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金と黒の輪舞曲

 『洛陽』


 そこは漢という国家が成り立つ中でも一番に栄えた都。

 一度、滅ぼされた漢を漢王朝の皇族である劉秀が再興。

 一時的な平和の世が訪れる。

 しかしそれも既に限界を超えた。

 劉秀こと光武帝が生前だった時はまだしも。 

 光武帝の死後、権力者達は醜い権力争い、地方豪族の反抗、賄賂政治による官僚の賄賂などなど。

 しまいにはそんな政への不満を爆発させた民衆の叛乱が起こる始末。

 そんな人間の負の部分を見続けてきた洛陽という街では現在、大規模な市街地戦闘・・・・・・いや、乱闘と言うべきか。

 何故そのような状況に陥ったのかというと、問題は少し前に遡る。


・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・逃げるだけだ」


 俺は剣の切っ先を孟徳に向けながら宣言する。

 劉備陣営からの脱軍。

 本来ならば勝手にそんな事をすれば軍法に基づいて死刑とは行かなくとも、それなりに重い刑が下るだろう。

 まぁ、あの劉備がそんな刑を下せるものならばこちらも苦労する事はなかっただろうけどな。

 実際は客将として雇われてるだけだった筈なのに、いつの間にか仲間認定されてるし。

 とは言うものの、客将という立場ではあるが自分勝手に軍を抜けるのは時期を見計らった方が良いと判断し、今回の機会を狙った。

 今ならば董卓を討伐した時点で、反董卓連合の共通した敵が居なくなった。

 そしてこれからは戦後処理と諸侯の睨み合い・腹の探り合い合戦が開始されるのは目に見えている。

 この機に乗じて逃げるのが最善。

 簡単に逃げられるかは別としてだがな。

 正直、俺が事を成すまでに孟徳が洛陽に到着する可能性は五分五分だった。

 軍に残り、袁紹が退くのを待っていたら今この場には居なかった。

 しかし、軍から隊に分けてこちらに来るようなことがあれば到着してても可笑しくはない。

 実際は後者だったな。

 軍から隊に分けるとそれだけ危険は高まる。

 各個撃破される恐れもあったが、他の諸侯ならいざ知らず、孟徳の軍が各個撃破されるとしたら数日前に敗走した呂布軍くらいなものだ。

 だからと危険度が下がる訳でも無いがな。

 まぁ、それだけ想われていると前向きに受け取るとしよう。


 話が逸れたが脱軍した俺を見逃すはずもなく勧誘して来たが、今は流石に戻ることは出来ない事情がある。

 先ほど孟徳の勧誘で周りの人間が騒いで居たが、文若・士元・孔明の3人だけは静かに事を見ていた。

 文若と士元は分かる。

 士元とは、そのことを既に話しているし、文若は孟徳が俺を勧誘する事などお見通しだっただろう。

 ただ、その中で落ち着いているのが意外だった人物は孔明ただ一人。

 それらの情報から察するに、孔明は俺の真意が分かっていると見ていい。

 連合軍に参加する前と今とでは、情報を柔軟な思考で読み取る力が強くなっているな。

 これなら心配は無い。

 あとは孟徳からどう逃げるか

 それに専念すればいいだけ。

 手っ取り早い方法で行くか。

 これからどうするかを決め、少しずつ摺り足で後ろに下がる。

 俺がこれからに思考を巡らしていた時は、俺が断った事に孟徳自身、目を見開いている風に感じていたが、次の瞬間に

口角が上がりきる程まで引き上げて不敵な笑みの形になった。

 実際に孟徳の顔をみたら、美しくも体の中が凍るような笑みをしているのだろうな。


「そう、やっぱり実力行使でないと駄目なのね。いいわ、ならお望み通り実力で貴方の全てを奪ってあげる。桂花!」


 孟徳が文若の名前を大きく叫ぶと、後ろに控えていた文若からバタバタという音と、何かが空を飛ぶような気配を察知した。

 いきなりの事でそれが何だか認識出来なかったが、集中してその物体を視る。


「・・・・・・・・・・・・鳩?」


 文若の懐から鳩が飛び出し、それが高く飛んでからまた文若の元に戻っていった。

 伝書鳩にしてはあまりに不可解なその鳩の行動に警戒を強める。

 すると、劉備軍後方、孟徳の部隊が慌ただしくなりだした。


「・・・・・・・・・・・・なるほど、今のが"合図"か」


 俺がそう呟くと、文若が胸を張って答えてくる。


「そうよ!事前に春蘭と霞の二人に突撃できる準備を進めていたのよ。まぁそれだけじゃないけどね。流琉!」


 霞という人物は知らないが、このタイミングで初めて聞く名と言う事は数日前に呂布を撃退した時に捕虜として捕まえた張遼あたりだろうな。

 上手く仲間に引き込めたか。

 そして今度は文若が流琉の名を呼ぶ。

 ・・・・・・伝言ゲームでも流行っているんですかね。曹操軍では。

 そんなどうでもいい事を思っていると、突然真上から落ちて・・・・・・否、飛び込んできた存在を察知してバックステップで避ける。


ドォォォォォン!


 もの凄い爆音と共に地面が思いっきり凹んだ。


「兄様、ごめんなさい。大丈夫でしたか!?」


 地面をおもいっきし凹むくらいの威力で攻撃を仕掛けて置きながら大丈夫と聞くのは可笑しいですよ、流琉さんや。

 しかし、なるほどな。

 流琉が先程から全く喋らなかったのは、居なかったから。

 真上から表れた事を考えると、一旦洛陽内に入り城壁に登ってそこから落下する勢いを付けて攻撃してきた訳だ。

 そして、流琉が攻撃を仕掛けて置きながら大丈夫と問い掛けてきた事から、流琉は足止めの役割だけと見るべきだな。

 孟徳の護衛は外せないのを考えると一時的な足止めとしか考えられない。

 しかし、流琉の武器はかなりの大型武器、こちらは小回りの利く刀、一時的な足止めと考えてもそれほど長くは無理だ。

 となると、次は流琉では無い誰か・・・・・・っ!

 そこまで思考がたどり着いた瞬間、垂直に飛ぶようにバック宙返りで回転しながら後方に飛ぶ。

 その直後、無音の刃が俺の首があった場所を狩るように通り過ぎた。


「あら、よく躱したわね。無風」


 着地して攻撃してきた人物を視る。

 そこには全体的に小さいながらも、相手の命を狩るには十分な鎌、『絶』を持った孟徳が立っていた。


「・・・・・・・・・・・・危うく文若の策に嵌る所だった」

「無風がそこまで桂花を評価するなんて、流石は私の桂花ね」


 絶を回転の力を利用して手や腕で回転させ、いつでも攻撃に移れるようにしている。

 まだ腕を再生させてから数日しか経っていないので心配だが、そのお陰で助かった。

 もしも孟徳が怪我をしていなければ首が飛んでいたか、もしくは首に刃が当てられて敗北している。

 孟徳自身、リハビリを兼ねた戦闘なのだろう。

 攻撃の鋭さが無い。


「さぁ、無風。踊りましょ?」


 その孟徳の笑みは、他の誰よりも綺麗で美しく、それでいで内なる獣を呼び覚ましたかのように獰猛。

 触れたくて、でも触れたら自分が怪我をしそうな、まさに薔薇のような危険な美しさだった。

 それに応えるかの様にニィっと笑みを作るが・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・いいだろう。・・・・・・・・・だが」


 短くそう返し、踵を返す。


「・・・・・・・・・・・・それはまたの機会に取っておこう」


 洛陽の城下内に向かって走り出した。

 董卓と賈詡、司馬懿が洛陽住む民全員を他に避難させて、街はもぬけの殻。

 しかし、それを知っているのは董卓と賈詡に司馬懿、そして俺と士元の5人だけ。

 孟徳はその事を知らないはずである。

 城下なら孟徳は迂闊に行動出来ないだろう。

 かなり卑怯な手だと思うがこちらも必死なのだから許して欲しい。


 ・・・・・・しかし、俺の予想は大きく外れた。

 お構い無しに孟徳は俺を単身追ってきたのだ。


「街に逃げても無駄よ!桂花に洛陽内の様子を探らせたわ。もうこの街に人っ子一人居ないってね」


 読まれていたか。

 確かに、こうなった場合の逃走ルートは大まかに決めて居たが迂闊だった。

 孟徳が街に追ってこないと予想した理由はいくつかある。

 一つには、軍または隊の人数でいきなり洛陽に突入する事自体、孟徳自身避ける筈。

 今は街に人一人とていないが、孟徳のようにそれを知らず、街に民が残っている可能性を考えるならば混乱を生じる軍での突入は避けるべきだ。

 もう一つには現在の洛陽内は実質、何の勢力もいない空白地帯であること。

 民は全員避難させたとはいえ、黄巾党残党や賊がいる可能性が無いとはいえない。

 そんな所に孟徳を一人で行かせるなど、孟徳の部下が許す筈もないし、自ら単身で来るなんて思わなかった。

 逃げるだけ無駄だと判断して急制動をかける。

 ズザザっと土埃をあげながら滑り、バランスを取りながら反転。

 孟徳と相対する。


「・・・・・・・・・・・・やるな、孟徳」

「ええ、春蘭から後で怒られてしまうわね。貴方が」


 お互いに口元から獰猛な笑みを作り、武器を構える。

 言葉は要らない。

 基本は軍師寄りな傾向にある俺らだが、今は武人。

 言葉を幾つも並べる卓上ではない、戦場という直接的な命のやり取りをする場。

 気を抜けば本当に命を狩られかねない状況に来て、俺らは笑っている。


 それは本能が欲しているから。

 それは体が求めて止まないから。

 それは心が忘れられないから。


 本物の戦闘で得られる快楽を。

 人の命を狩った者にしか分からない、血を求めてしまう内なる獣の衝動。

 その獣が目を覚ましてお互いがお互いを貪ろうとする。

 

「・・・・・・・・・・・・いくぞ」


 孟徳は声を出さなかったが、俺がそう言うと口元の笑みを更に深くした。

 それを視た瞬間、孟徳の懐に飛び込む。

 構えた剣を下段から突くように孟徳の喉元を狙う。

 孟徳も俺の攻撃を読んで縦に絶を回転させて俺の脳天を狩ろうとする。

 そして同時に紙一重で攻撃を避けて交差する。

 交差し、足を地面に叩きつける様にしてバク転で飛び、今度はこちらから孟徳が足を止めた所で脳天を突ける様に構える。

 しかし、それも読まれていたのか孟徳は止まらずにそのまま走り、長脚して屋根に乗る。

 俺はそのまま地面に着地、そこを屋根から一直線に体を捻り絶を横薙ぎに薙ぐよう回転しながら飛んでくる。

 着地の瞬間を狙われた為に回避は不可能と判断し、孟徳の回転に合わせるために逆回転で回り、絶の横薙ぎに剣を合わせるよう滑らせる。

 だが、着地から直ぐの対応は無理がありこちらが剣を体ごと回転させようと腕を捻っていた所で絶が右腕の手首から肘までの腕の横側を掠めた。

 このままだと孟徳の攻撃に一手遅れてしまうので、仕方なしに回転の力を利用して体ごと孟徳にぶつかり、背中合わせになる。


「・・・・・・・・・・・・流石は覇王、だな」

「貴方も、ね。・・・・・・・・・ねぇ、気がついてるわよね」

「・・・・・・・・・・・・あぁ、結構いるな」


 少し荒く息を吐きながら笑ったかと思うと、表情を変えず俺にやっと聞こえるくらいの声量で話しかけてきた。

 戦闘の途中から氣を察知したが、俺らの周りに人の数が10・・・20人は潜んでいる。

 全部、建物の影や家を挟んだ一本向こうの道、建物の2階窓付近などなど。

 文字通り其処ら中に沢山いやがる。

 しかも、全員上手く気配を消しているから最初は気が付かなかった。

 キッカケは孟徳の攻撃が腕を掠った時、鎌の軌道から筋肉の筋が切られていた筈なのに鎌は腕を掠めただけだった。

 普通なら外しただけと安直に考えるが何故かそこに違和感を感じ、すぐさま氣を広範囲に広げ気配を消している"何者ら"の存在を感知した。

 非難しそこねた民衆ならば、俺と孟徳の戦闘に何事かと野次馬が出来ているのが自然だ。

 人数的に密偵部隊が洛陽の様子を見に忍び込んでいるか、最悪の場合は殺しを旨とする暗殺部隊。

 俺の予想が正しいならば、後者……暗殺部隊だろう。

 密偵ならば、20人近くも俺たちの様子を観察せずに数人を残して他は別の場所を見て回る。

 高い確率で俺か孟徳の暗殺が狙いと見ていい。


「隙を見せれば、恐らく好機と見て現れるわね」

「…………だろうな」

「どうするの?無風」


 笑っている口元の笑みを深めて問いかけてくる。

 コイツ、自分の命を狙われているかもしれないってのに楽しんでやがる……

 だが実際の所、現状はさして緊迫した状況でも何でもない。

 孟徳も利き腕を本調子で動かせないだろうが、そこら辺にいる野郎に負ける程弱くはない。

 斯く言う俺もそんな奴らに余裕とまではいかなくとも負ける要素は皆無。

 相手の気配から、既に実力の差が大きく違っている。

 となれば、取る方法はいくらでもある訳で


「…………あえて誘いに乗るか」

「それも一興…かしらね。じゃ、合わせて頂戴ね無風」


 そうと決まれば行動は早く、孟徳は背中合わせの状態から振り向きざまに絶を振るってくる。

 それを、しゃがんで回避した後にその状態のまま前に転がり、受身を取りながら孟徳から距離を取る。

 距離を取って孟徳と暗殺者の行動に注意を払いながら剣を納刀し、抜刀の構えで柳葉の鞘を握りしめた。

 ダイヤの剣で抜刀をしてしまうと孟徳の絶を両断しかねない。

 ここで孟徳の武器を壊すのは得策でない事は誰にでも分かるからな。


「無風、本当にやる気なの?この曹孟徳を相手にその技が通じると思ってるのかしら」


 孟徳が挑発的に話しかけて来ながら絶を遠心力の力で徐々に回転させ、回転数を上げてゆく。

 絶の回転数が上がってゆき、風を切る音がどんどんと高くなって行くのを聞きながら、隠れている奴らの氣を注意深く観察する。

 先程、孟徳が俺に向かって挑発をする際に"この曹孟徳を"と言い、自分が誰なのか態と明かした。

 しかし、その名前を聞いても奴らから緊張や氣が揺れるような事はまったく無かった。

 つまり、氣が乱れなかった事から奴らはあの少女が曹操だと知っている。

 そして緊張するような空気の張りも感じられなかった。

 とすると、奴らの目的は俺の暗殺の線が大きい。

 いくら暗殺者として修行しても、でかい目標を目の前にして本能的に緊張しない奴は稀だ。

 生まれてから暗殺者として育てられてきたと言うのならまだ分かる。

 しかし、そんな先の先まで見越して子を育てる人間はいないし、元からそういう育て方をする村や里が有ったとしても20人近くもそんな人間を一気に雇用

出来るとは思えない。

 俺の仮定が正しければ、ターゲットは俺になるだろうな。


「…………調子に乗るなよ?孟徳」


 奴らに気づかれない様に孟徳の演技に乗っかる。

 数秒、体感では数分は見ていた様な時間の流れの中で微動だにしない俺らに一陣の風が吹いた。

 そして丁度、俺と孟徳の視線が交差している中央に風に乗って流れてきた葉っぱがお互いの視線を塞いだ次の瞬間。

 俺は更に頭を落として前に飛び、孟徳は回転させていた絶に更に遠心力を乗せるため、その場で体ごと回転する。

 

キィィィィィン


 甲高い音が鳴り響き、俺と孟徳がお互いに立っていた位置に入れ替わる。

 1秒にも満たない静寂の後、カランカランという音がして両断された"柳葉刀"の刀身上半分が交差した中央に転がる。

 本来ならばここで余韻に浸りたい所だがそういう訳にもいかず、切断された剣を捨ててバックステップで孟徳のいる方に飛ぶ。

 その次の瞬間、俺がバックステップで回避した場所には無数の鉄の棒が刺さっていた。

 ボウガンの矢の様な太さの鉄の棒を暗殺部隊の奴らが投擲したのだろう。

 奴らも先制攻撃が外れたのを確認したのか、俺と孟徳の周りに姿を現す。


「へぇ、結構人数いるのね」

「…………」

「何を黙ってるの?まさか怖気づいたなんて言わないでしょうね」

「…………いや、雑魚だけなのを確認してただけだ」


 俺の言葉を聞いて二人、殺気を纏って俺の喉元を掻っ切ろうと飛び込んでくる。

 その内の一人は、木刀の柄頭を引き上げて顎を強打し、もう一人は孟徳が絶で首を刈り取った。

 勿論一人は即死、もう一人は脳震盪を起こした状態だが、飛び込んできた速度と木刀を引き上げた速度から、今後恐らく脳になんらかの障害が発生して、暗殺どころか戦闘も行えないだろう。


「ずいぶんと残酷な事をするのね」

「…………当然」


 孟徳は、口では笑っているが目が笑っていない。

 それはそうだろう。

 今の奴はこれから普通の私生活を送るにしても脳の障害のせいで満足に生活出来ないかもしれない。

 だったらいっその事、苦しまずに殺してやるほうが優しさなのだろうが、相手もこちらを殺しに来ているのだから当然の代償だ。

 だから死よりも辛い選択をさせてやった。

 しかし、それよりも気になった事が一つ。

 

「…………こいつら、素人すぎる」

「ええ、そこは私も気になっているわ」


 相手の出方を伺いながら小声で孟徳と確認しあう。

 先程の相手の行動は暗殺者として絶対にしてはいけない。

 暗殺者は基本、まず最初に己を殺す。

 自分が何処の誰か、どこの所属かを示す物を消す。

 場合によっては肉親でさえ・・・・・・。

 己の感情をも消し去る。

 だが、今の相手はこちらの挑発に乗った。

 それすなわちソイツらは己の感情やプライドを捨てきれてない半端者。

 そんな質の悪い人間を登用した所で足しにも成らないはず。

 半端者の暗殺者を使ってまで俺を殺したい相手とは誰だ?


ぐわぁぁぁぁぁぁ


 頭の中で自分に暗殺者を仕向けそうな相手をピックアップしていると、前方で暗殺者たちの倒れ伏す音が聞こえてきた。

 よく聞くと、剣が肉や骨を断ち血が吹き出るような音が聞こえる。


「どうやら、この人間たちが害であるって共通認識している人がいるようね」

「・・・・・・・・・・・・仲間かは・・・・・・分からん、がな」

「えぇ」


 そう、自分たちの敵を倒してくれているからと言ってその人が仲間であるとは限らない。

 今回の反董卓連合がいい例だろう。

 共通の敵が存在しているからこそ、いずれ敵同士だとしても今後、自分の利益の方が大きいと判断したから、今回の連合軍は成立した。

 それと同じ、敵の敵は味方なんて単純な方程式が成り立つ事などありえない。

 前方で敵が倒れていると言っても、こちらはまだ左右と後ろにも敵はいる。

 暗殺者を倒している人も味方かどうか分からないので、先程と同様に全方位に意識を向けながら、徐々にこの中央へ向かってきている人物に向けて氣を放つ。

 しかし、氣を巡らしてもその人物が居るであろう場所には何も居るようには感じなく、仕方なしに来るのを待つ。

 恐らく、俺を中心に放射されている氣を他に流れるようにしているか、もしくは氣を相殺しているのだろう。

 そして一人、また一人と倒し俺らの前に表れたのは意外な人物だった。


「何をしているのですか。無風さん」

「仲達っ!?」

「・・・・・・・・・・・・司馬懿」


 まさしく、今現れた人物は司馬仲達その人だった。

 しかし・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・お前は逃げた筈。何故ここにいる」

「そういう無風さんこそ、何故まだここにいるのですか」

「・・・・・・・・・・・・少しな。孟徳と遊んでいた」


 司馬懿はそのまま黙りこくってしまった。

 言っておきたい事はあるが、今は先にコイツらを片すのが最優先。


「・・・・・・・・・・・・まぁいい。とりあえずお前らは」


 ついさっき納刀したダイヤの剣を抜刀して、特にといった構えは取らずに周りの人間に宣告する。














「・・・・・・・・・・・・死ね」

どーも、ココノでございます。

最近、執筆が出来なくてストレスを感じているのか、頭痛が酷いです。

もうすぐ期末テストがあるんですよー。(唐突

なんかテストが近いとどうでもいい事ばかり考えちゃうのは私だけだろうか。

とまぁ、そんな事は置いといて、次回ではどんな話にしようか迷ってます。

現在はあまり執筆できていないので、ここでドンっとやりたいですねぇ。

ま、無駄話はここらで止めておかないと永遠に続きそうなのでw

皆さん、また次回もよろしくですー

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