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猫達の遊戯  作者:
7/12

七冊目:それぞれの束の間

「…っ、痛、此処は…」

「起きましたか。具合はどうですか?」


何故、私は此処に…それに…この人は………

いゃ、この人を知っている…確か、魔鬼、さん…だっけ、それと私は…あぁ、そうか、血を、飲んで…気を失ったんだ。

朝徒は魔鬼の顔を見て答えた。


「えぇ、まだ頭がぼんやりしますが、大丈夫です」

「そうですか、無理しないでくださいね。人から鬼へと組織を組み換えたのですから、疲れと痛みは相当なハズです。今は夜までゆっくり休んでください」


そう言って魔鬼は水で濡らした布を朝徒にのせた。

それでようやく朝徒は今、自分がどのような状態か解った。

気付いた朝徒は慌てて動こうとするが、激しい痛みに上手く動く事ができなかった。


「ぐぅ、痛」

「もう、あまり動かないでください!無理をすると危険ですよ!まだ鬼の力が馴染んでないのですから。それに…」


魔鬼は少し顔を赤らめて躊躇いがちに言った。


「…あまり動かれると、その、くすぐったいです」

「す、すみません」


そう、いま朝徒は魔鬼に膝枕をしてもらっている状態なのだ。

静寂の中、滝の音だけが聞こえてくる。

朝徒は疲労感もあってかウトウトとしはじめる。瞼はかなり重い、次第に朝徒の瞼は落ちていった。



―――きらめく夕陽、その光を海が反射させ幻想の様に光り輝く。―――


「遅かったね。来ないかと思った」

「ごめんね。なかなか脱け出せなくて」

「ふふっ、でも来てくれてよかったよ。幽」

「今日はどんな話しをしよっか?猫さん」

「そうだね、私達がどう神様と暮らしてたか話そうか」

「猫さんはその神様の事が好きだったんだよね?」

「えぇ、とても好きだった。この毛並みの色も神様が桃白くしてくれたの。私は今も好きだよ、魂はずっと一緒、今もここに居る」

「きゃー、猫さん純愛だね。素敵!私も朝徒とそんな風に愛し合えたらいいのになぁ」


少女がっかりした様に肩を落とした。

猫は苦笑しながら話しを続けた。


「私のは一方的な愛だよ。神様は誰にでも優しく、誰をも愛してたからね」

「ねぇ、猫さんはどうして神様が好きになったの?」

「神様を好きになった理由は…って、どう暮らしてたかの話しじゃなかった?」

「そうでした?まぁ良いじゃないですか。恋話し」

「幽がそれでいいなら…いぃけど」


少女は楽しそうに猫に話しかける。

猫もまた少女と幸せそうに話す。

その光景はおとぎ話のように………



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