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139、計画立案

皇弥栄。令和一発目の投稿です。よろしくお願いします。

 落ち着こう。まずだ。俺に2人目の人格……本当にあるのだろうか?

 もしこの体に本来の人格があるならいっそ明け渡してやった方が楽だ。

 本来の人格は転生者ではないのだから隠し事もない。


 転生者である事を隠さなければいけない。

 もしこれを取っ払う事ができるならどれ程この体が生きやすくなる事だろうか。

 俺の代わりに動く人格がいるのだから、俺がこの体を離れたところで死体になるという事はない。


「これなんてどう?」


 何故縛られる必要がある? こんなに苦労するならいっそ新しい体でも作ってそこに乗り移ったらどうだろうか? そしたら俺は自由に動けるようになるだろう。

 異世界転生モノにありがちな自由な行動が取れるようになるかもしれないじゃないか。

 俺にはそれを可能にする能力もある。ゴーレムの作成だ。


 自分用のゴーレムを作るとしてどういう形にする?

 ゴールデンレトリバーでもハチドリでも人語を話せるのだ。

 人間形態である理由は特にないだろう。


「少しもらってもいいですか?」


 いや、本を読む時には手がないと困る。

 本は人間が読みやすいように作られているのだから。

 人間である方が便利だろう。


 ゴーレムになるとしたら人間で行くべきかな?

 いや、いっそ不定形? 不定形で色々な動物の姿になれる存在がいいか?

 物語ではそういう存在は多数見かけるが、実在の動物でそんな能力を持つものを生憎俺は知らない。


 どういう構成になっているのか分からないモノは作れないのではないだろうか?

 いや、それを言ったらゴールデンレトリバーやハチドリも具体的な組成を知らない。

 ゴーレムはあやふやな知識でも作成出来るのだろう。多分。


「美味しいっ!」


 だがしかし完全にオリジナルな生き物を作る事ができる保証はない。土壇場で失敗するのは辛い。

 ましてそこに俺の意識を抽入するのだ。失敗したら全てがお終いになるだろう。

 ミスはできない。まだある程度分かる人間を作るのが無難だ。


 今の小さな体。今の弱い体ではどの道どこにも行けない。

 旅立ちを早くするには成人の姿のゴーレムになるのが手っ取り早いだろう。

 ゴーレムとなった場合魔法の無効化や高い耐久性能が期待できるので死ににくいに違いない。


 だがゴーレムとなったが最後、人間という括りでは見てもらう事が出来なくなるだろう。

 そうなった場合、人間の集団という強さを利用するのが難しくなる。なかなか辛いだろう。

 下手したら実験動物扱いされる可能性も考えなくてはいけない。


「こういうのがいいの?」


 現状、ニーナ達は制限を受けることなく行動している。神獣などと呼ばれる事もあった。

 その辺りを考えるとゴーレムとなった場合でも問題なく行動できる可能性はある。

 しかしゴーレムとなった場合全てそういう扱いになるのか?


 あまりそれを期待するのはよくないだろう。全て最悪を想定した上で行動するべきだ。

 今一番最悪だと考えているモノも実際にはまだ最悪ではないなんて事もある。

 楽観視をしてはいけない。だが不安に駆られて行動しないのは最悪だ。


 それに最悪でなければ良かったと思えるだろう。

 最善になればいいし、ならなくても次点になればいい。

 最悪だけは避けられるように、可能性を排除していくべきだ。


 それに将棋や囲碁の様に自分のターンが毎回あるわけじゃない。

 たいていの場合、行動しなければ悪い道に落ちていく事になる。

 考えて行動し続けるべきだ。


「うんっ!」


 ゴーレムになればご飯は基本的にいらないはずだ。

 ただネネがなぜ蜜を求めて動いたのかがわからない。

 もしかしたら必要なのかもしれない。


 だとしたらニーナはどうしてご飯を求めない?

 いや。もしかしたら俺の見てないところでご飯をもらっているのかもしれない。

 俺とニーナは一緒にいない時間の方が多いのだから。


 もし普通の生物と同じ様にご飯が必要になるのだとしたら色々コストが嵩みそうだ。

 可能性はあるよな。ゴーレムのモデルは生物だ。生物の体をひたすら想像していた。

 もし普通の生物のように代謝があるとしたら、体の素を食事で取り入れないといけない。


「ちなみにこっちの蜜はどう?」


 ニーナやネネの体に触った感触は普通の動物の様に温かく柔らかかった。

 だがニーナもネネも普通の動物とは違う事は間違いない。

 ニーナの巨体が普通のゴールデンレトリバーと同じ肉で支えられるわけがないのだ。


 魔力による強化で身体強度が上がっているのは考えられる。

 だが物質的にも違っているのは別におかしい事ではないだろう。

 魔力で作られたとはいえ、魔法の性質上その素材は周囲の土を再構成して作られたモノで間違いない。


 鉱物を液体のような形質に変えているのだろうか?

 鉱物と考えたらネネはちょっと軽い気がする。中空構造なのだろうか?

 俺が想像した神経はどうなっているのだろうか?


「こっちの方が美味しいー!」


 色々と分からない事が多い。考えなければいけない。

 ニーナやネネの組成にはわからない事が多い。けれど作れるのだ。ゴーレムは作れるのだ。

 俺の器となる体も作れておかしくない。


 どういう風に俺の意識をゴーレムへと移すかが最大の問題だろう。

 いや、それは魔法に頼れば問題なく行えるのだろうか? わからない。

 わからないができると思う。できる前提で考えていこう。


 もしゴーレムとして俺が変わった場合何が起きる?

 成人サイズの体を作った場合、俺は過去のない人として動く必要が出るだろう。

 今の監視されている俺がゴーレムを見つけられないように作るのは難しい。


「ここには何種類くらいの蜜があるんですか?」


 魔力量はまだそこまで回復していない。むりやり器を大きくしたのがこの体だ。魔力の回復量はたかがしれているのだろう。

 ゴーレムの作成には大量の魔力が必要だ。回復量を考えると後3日くらい待ちたい。

 そうすれば現状の最大値の8割くらいは回復するはずだ。


 魔力の回復量。食物からだけで回復しているわけではないのは分かる。

 体内に入った不活化している空気中の魔力がしばらくすると活性化状態になっているのだ。

 魔力へエネルギーを渡す機構が体内にあるのだろう。


 だがどこにそれほどのエネルギーがあったのだろう?

 食物から引き出すだけではそんなエネルギーが取れるとは思えない。

 わからない。体内のどこかに異空間とかからエネルギーを引き出す仕組みでもあるのだろうか?


「水桃、光李、火苺……そうねぇ、多分ここには20種類くらいかな?」


 現状のゴーレムの弱点は燃料の魔力を自給できないところだ。

 人からもらわないとその身に必要な魔力を持ちえない。

 魔法を食らうという手もあるが、どこで魔法を食らえるというのだ?


 魔力の回復の仕組みを見つける事ができれば魔力を自給できるゴーレムが作れるはずだ。

 魔力の流れにより注意深く目を向けないといけない。

 消耗から回復している今がチャンスだろう。


「すごーいっ!」


 魔力がどこからか湧いているという感覚はない。

 モノを食べた時の魔力はお腹の中を通っている間に保有している魔力の中に拡散していく感じがする。

 しかしその墓の魔力はどこからともなく現れている気がする。


 ある一定以上の濃度の魔力は異空間からエネルギーを引き出すのだろうか?

 いや、だとしたらニーナ達は初めの段階からエネルギー無限で動き続けられるだろう。

 その可能性はあるだろうか? 考えにくい。だが今までの言動がブラフであれば? わからない。


「全部味見してみる?」


 魔力はエネルギーを貯める事ができるのは生体内だけだとニーナは言っていた。

 ゴーレムの自分は作れないというニュアンスを言っていた。生体とゴーレムの違いとは?

 ニーナ達は自分の頭で考えて行動しているのだ。生体と何が違う?


 ニーナ達は自分の事を魔力だと言っていた。魔力とはいったい何なのか?

 器物と生体の違いと言われたらパッと頭に浮かぶのは魂の有無だ。

 ニーナ達に魂はあるのだろうか? いや、魂と定義するモノはいったい何なのだろうか?

 

「うん!」


 魂と言えば幽霊。幽霊という存在は前世の頃よく耳にした。

 もちろん実体験したわけじゃない。架空の話、おとぎ話、怪談の類だ。

 だが俺がここにいる以上幽霊がいるというのはきっと間違いじゃない。


 俺は何と定義するべきだろうか?

 過去の記憶を持った? 思考パターンが出来ている?

 他に何か特徴はあるだろうか?


「チサ先生、僕も食べていいですか?」 


シン

58歳

役職:魔法省副大臣

属性:木

魔力2等級。

髪色:白

虹彩色:黒


魔法省で実務関係のトップ。白髪老紳士。知的な風貌をしているが、油断が出来ない雰囲気を漂わせている。戦闘能力も高い。色々収拾をつける担当でもある。

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