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154、今後について考えよう

 今までよりも高い身長。見た目はおいておいて、身体能力的には外で生きていけるだろうか?

 だがやはり見た目は大きい。1人で歩いていて不審に思われるのは間違いない。

 それに髪の長さも膝裏まである人はこの世界で見たことがない。色んな意味で不審だ。


 外を1人で歩いていても大丈夫な見た目になっておくべきだ。

 やはり外装が欲しい。外装がなければダメだ。

 成人男性の外装が1番外を歩く時楽だろう。たぶん。


「シロ」


 この世界の人の頭はすごくカラフルだから目立たないと思うけれど、栗色の髪の毛に金色の瞳はヤバいだろう。

 この色の組み合わせは土の神様の色だ。宗教上すごい問題がある。

 希望を出さなかったから絵本の土の神様の顔を模したんだろう。知っている人の顔を使えないから。


 姿を模していい人の姿が思いつかなかったからこの姿にしたとか、容姿の指定をしなかったから思いついた姿にしてしまった可能性とかも十分にあるな。

 ニーナは実家のわんこを模したとして、ネネは図鑑以外で見たことがないハチドリだ。

 ちゃんと容姿の指定をしない場合、記憶の中のそれが出てくるのだろうか?


「ねぇー、シロ」


 容姿を指定した場合、顔のバランスが崩れそうな気がする。

 写真と絵の差の様にすごい事になるだろう。筆を執るのは実力未知数のリク君だったのだから。

 プロが絵を描けばオリジナルの絵でも写実的にできるだろうが、子供がちょいちょい手を加えたらパーツが歪んで宇宙人になってしまう。


 下手に指示を出さなくてよかったかもしれない。

 今の顔なら目を隠せばまだ外を歩けるから。

 でもなるなら木属性のお兄さんになりたかったな。


「シロってばやっぱ怒っている?」


 今の姿で世界を歩き回るのはやはり問題があるよな?

 この文明レベルだが、生活が苦しくて盗賊に走る輩がいるんだ。

 王都に入るまでにも出てきたんだ。1人旅は絡まれまくるだろう。


 いや、いっそ絡まれたら潰していけばいいのか?

 盗賊にどんな経緯があろうと俺の敵になるのだ。

 潰していく事に何の躊躇いもない。


「シロ……。僕が悪かったよ……」


 なぎ倒していけば魔法戦闘も増えて、エネルギーも貯まるだろう。

 盗賊の隠れ家に入れば財宝とまで行かないだろうけど、少しの財貨は入手できるだろう。

 魔法封じがあったところで、鎖がかけられたところで、ゴーレムの俺には無意味だろうし。


 むしろ色々な生態を見ることが出来て面白いかもしれない。

 筋力がすごい魔物を捕まえるような集団が最大の敵になるのだろうか?

 そういうのに出会うのだけは避けたいな。


「シロ……もしかしてただ物思いに耽っているだけ?」


 俺を捕まえた場合のメリットを考えよう。

 魔法に対する盾としてすごい便利。

 リク君とか関係者へ取引材料として扱われるかも?


 容姿を利用した偶像化や性的搾取? それ手足を落としたダルマにしないと出来そうにないな。

 俺を暴力装置として扱うのはほとんど無理だろう。俺そういうの得意じゃないから。

 体を研究しようとするマッドサイエンティストとかいたら笑うな。


「この感じ……無視しているんじゃなくて、考えているだけかも?」


 でもやはりこのままだと無用な騒ぎを起こしそうだよな。

 悪党ホイホイになるつもりはない。外装が欲しいな。やはり。

 守るよりも攻める方が簡単なのは世界の理。体に頼っているのは良くない。


 攻撃を繰り返されればいつかは弱点が見つかるだろう。

 砂や水責めをされたら復帰までに時間がかかるのは確かだ。

 身動きをとれなくさせるだけなら数秒で方法が思いつく。


「シロ……反応しないといたずらしちゃうよー!」


 やはり現状のままではいけない。

 力に優れている程度ではすぐにやられてしまう。

 毒などはどういう反応を示すのかもわからない。


 基本的な毒は効かない気がするが、それもどこまで信用できるか。

 生物用の毒が効かないというのは大きいが、それを実験などしてない。

 どこまで生物を模しているのかによっては普通に効く毒があってもおかしくない。


「いたずらしちゃうからね? そんなに無視するならいたずらするからね! 僕は言ったよ!」


 そもそもこの体の耐久力がものすごい硬くてすごいなんて誰が言った?

 俺が考えているだけに過ぎないだろう? そもそもこんなに人間を模しているんだ。

 表面の柔らかさからしても刃物と討ち合えるような凄さを感じないぞ。


 液体金属のアンドロイドと違って、この体は土で出来ている可能性だってある。

 そういえば土は肉、石は骨というゴーレムが神話にあっただろうか?

 どこのゴーレムだか忘れたが、人間は神の作ったゴーレムで、始まりのゴーレムがアダムとか、アダムの肋骨を使ってイブを作ったとか、あった気がする。


「シロちゃんって柔らかいね」


 俺は神の真似事でもしていたのだろうか?

 その次はパンは神の肉、ワインは神の血とかいうのだろうか?

 まさか。そんな簡単なモノで作れたらそれこそ神の所業だ。


 生物は構造から何まで計算し尽されたデザインなんだ。

 計算ミスを繰り返し、正解だけが生き残っていく。

 適者生存とはそういうもんだろう?


「シロの下着って白いんだね」


 ……。なんか変な言葉が聞こえた気がする。

 というかリクはいったい何をしているんだ。

 俺のシャツになんで潜り込んでいるんだ?


 ちょっと待て理解が出来ない。何をされているんだ? 何が目的だ?

 乳離れは俺が2年くらい前にさっさと済ませた。俺が恥ずかしいからな。

 返事をしない俺が悪いと? 話す事などないぞ?


「シロー。返事しないとくすぐっちゃうよー」


 いや、外装を作ってもらう時の話は必要だろうが、方法が思い浮かんでいないんだ。

 結局、やるとしたらコックピットを作って操縦するタイプの外装になるだろう。

 だとしてもそのコックピットを作る方法がわからないんだ。


 っておい。まじでくすぐんな! なんで?! なんでこんなにくすぐったいんだ!?

 もしかしてゴーレム化した際に神経系をきちんと設定したから、前世不全気味だった感覚が治った?

 俺のくっころなんて誰が望む! 少なくとも俺は望まないぞ!


「かひゅ……何か用?」

「シロ話してくれないからつまんない」


 シャツの中からくぐもった声でリクの寂しそうな声が聞こえた。

 今まで俺の独り言をずっと聞いていたから寂しいのかもしれない。

 だがそれはそれ。甘やかしたらまた俺に依存するだろう。


 依存するべきは親や保護者であるべきだ。

 依存したところでマイナスにしかならない俺であってはならない。

 もっともらしい事はいくらでも言えるだろうが、俺は終始1人で考えていたい。

 どうせ人でなしの俺には頼れるモノなどないのだ。体もゴーレム化した以上名実ともに人でなしだ。


「あっそ」

「ねぇ? 怒ってる?」

「それ、怒っていると肯定されたいのか? それとも否定されて安心したいのか?」


 あぁもう。経験値3歳相手に何をムキになっているんだ。

 リク君には経験がないんだ。すがる相手を俺にしていたんだ。

 頼れるモノは近くにいないんだ。いや、ニーナやカナさんがいるか。


 少なくとも俺である必要はない。というよりも俺であってはいけない。

 人でなしに頼ればリク君までも人でなしになってしまうだろう。

 俺はそれを望まない。引き返せるヤツは引き返して欲しい。


「ごめんね。俺はまだ考えていたいんだ」

「考えている事を教えてよ」

「認識の確認とそこからの発展をしているだけだ。議論も何もない」


 今まで俺が近くに居過ぎたからの弊害だろう。やはりダメだな。

 このままではリク君が全うに育たない。俺が近くにいるせいで。

 良くない。断じて良くない。離れないといけない。


 とりあえずすぐには魔力の関係で外装は作れないだろうし、数日外を散歩でもするか。

 今まではしようと思っても出来なかったが、この体なら出来る。

 ゴーレムの体なら食事も睡眠もいらないだろう。たぶん。

 耐久実験も兼ねて王都をしばらく徘徊してみよう。





シロ

0歳

役職:ゴーレム

属性:なし

魔力:0等級

髪色:栗毛

虹彩:金眼


前世が30歳のコンプレックス塗れのめんどくさい成人男性、今世は英雄の息子に生まれたのに今ではゴーレム娘というなかなかに濃ゆい経歴を持つに至った。絵本の土の神様を参考にしたため、実は男でも女でもない中性的な容姿をしている。なお下にモノはない。胸もない。髪が膝裏まであるので、比較的女性よりの容姿に見える。


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