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153、ゴーレム化は

 意識が遠くなる。体の感覚が薄れていく。魔法を使う感覚と根本的に異なる。

 お酒を飲み過ぎた時との感覚に近い。意識はあるのに体が自由にならない感覚。

 視界の縁が白くぼやける。この状態、俺は魔法を使われているんだなって分かる。


 この魔法はニーナのモノだろうか?

 いや、ニーナ自身に魔法は使えない……? ホントにそうだろうか? 口から魔法を撃ててもおかしくないか?

 とりあえず魔力が出来る権限を引き上げたとかそういう感じだろうか?


 権限を持っている存在とかが都合よく傍にいるとかおかしくないか?

 そもそもニーナという存在が色々都合良過ぎないか? 疑いが止まらない。

 ニーナは何者なのだろう? 色んな意味でおかしくないか?


 ひとまず魔法の使用者はリク君だろう。たぶん。

 今までの魔法はリク君の使用権を俺が奪って使っていた可能性が高い。

 わからない。だが今回の魔法は俺が主導権を握っていない事だけは確かだ。


 ……俺ってこういうのやれたら面白いなとは考えたが、本命をちゃんと考えたか?

 身長180センチくらいの男性とかは考えたが、それ以上は全然詰めてない気がする。

 リク君に伝えている情報はむしろ幼女の方が多かったな。


 ……アウトじゃないか。

 このままじゃ幼女になってしまうんじゃないだろうか?

 いや、幼女とは言っていない。ただ髪の長い小さな子だ。


 ……そもそもの問題として容姿の希望を1つも出してないな。

 顔の造作とか、筋肉バランスとか何も伝えていない。

 俺はどんな存在になるんだ……。


 え、俺、本当にどうなるんだろう?

 誰かに似た容姿になるのか? それとものっぺらぼうか?

 大穴で前世の俺の姿なのだろうか? 伝えた事がないが。


 前世の姿にはモヤシというイメージしかないな。

 どんなに動いても筋肉がつかなくて、むしろ筋肉が落ちていく残念な体だ。

 細身で筋肉なくて、母親似の女顔だった。


 筋肉がないのは嫌だ。力だ。力がなければダメなんだ。

 筋肉がない男ってすごい弱そうだよな。色んな意味で頼りになりそうにない。

 骨が浮いていて見た目がかっこいい男っているのか?


 歌舞伎の女形とか男の娘風になったり、中性的になりそうだ。可愛い系だろう。

 ホラー調だと怖かっこいいだろうけれど、本人の雰囲気に左右されそうだな。

 売れない音楽家とか芸術家とかもそんな雰囲気にもなりそうだ。


 振り切れていないのはどうしてもダサくなりそうだが。

 筋肉がなければダメだ。筋肉があれば顔つきも変わるし、代謝も変わる。

 そんなに顔がイケてなくても、筋肉があればイケている様に見える気がするし。


 俺筋肉が好きすぎか! まぁでも悩み事の大半は筋肉で解決できるけどな!


 気が付くと視界一面に広がっていたモヤが徐々に晴れていく。

 目の前には小さな子供がいた。栗色の髪に金色の静かな瞳をした子供だった。

 そしてその後ろに不安そうな顔をしたニーナがいた。子供はリク君なのだろう。


「初めまして。俺がシロだ」


 こえがたかかった。


 声が高かった。


 ちょっと待て! 俺は成人男性になれなかったのか!


 視線を下に向けると凹凸の無い肌色しか見えなかった。

 下にモノがない。リク君と目線がそんなに離れていない。

 身長は140くらいだろうか? 小学校高学年レベルだと?


「シロちゃんになっちゃった……」


 したの間違いだろう! 想像がそのまま形になるとしたら誘導をミスった俺の責任だな……。

 想像を小さい子に1度してしまったのが問題なのだ。効率重視ならとか考えるべきではなかった。

 これじゃない、これじゃないと言って否定しかしてないのが悪いのだ。


「大丈夫だ……」


 当初から成人男性を考えていたんだからちゃんとそれを深く意識するべきだった。

 俺の計画不足だ。成人男性の具体的な容姿にはまるで考えていなかったのが問題だ。

 ならない方に意識が向きすぎていたんだ。なりたいモノに意識が向いていなかったのが敗因か。


「あまり大丈夫じゃない顔しているよ……?」


 大丈夫じゃないもん。もんってなんだよ。

 なりたいモノを伝えないでどこに向かうというんだ!

 いやいやしか言わないヤツなんて何にもなれないだろう!


「なってしまったモノはしょうがない! 外装を! 外装を作ろう!」


 一般男性スーツとでも言えばいいだろうか?

 着ぐるみを着ればいいのだ。着ぐるみを着れば見た目男性になれるだろう。

 むしろこれは女性体と男性体を使い分けられるから便利だ!


「外装?」


 これは好機なのではないだろうか?

 外装を作ればそこにアタッチメント機構を着ければワンチャン!

 いや、ちょっと待て。俺はどうやってその外装に入ればいいんだ?


「成人男性の着ぐるみを着れば俺は男性になれるはずだ」


 手足を伸ばしては無理だ。関節の位置が揃わない。

 いや背の高い男性の場合、腕や太ももに手足がすっぽり収まるだろうから行けるか?

 問題はどうやってこの着ぐるみを動かすかだ。


「それはムリがあるんじゃないの?」


 パワードスーツを思い浮かべればいいのか?

 いやあれは太くなって終了だ。どうやって動かせばいい?

 あくまで成人男性を完全に模す事が重要なんだ。


「待って考える、どうしたら外装が作れるか」


 粘膜接続で魔力は損失少なく送れるはず。

 口にコードをくわえてそれで魔法を使えば行けるだろうか?

 コード1本1本を魔法で作って統制かければいける?


 関節の可動域がヤバくなるだろうか?

 脱臼とか起きてしまいそうだ。怖いな。

 ご都合魔法だったら空間を弄ったり、小さくしてとか出来そうなんだが。


 ……それはどうして出来ないと考えた? 自分の理屈を押し付けてないか?

 そもそも魔法自体がイレギュラーじゃないか。勝手な解釈で理屈を作っているだけだろう?

 人の意識を別のモノに移せるくらいなんだ。出来てもおかしくないか?


「ニーナ、ちょっと聞きたいんだが魔法で今よりも小さくなる事は可能だろうか?」


 圧縮するのはムリだろう。圧縮したら生体的に欠損が起きる可能性が高い。

 空間を圧縮する? それをして無事で居られるだろうか?

 外装内部の空間を圧縮して、そこに入ったものを軒並み小さくするとか?


 頭の部分をコックピットにしてそこに演算補助の器具を入れるとか?

 そしたら俺が頭になる事でスムーズに動かせるだろうか?

 複数の魔法を練り合わせないと望み通りの動きは出来なさそうだ。


 歩くにしても、バランスをとる事から手動でやっていたら思考の余裕などなくなる。

 ある程度マクロを組んで効率化しないといけないだろう。

 それにしてもそこに至るまで魔法を組み上げる必要がある。


 そもそもゴーレム生成が出来るならそこまで難しく考える必要はない?

 この魔法1つで同時に魔法を何個か同時使用している?

 わからない。どこまですぐ出来るだろうか?


 そもそも魔力が足りない可能性がある。

 先ほど俺を作り上げたんだ。それで魔力が切れかけている可能性がある。

 しばらく時間を置く必要とかないだろうか?


「……シロちゃん? とりあえず服を着ようか!」


 ふと視線をあげるとミラ先生がいた。

 とってもニコニコしていた。

 ニコニコが怖かった。


「はい……」


 ミラ先生が辺りをジロっと見渡して、俺を見てニコっとした。なんか怖い。

 文字通り生まれたままの姿で仁王立ちしていたら見た目として困るだろう。

 周囲の暴発対策組みには男性もいるわけなのだから。


 近くに来ていた女性研究員にタオルを手渡され、羽織るとミラ先生に頭を撫でられた。

 リク君の中に居た時も撫でられた事があるのだが、その時に比べても優しく頭を撫でられた。

 なんか思い返したら恥ずかしくなってきた。


 俺はなんで仁王立ちで自分よりも小さな男の子に向かって粋がっているんだ?

 しかも荒野の真ん中で真っ裸でだ。

 何ていうか羞恥プレイ極まりないじゃないか。


「シロちゃん? 私もそう呼んで構わないかな?」


 あー、やはり女性にも好かれる女性だろうな。ミラ先生は。

 こうやって優しくされつつも、強引にいかれると引っ張られるのが好きな女性は強く惹かれるだろう。

 胸も大きく母性も強く感じる女王様は無数の働きアリを作ってしまう気がする。


 そういえば今回暴発は起きなかったのだろうか?

 俺が使うと使用する魔力量を間違えるが、本来の持ち主のリク君が使えば暴発なく使えるとか?

 使用者の違いで? あ、使用量が多少多くても貯蔵魔力になり、それが溢れなければ暴発しないか。


 それにしても今後が問題だ。

 今の俺は魔法を使えるのかもわからない。

 使えなかったら自分で外装が作れないだろう。


 リク君に外装を作ってくれと頼まなければいけないのか?

 いや、そもそも今後の魔力の供給をどうするかも考えないといけないかもしれない。

 上手くいけば人混みを歩いているだけで生きていけるはずだ。


 むしろそのために効率のいい体を考えていたんだから。

 髪の毛に意識をやると膝の裏の辺りまで伸びていた。

 これだけあればとても効率がいいはずだ。




リク

3歳

役職:主人公の体の持ち主

属性:土

魔力:0等級

髪色:栗毛

虹彩:金眼


シロが憑りついていた少年。シロが魔力を爆増させたため土の英雄になった。髪色とか虹彩が実は1歳頃から徐々に変わっている。シロに影響されて見る事を重要視している。考える事の大半をシロに任せていたから考えるのがシロと比較したら苦手。会話能力はシロよりも断然高い。人間性もシロより高い。人に頼るのもシロより上手い。運動神経とかもシロよりいい。なんかシロが可哀そうになってきた。リク君大きくなったらシロのお兄ちゃん扱いされるだろうな。

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