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黒い風の正体(前編)

前回のあらすじ

・孟徳が負傷

・無風が敵を撃退

・最近のコーラ、不味くね?←

================華琳視点================


 私は一瞬、自分の耳を疑った。

 無風は今何といった?

 私の怪我を治すと言ったの?


「無風、気持ちは嬉しいわ。でも慰めなんて私は望んでない」


 そうだ、いくら無風でもそんな神がかった事ができる訳が無い。

 この世界で傷の治療といえば、包帯で巻いて血が流れるのを塞ぐくらいしか無い。

 私の傷のように神経がイカれてしまうと治療法は無い…筈である。

 ただ可能性として五斗米道の華陀と呼ばれる人物ならば治せるのかもしれない。

 しかし、生憎華陀はここにはいない。


「…………諦めるのか?」


 無風が立ったまま私を見るので見下ろされてる形で問い掛けてくる。

 そのあまりに無責任な言葉に頭に来て怒鳴る。


「何よ!何も分からない癖に!貴方に何が出来ると言うの!?」


 動く方の腕を使って無風の胸ぐらを掴んで顔を引き寄せる。

 だが、無風はそんな私の叫びにも動じずに黙って聞いていた。


「巫山戯るのもいい加減にして!いきなり私の前から消えた癖に!この連合に参加してるのならどうして隠れてたのよ!

どうして直ぐに顔を、生きてる事を教えてくれなかったのよ!」


 興奮しすぎてもう何が言いたいのか分からなくなってきた。

 でも、どうせ無風の事だ。

 効率がいいだとか、その方が動き易いとかの理由だろう。

 ……だろうと思っていた。

 そう思っていたがいきなり無風が優しく、だがしっかりと私を抱いてきた。


「ふぇ!?」


 無風の思いがけない行動に変な声を出してしまった。

 周りには皆いるのに。

 羞恥で顔が真っ赤になり無風の胸に顔を当てる。

 混乱してすぐ顔を埋めてしまったが、よく考えれば今取った行動の方が恥ずかしい事に気づいた。

 どんどんと悪循環な方向に行ってしまっている。

 そこに無風が耳元に口を寄せてきた。

 無風の息遣いが直接聞こえ、ゾクゾクと体が震える。


「…………すまない」


 耳元で無風が謝罪の言葉を口にする。

 予想外の言葉に赤くなっている顔をあげて彼の顔を見る。

 すると無風は片手で目隠しを外す。

 目隠しを外したら、閉じていた目をゆっくりと開けて私の視線と交差する。

 いつ見ても私の中を全て見透かすような黒い瞳、その瞳が悲しみと後悔に彩られている。


「…………文若を守れずに軍を抜けた俺が、孟徳の前に顔を出せる資格など無い」


 ああ、そうか。

 私も忘れていた。

 無風は文武共に私の知る中で最強と言っても過言ではない。

 だが、彼も人間には変わり無い。

 彼も自分自身悩んで、苦しんでいたのね。

 

「馬鹿ね、あなたはちゃんと桂花を守ってくれたじゃない。張角達の件も貴方のお陰なのよ?罰を与えるので無く、むしろ褒美を与えなければいけないわ」


 こうして居るとあの別居での事を思い出す。

 私が下衆な男に処女を散らされそうになり、すんでのところで無風が助けてくれた時も無風は私に抱きついていた。

 いつも私に起きた事をまるで自分の事の様に悲しんだり泣いたりしていた。


「…………ならば、俺の欲しい褒美は一つだ」

「何?」

「…………諦めないでくれ」


 無風が私の右手を握る。

 だが、神経が絶たれてしまっている為に無風が握っている感触を感じない。


「分かったわ。その褒美、受理する」


 今まで真っ赤になっていた顔から真剣な顔で無風の目を見ながら答える。


「…………ならば急ぐぞ」

「きゃっ!?」


 無風が私をいわゆるお姫様だっこをして歩き出す。

 皆が慌てて私たちの後をついてくる。

 そういえば一つ気になる事があった。


「春蘭?あなた随分大人しいわね」


 そうなのだ。

 今の今まで一言も春蘭が声を発していないのだ。

 私が尋ねると、春蘭が真剣な顔で私に答えた。


「はい、無風に思うことは沢山あります。が、華琳様を助けてくれましたし、無風に華琳様の傷を治す方法があるなら、まずは華琳様の傷を治す事が先決です。」


 春蘭が無風をひと睨みしてから悔しそうな顔になり、「それに」と言葉を続けた。

 

「それに、不思議と無風ならなんとかしてくれると思えてしまいます」

「ふふ、姉者も同じ事を思っていたのだな」


 春蘭の言葉を聞いて秋蘭が小さく笑い、季衣と流琉も笑顔で頷いている。

 無風、あなたには分からないでしょう。

 あなたが居なくなってから私の軍はどこか空気にシコリのような物があった。

 笑顔で居ても、笑っていても、笑顔に影が差していたのだ。

 だが、今の私たちは満面の笑みとも言える笑顔だ。

 分かる?あなたは既に私たちには欠かせない人物になっている事を。

 

 そんな私の気持ちを知ってか知らずか無風はそのまま私の陣地に向かってゆく。

 ちょうど陣の入口まで来ると、誰かが駆け寄ってくる足音がしてきた。

 言わずもがな、桂花だ。


「華琳様!お怪我をされたとほう……こ…………く……」


 途中で桂花が走る速度を緩め、最後は少し離れた所で立ち止まった。

 無風はバツの悪そうな顔だが、それでも歩く足を止めずに桂花の近くまで行く。


「…………久しいな、文若」

「~~っ!!」


 桂花が両手で口元を押さえ、目から涙をポロポロ零している。

 ゆっくりと桂花が無風に歩み寄り、私を無風は抱いている為、無風の肩をギュッと握り泣いてる顔が見られたく無いのか額を肩口に当てている。


「帰って来るのが……遅いのよ、ばかぁ!」

「…………すまない」

「これだから……男は嫌いなのよ!いつもいつも私を困らせる、害虫なんだからぁ」


 桂花は無風の肩で4半刻ぐらい泣いた後、そのままそっぽを向いてしまった。

 まぁ、ただ単に恥ずかしいだけでしょ、可愛いんだから。


「…………すまないついでに文若。一つ幕舎を用意してくれ。あと俺の指名する人物以外立ち入らせないようにも」

「なっ!?貴方ねえ、帰ってきて早々何偉そうに多く注文してんのよ」


 とか言いつつ、ちゃっかり用意しにかかるんだから。

 もっと素直になればいいのに。

 そして桂花に用意して貰った幕舎に無風は私を寝台に寝かす。

 

「…………今からこの幕舎には、俺と孟徳を除いて文若、典韋、最後に楽進、この3名以外入るな」

「何!?何故私は駄目なのだ!」


 無風が名を呼んだ時に分かっていたが、思ったとおり春蘭が抗議する。

 秋蘭や季衣も不満な雰囲気を醸し出している。

 私はてっきり無風が居た当時の面子をと思っていたのだから、春蘭たちも同じ事を思っていたのでしょう。

 春蘭の抗議に無風は真剣な声で問い返す。


「…………駄目だ。元譲、特にお前は駄目だ。今からやる事は俺の集中が乱れたら大変な事になる。最悪、孟徳も俺も死ぬ」

「っ!?」

「…………孟徳のこれから起こる孟徳の様子に声を荒げない自信はあるのか?」

「そ、それは…」


 春蘭にしては戸惑った声でどもってしまう。

 無理でしょうね。

 春蘭は私の軍の中でも一番に私のことを心配してくれている。

 それに性格上でも無理でしょう。

 なるほど、だから秋蘭も呼ばないのね。

 春蘭の抑え役を出来るのは秋蘭しかいないものね。

 真桜や沙和はこの天幕に誰も近づけさせないように警護の必要がある。

 そして凪なら、ここでの事は他言無用してくれるでしょうし無風の集中を切らさない様に居られる。

 だが、それは私が凪の性格などを知っているが為。

 無風は凪の事をあまり、最悪全く知らない筈。

 つまり、私の考え以外の意味で凪を呼んだのだろう。

 しかし、それは私には分からない。


「…わかった。華琳様の事は頼む。だがもし!華琳様に何かあれば…」

「姉者、今は無風を信じる他あるまい」


 なんとか全員納得してくれた様で幕舎を出てゆく。

 だが、無風はまだ難しい顔で目を閉じ、軽く俯き声を発する


「…………言葉が分からないのか?出てけと言っている」


 視界の中にいるのは、無風の指名した人物しかいない。

 なので静寂が訪れるが、少しして幕舎の中に設置された家具の後ろから一人の女の子が出てくる。


「ほえ~……、気づかれちゃった~……」


 第一印象と違わず、いつものんびりした少女。

 姓を徐 名を晃 字を公明 真名を香風という女の子だ。

 無風がいなくなってから凪達を軍に呼んだ時に彼女たちが推薦した子だ。

 元々は鍛冶屋を営んでいる子だが、武の方もなかなかに強い。

 

「…………誰だか知らんが、今すぐ出て行け」

「大丈夫よ、無風。この子は私の護衛としてついて貰ってるの。それに無風の邪魔をするような子じゃ無いわ」


 桂花が無風に説明すると、「そうか」と一言だけ言って私の方を向く。


「…………今からする事は他言無用だ。だが、やる前に……文若」

「何かしら?」

「…………酒精の高い酒はあるか?あるなら持ってきてくれるとありがたい」

「え、ええ。一様ここにあるわ」


 そう言って桂花は棚から一本の酒瓶を取り出す。

 だが、酒精の高い酒を一体何に使うのかしら。


「…………なら、典韋。極力綺麗な布を用意してくれ」

「わかりました。兄様」


 そういって流琉が幕舎を走って出て行く。

 

「…………これで準備は揃う。最後に……孟徳。」

「何かしら?」

「…………これからやる事は、激痛が伴う。止めるなら……今のうちだ」

「あら?治して欲しいと言ったのは貴方じゃない。それに例えどんな事があろうと私は承諾したのよ?ここで逃げる訳には行かないわ」

「…………分かった」 


 無風はまた辛そうな目をするが、瞬きした次にはいつものように感情を見せない黒い瞳に戻っていた。

 そこに流琉が戻ってくる。


「兄様!持ってきました。」

「…………すまない。孟徳……飲め」


 そう言って布を寝台の横に置いて、先に酒瓶から注がれた湯呑を渡してくる。

 かなり強めの酒なのだろう。

 匂いを嗅ぐだけで少し頭がクラクラする。


「ねぇ、どうしてお酒を?」

「…………少しでも痛みが和らぐようにと、酒精…俺の居た所ではそれをアルコールと言うんだが、アルコールは消毒の役目がある」

「なるほどね」

 

 無風が自分の国の言葉を使うなんて珍しい。

 それも私以外の人の前でそれを聞いたのは初めてではないだろうか。

 いつも私たちの言葉に合わせて居る事が多いからか、向こうの国の言葉を使うと違和感を覚えてしまう。

 だがそれだけこちらに馴染んでいる証拠でもある。

 それを嬉しく思う。


「ん……ぷはっ」


 一気にお酒を飲み干す。

 お酒が喉を通り、胃に入ってから一息。

 ドクンッ!と心臓が動いた瞬間、体全体に渡るかのように酒が回る。

 おかしい、酒に強い方では無いが一口飲んだだけでこんなにも酔うほどヤワでも無いはず。


「無風……このお酒おかしいわ…」

「…………おかしくない。ただ、酒に孟徳と同じ波長の氣を混ぜておいた」


 なるほど、無風の仕業なのね。

 少しボヤける視界で無風をみる。

 彼は布に酒を染みこませて傷口の血や汚れを払拭している為にこちらを向いていない。

 傷口付近だからか、無風が布で腕の血を拭いている感覚が微かに感じる気がする。

 

「…………妙才の応急処置が完璧だったお陰で血はそこまで抜けてないな」

「ふふ……私の自慢の子………だもの」

「…………それもそうか」


 二人で軽く笑い合う。

 今から治療するというのに不思議と怖い感じがしないのは、相手が無風だからだろうな。

 しかし、ここで無風の顔が真剣になる。


「…………じゃあ、始めるぞ。文若、孟徳の動かない方の手を握れ」

「え?あ、わ、分かってるわよ」


 桂花が私の手を握ってくるが、なにせ感触が無いから本当に握ってくれているのか分からない。

 あとは……信じるだけ。

 私は天井を見て目を閉じた。


================無風視点================


 悔しいが、流石と見るべきか。

 呂布が孟徳につけた傷は切断面がきれいな状態で切れている。

 これならば治癒するのが格段に楽だ。

 それにこの傷口を見れば、呂布の優しさが分かる。

 綺麗に切断すると痛みを感じるまでに少し時間がかかる。

 その間に絶命させれば痛みを感じずに殺す事が出来る。

 戦争に死は付き物だ。

 仕方のない事である。

 その中で唯一の優しさといえば、苦しまずに殺してやることだけ。

 本当は呂布も優しい娘なのかもしれない。

 孟徳を傷つけた事への報い、戦争の常識、呂布の思い。

 それぞれの矛盾同士がぶつかり合い、複雑な気持ちになるが今は全ての感情を捨てる。

 ただ、孟徳を助けたい。

 その気持ちだけを心に、氣に、魂魄に刻む。


「…………行くぞ」


 孟徳の腕を動かし、傷口を塞いだ状態にする。

 

「ぐっ!?」


 傷口が合わさり、擦れた拍子に激痛が走ったのだろう。

 孟徳の顔が苦痛の表情になる。

 いくら酒で感覚を鈍らしてるとはいえ、痛いものは痛いだろう。

 それにこれ以上酒を飲ませては、逆に血の巡りが活発になってしまい大出血の恐れがある。

 なので直ぐに次の行動に移る。

 孟徳の傷口を手で覆い目を閉じる。

 意識と氣を孟徳に同調させる。

 意識を同調させた事で孟徳の感情が俺の中にも流れる。

 安心、不安、緊張、責任、憧れ、欲望、恐怖、快感、後悔、

無念、嫌悪、嫉妬、罪悪感、殺気、期待、優劣感、劣等感、怒り、憎悪、愛しさ

 全てと言ってもいい感情が俺の脳内に叩き込まれる。

 その中でも俺が気になったのは、最奥にある孟徳の気持ち。

 好意と悲しさで出来ている塊。

 失礼とは思ったが、見たくなくても見えてしまう。

 俺と一緒にいる時の孟徳の記憶が映像となってフラッシュバックし、次々に見えてくる。

 それは俺の知りたかった孟徳の気持ち。

 それは俺の知りたくなかった孟徳の気持ち。

 知りたかったが知りたくなかった。

 知ってしまえば、きっと俺は孟徳を好きになってしまう。

 だが、俺みたいに罪深い人間が孟徳の隣に居てはいけない、だから知りたくなかった。

 どちらにしろ、今は孟徳を治す事に集中しなければ。

 

 しばらく孟徳と同調して馴染んできた所で問題の傷口に氣を集める。

 そして俺の氣の"特性"を発動させる。


「あ!あああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

「華琳様っ!!」


 孟徳が今までに無い激痛に聞いたことの無い叫び声をあげる。

 それに驚いた桂花が一瞬孟徳の名を叫んでしまったが、俺に言われた事を思い出したのかそれからは黙っていた。

 外も少し騒がしくなったが、妙才が抑えてるからか、元譲も頑張って自分を抑えているのか、幕舎にはやってこなかった。

 時間にすると半刻もしなかっただろうが、傷を治し初めてから孟徳が叫び声をあげなくなった。

 手に感じる感触も、既に孟徳の柔らかい肌の感触だけで、傷は塞がったようだ。

 もういいだろうと、ゆっくりと同調を切り離して目を開く。

 孟徳はスゥスゥと寝息を立てて寝ていた。

 さすがの激痛に神経が磨り減った事と、先程の戦闘で体力を使った事で疲れが出て寝てしまったのだろう。

 寝てるなら好都合、傷を治すために氣を大量に流し込んだ事で、孟徳の体の中に容量を超えた氣が溜まっている。

 これを抜かないと氣が暴走して何が起こるか分からない。


「…………孟徳、すこし我慢しろ」


 そう言って寝ている孟徳の体の上に馬乗りになり、胸の中心に手を当てる。


「ちょ、ちょっと!何してるのよ!?」


 文若が俺の行動に戸惑いながらも激怒してくる。


「…………孟徳の傷を治すために流し込んだ氣を抜くんだ」

「え?あ、な、治ってる!?」


 文若だけでなく、ここにいるほぼ全員が驚く。

 ほぼ全員というのは文若の護衛の奴は、のんびりとマイペースを崩していないからだ。

 だが、そんな文若達にかまってる時間は無いので、直ぐに最終作業に移る。

 心臓があるであろう部分に手を当て、氣を吸い取る。

 さすがは将来覇王になる奴なだけあって氣の量も尋常じゃない量だ。

 3割くらい氣を吸い取った所で手を離して孟徳の上から降りる。

 だが、降りて地面に膝をついてしまう。

 孟徳の氣の量がもの凄い量だった為に、吸い取って孟徳の氣が正常になったのはいいが、俺の中にある孟徳の氣が許容量を上回っている。

 気持ちが悪くなり、平均感覚もおかしくなる。


「…………ぐぅぅぅ!」

「兄様っ!」


 典韋が近づいてくる音が聞こえる。

 だが、氣が暴走している為に制御する事が出来なく、"症状"が現れる。

 視界が見えなくなり、手足も動かし難くなる昔からの感覚。

 

「兄様!?どうしたんですか!?しっかりしてください」

「…………あ………てん……い」

「なんですか?今すぐ布を敷きますね!」


 だが、なんとか典韋が動くよりも早く腕を掴む。

 典韋がこちらを見ているのか分からないが、頭をなんとか左右に振って必要無いことを示す。


「………がく……しん」


 そこで楽進を呼び寄せる。

 近くに誰かが来たことは音で分かったが、いかんせん視力が無い為に分からない。


「はい、何ですか?」


 楽進の声が近くで聞こえる。

 伝わってたみたいで一安心する。

 それに動揺せずに落ち着いている事から、俺の氣が暴走しているのも理解しているようだ。


「…………手………を」

「手を握れ……と?」


 その問いに頷く。

 次の瞬間にはギュッと手を握られる感触。

 

「…………き………だんは……撃て………るか?」

「氣弾ですか?はい、多少は」

「…………なら……俺の………氣を……放ち………まくれ」


 楽進は返事をする事なく、氣弾を作っては消し作っては消しを繰り返す音がする。

 そして何十回と氣弾を作って消費させて、やっと落ち着いた。

 また氣を脳に送り"症状"を抑える。


「…………楽進、もういい」

「もう、平気なのですか?」

「あぁ、典韋もすまなかった。醜態を晒したな」

「いえ、兄様が無事で良かったです」


 一息ついてから立ち上がり孟徳を見ると、未だに寝ていた。

 

「…………もう大丈夫そうだな」

「ええ、けれども……」


 ユラリと視界の端で文若が立ってこちらを見ている。

 あー、これはやばいパターンか。


「全て……そう全て喋ってもらうわよ、無風?」


 あの、文若さん?

 あなたに普通に苗字で呼ばれると滅茶苦茶怖いんですが…

 しかも凄くにっこりした笑顔が余計に怖い!?


「…………分かった」

 

 こんな時って、喋り方を変えられないのが不便だ。


up主「はい、という事でですね、まさか拠点編でも無いのに前後に分ける事になろうとは」

華琳「あなたの文章力の無さが分かるわね」

up主「言わないで!わかってるんだから、俺だって!」

華琳「しかも、何が言いたいのか主旨があやふやよ?」

up主「止めて!もう私のライフはマイナスよ!」

華琳「しかも、いきなり倒れるし」

up主「オーバーキルすぐる」

華琳「まぁ、これ以上言ったらup主が壊れかねないから許してあげるわ」

up主「もう壊れとるがな!文章力も向けたい主旨も説明も何もかも不足してますよ!ええ、そうですよ。どうせ俺なんて」

華琳「男がグチグチ言わないの!全く子供じゃないんだから」

up主「一体誰のせいだと……」

華琳「何か言ったかしら?」

up主「イエ、ナンデモナイデス」

華琳「そう、ならいいわ」

up主「いつか倒したい…。皆様、また次回もよろしくです」

華琳「……あまり、追い詰めないであげてね」

up主「そこで優しさを見せないで下さい。怒るに怒れないから…」

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