初めての戦
前回のあらすじ
・華琳かわいい
・桂花かわいい
以上
ガタゴトガタゴト
件の盗賊が住処にしているねぐらに向かって進軍中の曹操軍の列にて、
最後尾にある馬車の中から雲一つ無い空を見上げながら、家族は元気にしているだろうか、剣道部の奴らは無事に大会に出れたのか、そして勝てただろうかと柄にもないようなこと考えていた。
未知の世界に飛ばされて一人ぼっちになってしまったせいか、そんなつまらない事を考えていた自分に気づき、鼻で笑ってしまう。
(俺にも人としての気持ちが残っていたのか)
現代にいた頃はつまらない日々を過ごしていたせいか、いつ死んでもいいとまで考えていた。
自身の考え方が異常であることは分かっている。
それでも、家が特殊だったこともあり、このまま何十年と同じ気持ちを抱いたまま生き続けなければいけないというのは苦痛でしかなった。
それがこっちに飛ばされてきて自分が本当に身も心も一人ぼっちになるとホームシックに成りかけている。
戻れる手段なんぞ無い、だから諦めろと自分の心に言い聞かせる。
それに逆に考えてみれば、もしいつか元の世界に戻されるのならばこの世界、楽しまなければ損だ。
そんな自分の中にいる多種多様な自分の意見を中断させ、先頭にいるであろう金髪の少女を思い浮かべる。
最初に名前を聞かされたときはこの子が覇王の種なのかと正直驚いた。
年齢は聞かされていないので正確には分からないがまだまだ少女であることは見て取れた。
能力があるが故にあんな小さな肩に国の重圧を乗せて立たなければいけないのかと、神がいたのならばなんて残酷なのか。
だが同情はしない、能力があるだけまだマシな事を知っているから。
能力がないのに周りの人に祭り上げられ、上に立たされた人間の苦悩を知らずに済むから。
それにそもそも、彼女自身立たなければいけないとは思ってないだろう。
自分が立ち上がりたくて立ち上がったのだから、同情される謂れはどこにもない。
「伝令~!前方4里先で賊が交戦中!繰り返す!前方4里先で賊が交戦中!」
思考に影が落ちかけた所で早馬が前から駆けて来て情報を全体に伝えて来ている。
そして最後尾のこの馬車の横で止まり、俺個人への伝令が言い渡される。
「伝令!無風将軍、曹操様がお呼びです。すぐに来るようにとのこと」
「…分かった。休んでいろ」
報告してくれた兵に礼を言い、馬車から降りて軽く足を解す。
簡単に準備運動を済ませたら足に氣を貯め一気に前方へ跳躍する。
一回の跳躍で軍の半分くらい行けたので、もう一度跳躍して孟徳のいる先頭の先に某仮面の人の必殺技のような格好で地面に着地する。
そして、勢いを殺すためにそのまま数十メートルをスライディングみたく盛大な砂塵を巻き上げながら滑って止まった。
止まったはいいが先頭を軽く追い越してしまい、失敗したと軽く思いながら孟徳がいる曹操軍の先頭が到着するまで待つことにした。
こちらに来た孟徳と夏侯姉妹は驚いた顔で、文若は目に見えて怒っていた。
「あんたねぇ、なんて現れ方してんのよ!軽く地面揺れたわよ、まったく。砂塵も派手に巻き上げて、気づかれたらどうすんのよこの子供量産精液装置!」
こんどは全部漢字なんだと、もうただただ関心する。いろんな意味で。
そんな文若の罵声を浴びせられていたが、孟徳が止める。
「桂花、もうやめなさい。無風もそんなに落ち込まないの。桂花はただ自分が驚いたのを照れ隠しであなたにぶつけただけよ」
「華琳様!?」
「違ったかしら?無風を伝令で呼びに行かせた時からソワソワしてたようだけど?」
「違います!ただアイツが来ると華琳様が妊娠してしまうと思って、どう処分しようか考えてただけです!」
賊に気づかれたらどうすんのよとか言ってた人が大声で言い訳してるのはどういうことなんでしょうかね。
早く話をつけないと終わらない気がしてきた。
「俺に何の用で…呼んだ?」
「あぁ、そうだったわね。無風、前方で賊が暴れているのはもう聞いたわね?その討伐をあなたがして欲しいの、出来るでしょ?」
俺の言葉に文若を弄っていた孟徳は仕方ないという顔で俺に要件を伝えた。
なんか邪魔してすみませんね、ホント。
「数は?」
「斥候の報告では五百ほどよ、あなたに千人貸すから討伐してきなさい」
「兵はいらない」
「千人もいらないと?じゃあ五百くらいかしら?」
「………」
俺は頭をフルフルと横に振って否定の意を示す。
「…まさかあなた、1人でやるつもり?」
孟徳の答えにコクリと頷く。
その様子に元譲・妙才は反応を示さなかったが、だた一人ネコミミ女だけは顔を真赤にしていた。
================桂花視点================
馬鹿にしてる。
私はこの男が戦を軽く見ているようにしか見えない。
女よりも弱い男が五百しかいないとはいえ、そんな数を1人で相手して勝てる可能性は万に一つ無い。
たしかにさっきの現れ方は異常だし、あの春蘭を倒したという噂を聞いたが、どうせその噂も春蘭にちょっと善戦したのが誇張されただけに過ぎないだろう。
あまりに無謀すぎる。
華琳様が許すはずがない。
コイツがどんなに巫山戯た男だとしても曲がりなりにもアイツは将である。
将が討ち取られた場合、多少なりと兵の士気にかかわる。
それが分からない華琳様でないから、私は黙って華琳様の却下のお言葉を待つ。
「…いいわ、あなた一人で賊共を倒しに行きなさい」
そうそう、駄目に決まって……えっ?
「華琳様っ!?」
予想だにしていなかった言葉に驚きを隠せず、問い詰める。
「無謀すぎます!例え将であってもコイツは所詮『男』なんですよ!?それに将が打ち取られた場合、士気にも影響が出ます!どうか考え直しを」
「あら、桂花は反対なのね?」
「当たり前です!春蘭にちょっと善戦できたくらいのコイツに五百もいる賊を倒せる訳がありません!」
「え?春蘭に善戦?なんのことかしら桂花?」
華琳様が分からないという顔で頭を傾ける姿も素敵……じゃなくて。
「噂です。コイツが春蘭を赤子の手をひねるかのように倒したって噂、どうせちょっと善戦できた位のことを兵が誇張したのでしょうが」
私の発言を聞いて華琳様はとてもおかしな事を聞いたとでも言う風に大声で笑い、春蘭はどんよりと暗くなり、秋蘭はそんな姉をみて悶えている。
「あっはははは!はぁ~笑ったわ。桂花、その噂ね。『本当』よ」
「……えっ?」
ありえない。
そう思ったが華琳様がそんなことで嘘をつくわけがないだろう。
だとすると本当にコイツは春蘭以上の腕を持つと言うのか?
コイツへの認識を変えた瞬間、背中にゾクリと冷たい物が這い上がってきた。
男は最低な生き物だと知って罵詈雑言を吐けるのは、そこらへんの奴ならばちょっとは対応できるし、いざとなったら春蘭や秋蘭にコイツを止めて貰えるだろうという安心感があるから言えるが、その二人でさえ抑えられないような男に私は暴言を言いまくった。
もしコイツが怒ってたりしたら、私はどうなってしまうのか。
私はヤバイ奴を相手にしてしまったのではないかという不安から、人には分からない程度に震え始めてしまった。
今はコイツの一挙一動が怖い、目を合わせた瞬間に殴り倒されて性欲の捌け口に慰みものにされ、最後には殺されるのではと次々に連想してしまい、恐怖で思考が固まってしまった。
隣で私を見ていた華琳様は、アイツに近寄ってその目の前で私の方を向く。
「大丈夫よ、桂花。彼はそんなことでは怒ったりしないわ?そうよね?」
「あぁ」
アイツがそれに肯定するかのように頷き、華琳様の方ではなく私の目の前に立つ。
「ひっ!?」
言葉で言われただけではやはり不安は拭いきれていないのか、体は正直にビクリとしてしまう。
そして手を上げ始めて私の頭に手を置いた。
今まで以上にビクッとしてしまったがコイツが頭を撫でていると判るとホッとしたのも一瞬、次の瞬間羞恥と嫌悪感で体がゾワッとした。
「何勝手に触ってんのよ!妊娠させる気!?早く行って死んでこい、この孕ませ菌培植人間」
私がコイツを見上げながら足でゲシゲシと蹴る。
はっ!しまった、つい条件反射でいつものようにやってしまった。
恐る恐る顔を見ると……笑っていた。
まるで我が子にいつもそのままであってくれというような親が子にするような優しい顔をしていた。
そういえば頭を撫でられたのはいつぶりだろう。
父は早くに死去してしまっていたので、いつも記憶の中にある撫でてくれていたのは母であった。
でも懐かしいようなその感覚……どこか懐かしい…
「貴方たち、そんなイチャイチャしてないで早くしなさい!」
「はっ!?華琳様!?違うんですこれは!あんたもいつまでも撫でてんな殺すわよ」
コイツの手を逃れ、回転で遠心力を加えた肘打ちのあと、裏拳を叩き込む
それをモロに食らったアイツは半回転しながら倒れる。
「綺麗に入ったわね、無風、生きてたら返事しなさい」
華琳様の言葉に即座に手をユラユラと振って返事する。
「まったく、簡単に避けれるものをワザと食らうなんて、あなたも律儀な男ね」
「えっ!?」
結構本気だったけど、何故避けれたものを避けなかったのか分からない顔をしていると、華琳様がクスクスと笑いながら、
「簡単なことよ、少ない時間でしかないけれど、無風があなたの男嫌いを知らないわけないじゃない」
そう言われすぐに理解した。
分かってて撫でてたのだ、コイツは。
理解した瞬間怒りが沸いてきた。
まるで子供扱いされていたのだ、まだまだ未熟だと。
同時に悔しかった。
政や戦術では私のほうが上だろうが、
現状把握やその対処法など、知略も武力も総合的に合わせて考えると悔しいが向こうに軍配が挙がるだろう。
なら私は知略だけで勝ってやると新たに決意する。
================無風視点================
俺の実力を聞いて、大方今までの事でひどいことをいつかされるのでは、みたいなことを考えていたのだろう。
文若の顔が蒼白になり震えていたので落ち着かせるのにもっとも効率的な方法を取った。かなりの荒療治(治すどころか酷くなりそうだが)だったが。
俺にメリットどころかデメリットしかないが、それが一番早いので文若の頭を撫でていつもの文若に戻そうと試みた。
結果いつもどおりに戻ったのはいいが、まさかコンボで攻撃されるとは思ってなかった。
氣を張ると体が鋼鉄のように固くなるので、それでは文若が逆に怪我をしてしまう恐れもあり使わなかった。
そのため、いくら文官で非力な少女と言えど、モロに肘鉄や裏拳が入ったのでかなり痛い。
孟徳にはお見通しな上に俺の方法を暴露しやがった。
しかもさりげなく心配しているように見せかけて足のつま先で脇の柔らかい部分をグリグリするのやめてください。地味に痛い…。
ここで疑問に思うだろう。
賊が近くにいるのに何故こんなのんびりしているのかと………それは伝令が言っていたが、賊が『交戦中』だからである。
賊とどこの軍が戦っているのかを斥候から聞くまでぶっちゃけ暇なのである。
もしもこれが、曹操以外の官軍が戦闘をしていて、しかも官軍側が有利な状況であった場合、最悪獲物の横取りをしたと非難されてもおかしくないからだ。
少なくとも乱入しても良いのかどうか確認する必要がある。
そうこうしているうちに斥候が戻ってきて報告を聞いた俺たちはその報告を疑った。
賊と交戦中なのは二人の少女との話であった。
普通は耳を疑う話だが、俺はほぼそれが誰であるか確信を持っていた。
それは詳しい話はしていなかったが、賊が根城にしているのは『河南』なのだ。
それに曹操や夏侯兄弟、荀彧が女の子であるなら、そいつらも女の子である可能性は十二分にある。
「…典韋と許褚………か?」
「えっ?何か言ったかしら、無風?」
「いや、何でも無い」
今口に出しても文若の時のように体がどうにかなることは無かった。
誰にも聞こえてないからというのもあるが、ここで出会わない場合もああなっていたはず、つまり俗に行く『確定』というやつだ。
「じゃあ………行ってくる」
「ええ、気をつけてね」
孟徳の声には心配の色が無かったので、振り返らずに馬車からここまで来た時のように跳躍して距離を稼ぐ。
数分で戦闘中の現場を『通り越して』着地する。
戦場の上空から戦況を見渡し、戦闘が行われているであろう場所を確認する。
幸い、俺の着地予定位置とは真逆の位置のため、途中で八合わせる可能性が少ないと判断した。
無事着地を決め、そこから歩きながら戦地に入る。
「てめぇ、何者だ!さっき空飛んでたが妖術使いか何かか!」
百くらいの数の黄色いハチマキをした連中が俺を取り囲む。
別段教える義理もないし、教えたところで理解出来るはずもない。
言葉を交えることはせずただ一言。
「寝てろ」
腰に挿してある木刀を取り出し逆手に持つ。
剣道では絶対にありえない、剣術道場でも習わない型。
つまり俺の独学である。
こういう時に試しておかないとどうなるか分からないからな、こいつらには悪いが練習台になってもらおう。
次の瞬間、俺は風になった。
ドゴゴォッ!!!
「なぁっ!?」
「………」
一気に取り囲んでいる奴らを波紋状に吹き飛ばし気絶させる。
「手前ぇ!おい、お前ら!コイツをぶち殺せっ!!!」
最初に声を掛けてきた男は囲いに加わって居なかったため、気絶させる事が出来なかった。
そんな俺を脅威と見たのか、後ろに待機していた賊を呼び寄せ、大人数で当たらせようとしている。
だが、いくら人数を用意したとしても無意味なのは直ぐに理解できる。
なぜなら…。
「ひっ…は……はぁ!……はっはっはっ」
「無理だぁ……オラには無理だぁ」
「殺したくない殺したくない殺さないで嫌だ死にたくない死にたくない殺したくない死にたくない」
人を殺せと言われ、過呼吸になる者、自分にはできないと嘆く者、錯乱する者。
どうやらここの賊共は元々はただの農民が食って行けずに賊に落ちただけで、人を殺す勇気も、死ぬ勇気さえ持ち合わせてない。
賊に堕ちる者が全て悪を成したくてしてる者たちではないのは当然だ。
それに、ここが三国志であるならばまず朝廷の力が地に落ち黄巾党が現れる。
その者達の殆どは農民としてやってけなくなった者達ばかりの筈。
「お前達に恨みは無い。それでも犯してしまった罪の償いは払わせる必要がある」
「うるっせぇ!俺はお前みたいな賢そうな奴がでぇっきれぇなんだよ!殺れ!殺らないなら俺がお前らを殺してやる!」
「「「ひぃっ!」」」
如何にも盗賊ですといった出で立ちの男からの恐喝を受け、悲鳴を上げながらも拙い動きで殺しに来る。
「寝てろ」
先ほどと同じ言葉を口にしながら、俺は木刀を振り抜く。
一人、木刀に腹を打たれてえづきながら吹っ飛んでいき、数人を巻き込んで倒れる。
それから数度木刀を薙ぎ、向かってきた奴の側頭部を殴打して昏倒させる。
薙ぎから突きの姿勢を取り、高速で鳩尾や脇を突いて転倒させる。
数分で攻めてきた全員を無力化し、怒鳴り散らす男に向けて歩き出す。
「糞がっ!これだから農民出の奴らは雑魚すぎて使えねぇ!」
「ほぅ?お前は違うと?」
「はっ!当たり前だ。これでも俺様は兵士の出だからな。鍛え方が違うぜ」
「……ならなぜ、兵のままで居なかった。そちらの方が安定してただろうに」
詳細までは分からないが、コイツが賊に身を窶してる理由は大体分かる。
「んなもん知らねぇな。軍のお偉方が俺の力を恐れて軍から追放したんだ。まぁ、俺様がのし上がってくるのを恐れた連中に嵌められたってとこか」
恐らく真相は違う。
コイツは素行が悪いが故に軍から追い出された口だろう。
本人ばかり無自覚に色々やらかしまくってた事だろうな。
まぁ、どちらにせよ俺のやることに変わりはないのだが。
「お前は殺しておいたほうが良さそうだというのは、良く分かった」
「はっ!殺れるもんなら殺ってみやがれってんだ臆病者。今手前ぇがやった奴ら、死んでねぇだろ。つまり手前ぇは殺すのが怖いんだろ?そんな奴にこの俺様が殺らr……」
ドスッ!
「……は?」
戦場で殺し合いをしてる最中にぺちゃくちゃと煩い男に突進しながら先程とは比べ物にならない速度で突きを放ち、奴のヘソから背骨を避けるよう若干斜めに木刀を貫通させる。
そして貫通させた状態から横に薙ぎ払うようにして胴体から木刀を抜く。
刃のついた刀ではないため、脇腹に向けて切断することは出来なくもないが、木刀への負担が大きいため、そのまま薙いだ遠心力ですっぽ抜き、奴の胴体を地面に転がす。
「ごふ!?…糞、そんな木で出来ただけの剣で攻撃されるとは思ってなかったぜ」
「……ほぅ?あの状態から立ち上がるか」
ヘソを貫通するように貫いたため、小腸を損傷してるはず。
であるなら、後は放っておけばいづれ死にゆくだろう。
それだけの傷を受けてあだ立ち上がる事が出来る人間はかなり少ないだろう。
「なら、次で完璧に黄泉に誘ってやろう」
「殺す!ぶっ殺す!」
奴は持っていた剣を真上に掲げながら突進してくる。
対してこちらは某新選組三番隊組長の突きの構えで迎え撃つ。…流石に技まで一緒では無いが。
「しぃねぇぇええええええ!!!!」
「………」
真上からの振り下ろし。
まともに受けてしまえば頭から叩き潰されるそれを紙一重で躱し、眼球目掛けて突きを放つ。
「力・速さ・技術の全てで俺に及ばない。来世で出直してこい」
流石に脳を破壊されて生きていられる筈もなく。
突進してきた勢いそのままに倒れ込んで転がってゆく。
立ち上がってくる気配もしないため一瞥すらもせずに、少し遠くで同じように賊が固まってる場所を目指して歩き出す。
「人を殺すことに抵抗は感じない…か」
この時ばかりは生まれ育った実家に感謝した。
無風家は剣道家ではなく、本当に剣術を生業として現代まで生きてきた一家だ。
ただし、現在は表の世界に出ることが叶わないため、裏の世界でのみ活動しているが。
そこには当然殺しが出来るようにならなければいけない。
無風家では殺しを覚えるためだけに外国へ赴き、死刑判決を受けた死刑囚相手に殺しの練習をしたり、世間には公表されてない水面下での抗争に参加して敵を殺す。
それが出来て初めて無風家の人間として認めて貰える資格を持つのだが、生憎と俺はまだ殺しの経験をしていなかった。
殺しを経験した人間は独特の雰囲気を持つ。
俺は高校生として学校に通っていたため、そんな雰囲気を放っていたら何が起こるか分からない。
勿論学校の奴らには分からないだろうが、そういった氣を放つ人間を感じ取れる奴に出くわしてしまった時を想定してのことだ。
表の世界に知られるわけにはいかないだろうと親を説得し、高校卒業までは延期して貰うようにしていた。
だから、俺は今初めて人を殺すという行為をしたが、いつかはやる事と長年覚悟を決めていたためか、特に思考や気が乱れることもなく、平然とすることが出来ていた。
「出来るなら、後はやるだけだ」
そう自分に言い聞かせるよう木刀を握る力を強めた。
ついにデレが垣間見れた!
これはカラオケで恋姫全曲歌うしかない|(意味不明)
よし行こ………すみません。
流琉ちゃんと季衣ちゃんが早く出して欲しいとせがまれたので仕事ます。
流琉ちゃん!お夜食お願いします!