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群雄割拠の始まり

お化けの話をしたらお化けの夢を見た。

久々に悪夢を見ちまったぜ。

フレディ、貴様の仕業だな!


================雪蓮視点================


「雪蓮、入るぞ」

 

 木戸を少し乱暴に開けて私の真名を呼ぶその親友に一瞥だけして、私は書類に目を落とす。


「何よー、冥琳。もう少し静かに入ってきてよ。せっかくの集中力が切れちゃうじゃない」

「なっ!?雪蓮が仕事をしている…だと…」

「ぶー、失礼ねー。私だってやる時はやるわよ」


 とは言ったものの、実際は私しか処理できない書類に印鑑を押すだけ。

 内容は流し読みで十分、だって冥琳が既に目を通した物だもの、間違いは無いわ。

 そして冥琳が急いで私の部屋に来た理由も分かる。


「確かに雪蓮が仕事をしてくれるのは嬉しい。しかし、今は急を要する」

「袁術が動いたんでしょ?私も直ぐに準備するわ」

「っ!?どうして知っているの?だって貴方ずっとここに居たのでしょ?」

「分かるわよ。だって、私に付いている間者の数が減ってるのよ?考えられるのは戦力の集中。恐らく桃香の所に攻めるわ」

「…それはお決まりのあれか?」

「そ、勘よ♪」

「確かに袁術が動いたのは確かだが、私は軍師だ。袁術が何処に向かっているか、しっかり情報を集めてからだな……」


 そんな必要はない。

 冥琳にも言った通り、桃香の所に行ったのは勘。

 けれど、後から論理的に考えるならば袁術が向かう先は其処しか考えられない。

 まず、袁紹は身内だから省くとして、曹操は袁紹とのにらみ合いをしているので、そんな所に行って厄介事に自分から巻き込まれに行きはしないでしょう。

 第一、張勲がそんな事をするなど、万に一つも無い。

 次に公孫賛、確かに袁紹とほぼ同等の土地を有しているが、袁術領から遠すぎる。

 荊州にある蜀もしかり。

 残るは徐州付近のみ、しかも劉備は徐州牧になったばかりで内政に手を付け始めたばかり。

 土地の取りやすさだけで言えば、今は徐州が一番取り易い。

 でも、袁術は一つだけ理解していないわ。

 あそこを占める牧は桃香だってこと。

 あれは登ってくる。

 恐らく、私と同じ位置にまでは昇ってくるでしょう。

 私の勘がそう言っている。


「で、実際にはどうするの?」

「あぁ、もう既に蓮華様と小蓮様に細作を放っている」

「さっすが冥琳♪仕事が早い」

「褒めても何も出んぞ」

「もう、そういうんじゃないわよ。で、どこで集まるの?」

「揚洲の国境近くにある廬江郡にする予定でいるわ」

「蘆江?あそこは確か、陸康が太守をしているのよね」


 とても気まずい空気が流れ出す。

 何故ならば陸康とは……


「そうだ。……穏の従祖父でもある」


 少しの間、沈黙が場を支配する。

 穏にとって陸康は本当の父の様に接してくれていたと聞く。

 そんな所に呉の大軍で押し寄せてしまっては余計な混乱を招くことになる。

 しかし、そこにのんびりとした、それでいて明確な意思を感じさせる声が入ってきた。


「大丈夫ですよ~。私は何とも思っていませんから~」

「…穏」


 穏、本名を陸 伯言。

 冥琳には流石に及ばないにしても、かなりの知識を持っている軍師の一人。


「ほとんど自分の育ての親みたいなものじゃない。本当に平気なの?」

「はい~。だって陸康様は既に亡くなられましたから」

「………えっ!?」


 穏は、少し寂しげな雰囲気を漂わせながらも笑顔でこちらの疑問に答えてゆく。

 

「陸康様はつい2ヶ月ほど前に息を引き取りました。今の太守は劉勲というお方だそうですよ~」

「なんですって!?私はそんなの聞いてないわよ冥琳」

「知らないのも無理は無い。未だ、蘆江の民は太守が陸康だと思っているだろうからな」


 冥琳が言い切る前に穏の体から少量の怒りが溢れているのを感じ悟った。

 太守が死んだことを隠している。

 理由は………あまり明るみに出せるようなものじゃないわね。

 原因は恐らく先の反董卓連合。

 そこに陸康は参加していなかった。

 否、出来なかっったのだ。

 その理由には少なからず私たちも関係している。

 陸氏は呉郡の四姓と呼ばれる有力豪族で、食料から武器まで色々扱う商人でもあった。

 穏が陸氏の血族ということで連合に参加する為の兵糧やら武器防具を揃えて売って貰ったわね。

 こちらとしてはとても大助かりだったが、そのせいで陸康の所で物資が揃わなく、連合には不参加という形になった。

 無情になって言うならば、そこの管理が出来ていなかった陸康自身の失態。

 しかし、私も人間の血が流れている訳で、罪悪感を感じてしまう。

 陸康の死、その事を隠している現状、連合への不参加の意味。

 それらを組み合わせ、少し考えれば真実の片鱗が分かる。

 これは袁家の手による物だ。

 穏は陸康が亡くなったのは2ヶ月前の事だと言った。

 2ヶ月前といえば反董卓連合が洛陽に向かって進軍している時期。

 そんな時期に、例え物資が無くとも軍を出していない諸侯の首を取れるほど力を有した諸侯は居るはずがない。

 それだけの力を持っているならば、連合に参加しているでしょうし、参加していないのは臆病風に吹かれた屑共が大半。

 だとすれば、残るのは袁家。

 その元老共だけだ。

 反董卓連合は、私たちから見れば功績を上げる絶好の機会だった。

 しかし、袁家から見れば力のある諸侯を一箇所に集め、他の諸侯を潰すのには邪魔が入らない。

 しかも、あわよくば連合で董卓と戦う事で諸侯の力を弱めようという意図があったのでしょう。


 利用された。


 そう思った瞬間に体中の血が沸騰するかの様に熱くなるような錯覚を起こす。


「落ち着け、雪蓮。怒っているのはお前だけではない」

「そうですよ~。私だって出来る事ならこの手で袁家を滅ぼしたいですし~」


 二人に咎められ、多少落ち着きを取り戻す。


「そうね、それに今の私たちには先にやらなければいけない事がまだまだ沢山あるしね」


 そう、まずは母様の呉を取り戻す。

 そして、嬉しいことに呉を取り戻すためには袁家の一族である袁術を屠らなければいけない。

 

ズキンッ


「――っ!」


 袁術を屠る、そう思った瞬間に心臓に痛みが走る。

 袁術は悪くない。

 もちろん勘だけど、陸康を殺すなんてあの子にはできっこない。

 まだ幼いせいで、自分の言葉でどれだけ人が苦しむのかを考えられないだけ。

 だが、殺しや暗殺なんかの命令を下せるような子でも無い。

 袁術が本気で怖がる事や悲しむ事を張勲が下すこともありえない。

 張勲も袁術を洗脳操作みたいなことはするが、それは袁術を思ってでしょう。

 だから袁術はほぼ無関係。

 だが、呉を取り戻すには『袁家の袁術』を殺さなければいけない。

 それがどんなに若かろうと、無関係な事だとしても。


「……冥琳、すぐに出立の準備をするわよ。袁術が帰ってくる前に城を占拠しておきたいもの」

「…あぁ、分かった」

「冥琳は兵をまとめる将を纏めて、穏は兵糧の計算と支度、それに武器の確認をお願いするわ」

「分かりました~」


 私の命を受けて、二人が軽い抱拳礼をし、部屋を退出した、

 私は未だにズキズキ痛む胸の前で片手を握り締め、窓から空を眺める。

 青々とした空が広がり、雲は遠くに千切れ雲が少しあるだけ。

 空が高いという言葉が誠に似合うその空を見上げ呟く。


「戻って来ちゃ駄目。…美羽………」


 微かに呟いた独り言は空中に溶けるように消えてしまった。



================白蓮視点================


「だぁーーーー!忙しすぎる!」


 目の前に積まれた竹簡の一つを鷲掴み、それを振り回す。


「姉上、物に当たらないで下さい。暴れないでください」

「しかしな範!こんな量の竹簡を今日中に処理しきれる訳ないだろう!」


 私が暴れたのに対し、冷静に正論を挟んできたのは私の末の弟である公孫範である。

 私や公孫越とは違い、文武をこなすというより、文官でいる方が多い。

 範曰く「僕は武官など務まりませんから」とのこと。

 確かに腕力が無いせいで持久戦や力押しには弱いが、その分、技の練度が格段に高い。

 その部分だけで見れば私ですら敵わないかもしれない。


「何をこちらばかり見ているのですか姉上。気持ちが悪いです」

「き、気持ちが悪いとか言うな!私だって傷つくのだぞ!」

「分かりましたから、早く手の方を動かしてください。本当に今日中じゃ終わらなくなりますよ」

「くぅ~~~!言わせておけばー」


 私が自分の席から立ち上がり、範の所まで回り込んだ。

 そして自慢の一撃を決め込む。


「あだぁ!な、何をするんですか姉上!」

「五月蝿い!いつもいつも正論ばかり言いまくって!私は馬の方を見てくる!」


 そして私は執務室から足早に抜け出す。

 反董卓連合が終わり、幽州の我が家に戻ってきてすぐに星が私の軍から暇をとり、去っていった。

 やはりというか、星が抜けた穴は大きく、塞ぐのに一苦労したが、なんとか再編成し終わったよ。


「ちょっ!?これ全部置いて行かないでください姉上。姉上ー!」


 遠くから私を呼び戻す声が聞こえるが、無視してそのまま馬小屋に向かう。

 この城の馬小屋は他と比べるとかなり大きい部類に入る。

 それは北方にいる五胡の民族の一つ、烏桓族を退けるために騎馬隊は必須だからだ。

 だが、烏桓が居なかったとしても馬と共に生きてきた民だから、どちらにしろ変わらないか。


「お前ら今日も元気にしてるか?お!お前今日は毛並みがきれいだな、カッコイイぞ」


 目的の場所に行くまでの道すがら、沢山いる馬たちに声を掛けながら歩いてゆく。

 そんな事は無いと思っていても、どこかで私が返事をすると馬も返事を返してくれている気がする。

 縦長に作られた馬小屋をジグザグに歩き、一頭ずつ声をかけ、状態を確認したが、皆が皆元気にやっている様で安心し、目的の馬の前で足を止めた。


白羽(しらは)、元気にしてるか?」


 幾度となく命を共にしてきた私の名馬が鼻でブルルと鳴き、返事をしてくれる。

 名前からも分かるが、お日様の光を当てるとキラキラ輝く白い毛並みをしていて、尚且つ足の速さもこの近辺で上位に入る速さだ。

 

「最近は烏桓も大人しいからな、お前も力を発揮できなくて手持ち無沙汰だろう?久々に街の外を走るか」


 嬉しそうに顔を擦りつけてきた白羽だったが、急に耳を立てて遠くの空を見つめだした。

 それだけならまだしも、他の馬たちも同様に耳を立てて、ある馬は白羽と同じく遠くをみたり、急にそわそわし始めたり、暴れる馬でさえいる始末だった。


(明らかに皆の様子がおかしい)


 そこで白羽の首筋を撫でながら注意深く全体を観察する。


「姉上ーーーー!緊急事態です!」


 そこに範が全力で駆け寄ってくる姿を目視する。


「どうした範!そんなに慌てて、何があった!」

「姉上!今すぐ戦の用意を!」

「戦だと!?烏桓が攻めてきたのか?」

「烏桓だけではありません。え、え、"袁紹軍"も攻め寄せてきました!」

「何、麗羽が?ありえないだろ、アイツが攻めてくるなんて」

「本当です!宣戦布告状を国境近くの城を攻撃すると同時にこちらに送りつけてきました」


 なんだそれは。

 そんな卑怯極まりない行動を取るなど、麗羽も落ちる所まで落ちたものだ。

 それぐらいで自分の名声は落ちないとでも思っている様にしか思えない。

 

「しかも袁紹が攻撃してきたのとほぼ同時刻に烏桓もこちらへ侵略を開始した模様です」


 袁家と五胡が手を組んだ。

 そうとしか思えない二つの軍による侵略戦。

 前と後ろから攻撃されては流石の私でも対応が追いつかない!


「姉さん!ここでしたか」

「越か。どうした」

「劉備殿に援軍の要請をお願いしに行く許可を下さい。劉備殿が平原から徐州牧になったお陰で遼東から船を出し、徐州の東海に向かえば直ぐです!それで袁紹を逆に挟み撃ちして……」

「駄目だ!桃香には援軍の要請なんかしない!」

「なっ!?」

「姉上っ!」

「駄目だ、まだ桃香は牧になってから日が浅い。内政に手を付け始めたばかりだろう。そんな状態でこの幽州まで来ることは出来ない」


 それに、桃香にそんな事を言えば十中八九、軍をこちらに寄越すに決まってる。

 同じ牧に並ばれたとしても、歴で言えば私の方が先輩だ。

 後輩の手を煩わせる訳にはいかない。


「しかし!そうなると援軍を要請できるのはあと曹操ぐらいのものですよ!?あの曹操がそう簡単に力を貸してくれるとは思いません」


 この二人を納得させるには、もう少しこいつらの心を揺らすしかないか。


「越、範。よく聞け。例え桃香に援軍の要請を行っても相手は袁紹だ。恐らく、数の暴力に私も桃香も勝てまい。合流出来ればまだ道はあるかもだが、袁紹の分厚い軍を一点突破しよう物なら一兵も残らず全滅する」

「しかし……しかし!」

「それでもし麗羽に負けてみろ。私たち三人は、他国を道連れにむざむざ死んでいった愚か者呼ばわりされるぞ。……それでもいいのか」


 その言葉に二人が苦い顔になる。

 範も、なんだかんだ言いながら武人の血が流れているじゃないか。


「…ならばどうするのですか、姉さん」

「そうです。このまま何もせずに居たら、死んでも死にきれません」 

「お前たちの気持ちも分かる。だがな、ここでもし麗羽に立ち向かって勝利した所で、私たちも無傷では済まないさ」

「勝てる見込みがあるのなら…!」

「……いや、駄目だ。兄さん」

「っ!範まで!何故だ!」

「袁紹の下には……曹操がいる。袁紹に勝っても疲弊した我々を曹操が黙って見ている筈がない」

「あぁ、そう言われればそうだな」

「あ、姉上!?そこまで読んでいたのでは?」

「私にそこまで未来を見据える智謀は持ってないよ」


 現状の把握は済んだ。

 あとは、この状況化でどう対処するか。

 そういえば、さっき越が船でどうとか言っていたな。


「越、船はどれぐらい出せる?」

「え?あ、恐らく、この城の兵半分ほどです」

「なるほど、ならば道は決まった」


 二人が真剣な顔で私を見据える。


「城の騎兵以外の兵は武装解除させ、街の人を安全地帯まで誘導させろ」

「騎兵以外となると……兵の8割を解くのですか!?姉さん」

「そうだ、残り2割の騎兵と騎馬を船に乗せ、出航。ただし、目的地は東萊(とうらい)郡だ」

「東莱……ということは………姉上」



「あぁ、麗羽に一撃、入れてやらないと流石の私でも気が収まらない」




================華琳視点================

 【華琳執務室・夕方】


 無風と別れてから直ぐに洛陽の整理をしていたが、公孫賛・馬超といった騎馬隊が現れ、その後すぐに麗羽と麗羽の軍が洛陽に押し寄せてきてしまった。

 お陰でかなり面倒な事になった。

 今思い出しても頭が痛いわ、まったく。


「華琳様、失礼します」


 嫌な思い出は基本、思い出さ無いようにしてるが、その時は何故か頭を過ぎり、次いでそこに桂花が入室してきた。

 

「どうしたの桂花?今日の経過会議にはまだ時間があるわよ」


 いつもならば朝と夜の2回ある会議で魏に残っている全員が集まり、情報をやり取りを行う。

 もちろん。桂花は私の軍師である為に軍師としては会う機会は多い方ではあるが、彼女は私の軍師であるだけでなく、魏にいる文官の中で、軍師と呼べるただ一人の人間だ。

 二流三流の軍師は大勢いるが、桂花のような一流と呼べる人間は少ない。

 であるからして、内政のほぼ全てが桂花を経由して私に送られてくるので、会う機会は少ない。

 "軍師"という括りでは多い方だが実際、会う機会は限られている。

 そんな桂花が、経過会議を行うのがまだとしても、それらを纏めるので忙しいであろうこの時間帯に来るとは珍しい。


「お耳に入れたいことが。袁紹が動きました。公孫賛を攻めた様です」

「……そう、麗羽が」

「後顧の憂いを断つ気でいるのでしょう。……そして恐らく次は…」

「私の居る魏か、徐州にいる劉備でしょうね」


 さて、麗羽はどちらを選択するのか。

 ………考えても分からないわね、あの子、結構な気まぐれ屋だし。


「それと、同時に袁術にも動きがありました。進軍先はただいま間者に探らせています」

「袁術も動いた……か。分かったわ桂花、今後の方針は経過会議でするわ。それと………無風の行方は掴めたかしら?」

「…いえ、現在も捜索中です、本当にあの馬鹿、今どこに居るのかしら。手紙の一つでも寄越しなさいよ」


 無風の事を聞いた途端に、桂花の軍師としての顔が剥がれ、いつもの表情になった。

 ふふ、隠しているみたいだけれど隠しきれて居ないわよ。

 恐らく私も今は仏頂面から軽く笑みの形になっているでしょうね。

 本当は、これがいけない事だとは知っている。

 たった一人の人間が居るか居ないかだけで将の士気が左右されるなんてね。

 とても、魏は弱くなったと思う。

 と同時に強くなったとも思う。

 黄巾の乱の終結と同時に消え、反董卓連合の戦の中でまた姿を現した男。

 その男が消えてからの私たちは何処かがおかしくなった。

 桂花は、より内政に精を出し、春蘭はいつも通りに鍛錬をしたり練兵をしていたが、どことなく気が散っていた。

 流琉も時たまに料理の味がおかしくなる時があり、一度炒飯を作らせてみたが、米が引っ付き、胡椒が効きすぎていて辛味が強い物ばかり。

 料理に集中出来ていない証拠だ。

 斯く言う私も恐らく何処かおかしかったでしょうね。

 自分では気づいていない何処かで。


 そんな中、洛陽に向かう途中で敵の罠に嵌まり戦闘に突入した。

 その戦では、男が生きて居ないかもという不安に、自分の実力では敵わないと理解している相手に立ち向かってしまった。

 自分の実力を把握しきれない程に頭がおかしくなっていたのでしょう。

 其処で呂布と戦い、傷を負った私が殺されかけた所で……現れた。

 そこでたった一人………たった一人の男が、戦局を変えた。

 有り得ない・不可能だと皆が思うような事だが、あの男ならばそれが可能になりうる。

 その証拠に、董卓軍の猛将3人を見事に退けた。

 3人同時に攻撃して来ていたら、また結果は違っていたでしょうけど。


「ねぇ、桂花。今日は久々に皆で食事をしましょうか」

「え?どうかなさったんですか?この様な時にそのような……」

「こんな時だからこそ、よ。皆で食事をしながら、帰ってこない馬鹿な男の話をしましょ」

「ど、どどど、どうしてあんな人を心配させるだけして心配させて帰ってこない白濁男の話をしながら。料理を食べながらする話じゃありません」

「あらそう?皆でどこにいるか予想するのも楽しいかもよ?」


 あ、でも全員では無理ね。

 先に言っておいて何だけれど、霞と凪達3人は無風にいい印象が無いのを忘れていたわ。

 なので少しだけ軌道修正。


「まぁ、いいわ。無風の話は置いといて、今日は何だか料理がしたい気分になったの。だから流琉と一緒に作るから、皆を集めなさい」

「華琳様自ら作るのですか!?はい!絶対に出ます!」


 今もしも桂花に犬の尾っぽがあったら、はち切れんばかりに振りまくってるでしょうね。

 本当に久しく桂花のこんな笑みを見た気がするわ。

 桂花だけでなく、無風が生きていると皆が自覚しただけで、城内が明るくなったように思える。

 気持ち内政の進みも以前より早い気がするし。

 深刻な足取りで部屋に来たのとは真反対に、出て行く時は軽快な足取りで執務室を出てゆく桂花の後ろ姿をクスクスと笑いながら見送り、窓から空を見上げた。

 空は真紅から藍色へと移り変わっている。

 もう少ししたら空も真っ暗になるでしょう。


「早く帰ってらっしゃい無風。あなたの居場所はまだここにあるわ」



北郷「皆さんどうも、今回は俺と……」

桃香「私があとがきをさせていただきます!」

北郷「さてさて、今回は何故up主と華琳が居ないのかというとね」

桃香「テストで頑張った褒美に、華琳さんがup主さんを遊園地に誘ったんだよね」

北郷「ま、まぁね(それでup主の自腹だってんだから、可哀想にup主)」

桃香「酷いよねー、そんな楽しい所に行くなら私もついて行きたかったー。ぶーぶー」

北郷「まぁ、今回は華琳の褒美という事だし、二人だけにしといてあげようよ」

桃香「うん、そうだね。でもいいなー、私も行きたいなー」

北郷「うーん。遊園地は他に近い所では無いけど、水族館ならあるね」

桃香「連れてってくれるの!」

北郷「桃香が行きたいならいいよ。こっち側来るのまだ数回しかないもんね、桃香は」

桃香「うん♪ご主人様だーい好き!」

北郷「うわっ!?と、桃香!?いきなり抱きつかないでよ、バ、バランスが」

桃香「♪~~」

無風「…………(他所でやれ)」←居るのに忘れられてる

北郷「じゃ、じゃあ皆。また次で会おうね」

桃香「皆さんも夏ばてとかには気をつけてね~!」

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