場所へと辿りつくと。


 ラスちゃんが漏出させている魔力は俺が吸収しているからわからない可能性が高い。

 そう考えたらカニが俺達に気づかない理由も納得できる。

 もし狙われるとしたら付近の家の人だろう。家の人が外に出た時が1番危ない。


「ラスさん、あのモンスターはどうするの?」


 予想では治安維持部隊が出動するんだろうな。

 リク君のお母さんが学生時代に所属していたとかそんな感じの部隊。

 彼らを一体どうやって呼ぶんだろう? 分かんないな。


 家の塀はそんなに厚くないし、高くない。防犯とかを基準に考えるとひどく不安になるものだ。

 だがモンスターがあのくらいのサイズが基本であるとしたら高い塀などはかえって邪魔になるかもしれない。

 モンスターが越えられないような高さとなればその陰にモンスターが隠れてしまった場合発見が遅くなるだろうし、空から急行する場合けっこう邪魔だろう。


 人は高すぎて急には逃げ出せなくなるし、モンスターは隠れられるしとなったらただの邪魔にしかならない。

 視界を塞がない方が周辺住民も気づきやすいし、間仕切りが弱い事で状況が見やすくなり防犯が出来るとかもあるかもしれない。

 高い塀は日差しを遮り、周辺の草花に日が当たらなくなるから家庭菜園がしにくくなるという弊害もあるだろう。


「すぐ担当の人達が来るから大丈夫だよ」


 携帯ってあるんだ。見事にスマホだし。

 まぁ、そりゃ、車が作れるんだからスマホだって作れるかもしれない。

 転生者の中にそういうの詳しい人がいたらいけるのかな?


 いやでもCPUとかそういうの多少知ってたところで作る機材がない……魔法で部品を作るための機械を組み立てていけばいいのか。

 どんな頭しているんだよ。その機械を作り上げた人はさ。多少仕組みを知っていたところでそれを作り上げられるものなのか? ハードのプロとソフトのプロが転生しているんじゃないか?

 一般人が転生している確率って実は低いとかないか? 一芸に特化した人が転生しているとかないか?


 過去や未来の人とかも転生している可能性とかあるんだよな?

 だとしたら未来の技術を現地で再現している可能性とかもあるのか?

 もしかしてこのプラスチックも未来では普通とかそんな話はないよな?


 ニコリとゆるくほほ笑むラスちゃんの銀の瞳が俺の知らない未来を見ている気がしてならなかった。


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― 新着の感想 ―
[一言] きっと団塊世代で『トランジスタでCPUを作ろう!』とか『CPU設計入門』とか『トランジスタで学ぶロジック回路』的な本でも熟読してた人が居た説。
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