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99、魔法の練習進路決定

「リク殿、ネネ。そろそろ大丈夫であるか?」


 ニーナはネネと俺の間に顔を入れると、俺たちの顔を見ていった。

 ニーナは顔を持ち上げると彼方を見つめた。

 ニーナの視線を追うとそこにはミラ先生がいた。


 ミラ先生は胸に手を当てて息を整えていた。

 深呼吸によりその胸はゆっくりと上下に動いていた。

 目を瞑り胸に手を置いているその姿はすごく絵になる。


 凛々しい表情だが内心バグバクだろう。

 心を落ち着けようとして、こんなにも凛々しい表情をしている。

 そう考えると何故か可愛く見える。


 自分が悪いと分かっているのに、怒られて当然だというのに。

 ダメだと思っていても、可愛く感じるのは止められない。

 むしろ背徳感でより深く……脳に深刻なバグありだな。ダメだ。


「ミラ先生、ごめんなさい」


 ミラ先生に近づき、魔法のミスについて謝罪する。

 別に……いや、少し、さっきの思考についても謝罪の気持ちはある。

 でも1番謝らないといけないのは先程のミスだろう。


 もしニーナが防がなければあの爆発だ。ミラ先生は死んでいた。

 ついでに体を守る手段もないから、俺も死んでいた。

 ニーナやネネは魔力を吸収する機構があるから大丈夫だろう。


 危険だった。なぜ大人がこんなにもついているのか、それを考えない行動だった。

 遠巻きに見ているのは魔法が失敗した際に近くに居過ぎたら対応できないのと、その距離なら対処できる程度に弱まっているだろうという予測だろうか?

 実際、今回の魔法の失敗では対応班のところまで爆発は届いていなかった。


「大丈夫だ。覚悟はしていたから。

 だがいいか? 過剰に出した魔力は爆発を起こす。

 1つ間違えれば人なんて簡単に死んでしまう。

 だから配分はくれぐれも間違えるなよ? 間違えて失敗して最初に死ぬのはミスした張本人だからな」


 ミラ先生は澄ました顔で言った。先程の動揺は欠片も見せていない。

 真っ直ぐと俺の目を見て、真剣な顔をしてミラ先生は言った。

 先程の動揺を見てるだけに可愛く見えるのは何故だろうか。

 強がりを見せている人ってなんで可愛く見えるのだろうか?


 いい先生でいなければいけない。いい教官でなくてはいけない。

 そう考えて強がっているけれど、実際は死の危険と隣り合わせで、何考えているかわからない子供の相手をしなければいけない恐怖。

 先生が怖がれば子供も不安になるから、それを見せてはいけない、見せて不安にしたら魔法が失敗して死ぬかもしれない。


 うん、そうだな。ミラ先生の立場は辛いな。

 もし元々気弱な人で、先生としての顔として頼れる姉御らしさを出しているのだとしたら。

 先生であろうと一生懸命な人なのだろう。とても真っ直ぐな人なのだろう。


 旦那さんは女子力が高そうだった。

 男らしいのが好きなのではなく、男らしくならなければいけない立ち位置だったのかもしれない。

 だから旦那さんに自身の理想だった女子力を求めてしまったのかもしれない。

 ただの憶測で妄想だが、そう考えていくと可愛らしく感じる。


「とりあえず今日はここまでにしようか。

 魔力は出し過ぎても危険だが、出さな過ぎると今度は魔法にならずに爆発だけ起きる事があるんだ。

 その加減も出来るようにならないといけないぞ?

 今後は出来るだけ少ない魔力をミスすることなく、魔法に出来るようになってから大きな魔法に移っていこうか」

「わかりました。ミラ先生」


 思えばタマゴレベルから魔法はスタートしたのだった。

 器に穴を開けろと言われて、それから一気に極大レベルで魔力を放出して作ったニーナ。

 次が今回の大爆発とネネ。


 そうだな。ミラ先生の指示を聞くことなく、魔法を爆発させるミスを犯したのだ。

 元々、少ない魔力から魔法を作っていく流れを途中でぶち壊したのだ。

 きちんとどのくらいの魔力で何が出来るのか、それを把握していかないとダメなのだ。


 できるできないはある程度ニーナに聞く事はできる。

 ニーナに判断してもらいこの魔力で何が出来るのか、体を使って覚えていけばいいだろう。

 知っているだけのことは経験に劣る。もし魔法で戦うようになったら一々ニーナに聞くことはできないのだ。


 これからしばらくは小さな魔法の練習を行う事になるだろう。

 小手技になるが、小手技を覚えれば大技を使う時により効率的により効果的に使う事が出来るようになる。

 小手技をたくさん練習すれば、それだけ少ない魔力の運用能力も上がる。

 それに時間を食うから魔力の消費量が少ないので、魔力の量の上限を上げる事も出来るかもしれない。


 ここは頑張りどころだろう。魔法に関しては細かく聞くのが無難だな。

 小さなところだと何があるのか……。

 ロボットタイプのゴーレムだろうか。複雑な機構抜きのタマゴ並みの簡単なモノ。

 タマゴタイプのゴーレム辺りから練習していこうか。


 いや、いっそただの置物を作るのもいいかもしれない。

 ちょっと特殊な性質を持った物質が作れるようなら、組み合わせて大きなモノを作る事もできそうだ。

 それはそれで面白そうだ。


 魔法はまだまだやれることがたくさんあるな。やっていこう。


「あぁ、そうだ。伝え忘れていたが、少ししたら他の子供達と遊ぶ場所を用意する。

 大人とばっかりだと話す能力が身に着かないからな」


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