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泗水関攻略会議

遂にやってきました泗水関!

さてさて、劉備軍は無事に攻略できるのか。

 玄徳の"お陰"で"前線"で"戦う"事になったので、一応前線にやって来ている。


「無風さん…なんか……怒ってる?」

「…………怒ってなどない、呆れてるだけだ」

「ふえ~ん、ごめんなさいー」


 玄徳が俺にすがり付く形で謝ってくる。

 完全に王としての振る舞いでないその行動にため息がでる。

 それをまだ許してもらってないと勘違いした玄徳がまた謝ってくる。


「…………本当にどうも思ってない。どうせこんな予感はかなりしていた」

「か、かなり……ですか」


 その部分に複雑な顔になる玄徳は、話を切り替えようと士元と同じ質問をしてきた。


「そ、そういえば無風さんはどうしてそんなマントしているの?顔も見れないんだけど」

「…………これか?孔明に聞け」


 俺と玄徳のやり取りをさっきから隣で見ていた孔明に話を振る。

 いきなり話を振られた事で慌て出すが、いままでの経験からか動揺はすぐに収まった。


「面倒だからっていつも私に説明させないで下さい。無風さんの思考を毎回読める訳でも無いんですから」


 いつも動揺させられてばかりいた為か、少し意地悪な事を言って来た。


「…………こんな簡単な事が分からないのか?」

「なっ!?そ、そんな事はないでしゅ!」


 あ、興奮して噛んだ


「噛んでませーん!」


 心の中で呟いたつもりだったのが言葉に出してしまっていたか。

 両の手を振り上げてポカポカと叩いてくるが、孔明が目の前まで来てフードの中の俺の顔を怒り顔で覗くような姿勢になった瞬間、

 いきなり叩いてくるのをやめて大人しくなった。

 喋ってる様子も無く、ただ黙って下を向いているみたいだ。

 氣での確認は出来ない。

 氣を周りに巡らすのは、コウモリが前に超音波を発して自分に帰ってくる超音波から周りの形状を把握するのと同じで、

体勢や動きには対応できるが感情を読み取るには適していない。

 下を向いている孔明の表情は分かるが、そこからは唇を固く閉じて瞼に力を入れてギュッと瞑っているのだけで、

それが怖がっているのか、恥ずかしがっているのかの感情が読み取りづらい。

 なので目隠しをずらして孔明を見ると、顔は下を向いているが耳が真っ赤になっている。

 恥ずかしがっているのか?


「…………恥ずかしいなら戻すが?」

「…っ!はわわ、そのままでいいでしゅ」

「…………結局噛んでいるぞ」

「はうう~」


 孔明がしゃがみこんで顔を隠してしまった。

 むぅ、面倒だから孔明に説明させようと思っていたのに。

 逆に面倒事が増えた。

 目隠しを元に戻して、仕方なく玄徳にマントを着ている意味を説明する。

 まぁ、全てを話しはしないがな。


「…………まぁ、要するに俺の姿を孟徳に知られたくないからマントをしている」

「えっ?あ、ごめんなさい。いきなりだったからもう一度お願いしてもいいですか?」


 いきなり今の流れから説明に移ったので玄徳が聞き取れてなかったみたいなので再度説明する。


「…………孟徳に俺の姿を見られたら、玄徳、お前の軍が狙われる可能性が大きくなるかも知れないからだ」

「……?………。……おおー!なるほどー」


 説明を理解するのに少し時間を要したみたいだが、理解してくれたようだ。 

 理解してくれた様だが、同時に訪ね返された。


「でも、それだと無風さん寂しくない?曹操さんに会えなくて」


 ……良く分からない所で鋭いので扱いに困る。

 ここで否定しても玄徳は納得しないだろう。

 ならばここは正直に成るべき所か。


「…………あぁ、会いたいさ。アイツ等に」

「なら……」

「…………それでお前やお前の仲間が犠牲になってくれるのか?」


 玄徳が言葉を紡ぐよりも早く自分の言葉を被せて黙らせる。

 ここで喋らしたら、いつものように孟徳なら分かってくれるなどと甘ったれた事をほざくだろう。

 玄徳も言葉が喉まで出かかったみたいだが、言葉を飲み干した。

 孔明も沈黙を通しているので静寂が訪れる。

 そこで天幕が開けられ、新たに3人が天幕内に入る。

 雲長と翼徳、士元が"戦闘"から戻ってきたのだ。

 そう、今は戦争中。

 別に今の今まで別にのんびりと喋っていた訳ではない。

 現在は連合軍の先鋒隊、と言っても居るのは俺も所属している劉備軍と袁紹の従姉妹の袁術配下に吸収されている"孫策"軍である。

 孫堅軍でなく孫策軍なのだ。

 俺が知っている限りでは、まだこの時孫堅は健在だったはずだが、孫堅は既に亡くなっていて、娘である長女の孫策が軍を率いているらしい。

 三国志の歴史とは若干異なっているようだ。

 まぁ、黄巾の初期に許褚と典韋が仲間になった時点でズレが生じているのは分かっていたが。

 

 話がそれたが、現在はその二軍で泗水関の前まで来ており、そこの武将が猛将華雄と神速の張遼との事。

 臥龍鳳雛の二人が言うには猛将華雄は武人一辺倒な人間で、誇りを人一倍大事にしているらしい。

 なので華雄を罵倒して関から華雄を引きずり出そうという策だったのだが、その策を実行してからもう3日も経過している。

 雲長たちが浮かない顔で戻ってきたと言うことはまた失敗したのだろう。

 ちなみに北郷の名前が出ていないが、アイツには袁紹を抑えに行かしてるので今は不在だ。

 そろそろ違う策を出さなければ袁紹がキレるだろうし、そんなに兵糧にも余裕はない。

 そろそろ奥の手の一つを出すべきだろうか、高確率で孟徳にバレる可能性があるが、致し方ないか。



================???視点================


 連合軍を泗水関に留めて既に3日が経過した。

 賈詡っちの条件も達成したのでそろそろ次の策に映るべきやな。


「おーい、華雄。大丈夫かー?」

「んー!んー!!」

「おお、そやったそやった。縛ったままやったんやったな」


 賈詡っちにあれほど暴走するなと言われて、

しかも任せておけなんて言った癖に初日からキレて突撃をかけようとしたから縄で雁字搦めにして猿ぐつわをかけとったの忘れてたで。


「ぷはっ!おい張遼!この縄を外せ!今すぐ私を馬鹿にした奴らを蹴散らしてくれる!」

「馬鹿言うなや華雄!アンタの行動一つで、月っちの命が危険に晒されるんやぞ。アンタはそれでもええっちゅうんか!?」

「ぐっ!しかし……」

「しかしもカカシもあらへん。あんたの気持ちも分かる。けどな、ここは月っちの為に我慢しぃ」

「くっ……分かった」

「ほな、賈詡っちの言ってた次の策に移るで。はよ泗水関から撤退せな折角ここまで我慢した意味が無くなってもーてまう」


 暴れる気配も無いようなので華雄の縄を解き自由にしてやる。

 撤退準備も既に完了しているのであとは工作兵に連合軍の奴らがこの関に入った瞬間に爆破するだけや。


「ほな、虎牢関まで戻るで。全軍ウチの後につづき!」

「「「「「応っ!」」」」」



================無風視点================


 む?敵に動きが起きたか?

 既に日も落ちていて夜営の準備をしていると、向こう側から大量が動くのを感じた。

 一瞬身構えそうになるがどうやら様子がおかしい。

 大量の氣が迫って来るのでなく、むしろ遠ざかっている。

 この場面で撤退だと?何を考えている。

 まぁ、それを考えるのは俺の役目では無い。 

 すぐさま孔明と士元が共同で使っている天幕に向かう。


「…………無風だ。入るぞ」

「えっ?はわわ!?ちょ、ちょっと待ってください!」

「あわわ!?朱里ちゃん早く服着ないと無風さんに下着見られちゃう!」

「口に出しちゃダメぇー!!」


 二人して着替え中だったか、危なかった。

 危うくいつものノリでそのまま入って行くところだった。

 どっちにしろ目隠しをしているため視覚では見えないが。

 そういえば目隠しをして異性の下着を見た時って眼福と言っていいのだろうか?

 どうでもいい事に思考が反れて、考え事をしている間に二人共着替えが終わったらしく、こちらに出てきた。


「はわわ、無風さん何か用でしゅか?」

「あわわ、朱里ちゃん落ち着いて」

「…………敵に動きが起きた」

「「――っ!!」」


 はわあわとしていた二人が驚きの息を飲んで静かになると同時に、さっきとは比べ物にならない程の氣を纏う。

 これでまだ臥龍鳳雛の本気で無いというのだから先が恐ろしい。


「…敵の動きはどの様に?」

「…………ここまで離れていると詳しくは分からないが、氣で感じる限り離れている」

「つまり、撤退している、と?」

「…………恐くな」


 孔明と士元が交互に質問と応答をしてくる。

 すると孔明が考え込む様に軽く下を向いて顎を指で触っている。


「明らかに罠ですね、ですが情報が足りないのでどんな罠を使ってくるか」

「…………簡単な事だ。孔明、お前ならあの砦を使ってこちらに大きな被害を与えるにはどんな策を使う?」

「私なら?……っ!」


 孔明がハッとなってこちらを向く。

 士元も孔明と俺の会話を聞いてほとんど同時にこちらを向いた。


「…………では、孔明。お前ならどうする」

「私なら、水に遅効性の猛毒を仕掛けます。曹操さんや孫策さんは引っかからないでしょうが袁紹さんや袁術さんは引っかかると思います。

諸侯の中でも一番勢力が大きいので、水を飲まない様に伝達してもその力の大きさ故に情報が届かずに飲んでしまうでしょう」

「…………なるほど、士元お前はどうだ?」

「私は、恐らく火を用いると思います。」 


 ほう、そこに気がついたか。

 孔明の策も確かに効果的だが、半分正解と言った所だろう。


「…………何故、火だと?」

「はい、砦に入った瞬間に砦を爆破すれば最初に入った諸侯の軍は大打撃です。そして火を用いれば必ず水を使う筈です」


 そこで孔明も気がついたらしく顔が青ざめている。


「水を使って消化活動をすれば、喉が渇きます。そしてその水に朱里ちゃんが言った様に毒を用いれば…」


 想像しただけでゾッとする。

 最小の手で最高の結果を得る。

 軍師の本領がフルに発揮されている。

 そして確実に孔明と士元が考えた策と同じ事を相手はやってくるだろう。

 でなければここで撤退をする意味が本気で分からない。 

 相手も相当頭の切れる軍師がいるようだ。

 3人で話合いをしている所で声をかけられた。


「はーい、ちょっといい?」


 近づいてくるのは二人の女性、日焼けした肌に玄徳に似た桃色の長い髪の女性と、同じ日焼けした肌に艶やかな長い黒髪にメガネをかけた女性。

 氣の量から拠点入口に来た瞬間に把握していたが、そこに敵意が感じられなかったので放置していた。

 桃色の髪の女性からは特にすごい氣を感じる。

 しかし、氣の量は確かに膨大だが体から漏れ出ている。

 器の総量に対して氣の量が多すぎる、つまりそこが彼女の限界でもある。

 力は器の量だけ行使が可能だ。

 勿論氣の量を増やそうと日々鍛錬をしていれば、氣と同時に器も大きくなる。

 だが彼女は器と氣の量の幅が大きすぎる。

 つまり器の成長は既に止まっていると見ていいだろう。

 惜しいとも思うが、それが現実だ。

 そしてその人物が誰なのか、ほぼ確定しているが確証が欲しいので尋ねる。


「…………誰だ。ここは他軍の人間が出入りしていいような場所では無いぞ」


 少し喧嘩腰で尋ねると、隣にいた黒髪の女性が目を吊り上げて話してきた。


「だまれ下郎!こちらにおわす方は孫文台が娘、孫伯符様だぞ!」

「ちょっと冥琳、それ聞いてるこっちが恥ずかしいんだけど」

「我慢して雪蓮、あなたは王なのだから堂々としてて頂戴」


 二人の放つ氣に当てられて孔明と士元が怯えてしまっている。

 これだと空気をあちらに持って行かれかねないのでこちらも相手と対称の氣を放ち中和する。

 中和したからか、先ほどよりは二人共落ち着きを取り戻してきた。


「…………黙るのはそっちだ、周公瑾。人様の軍に来て威張るな」

「なんだと!?」

「まぁまぁ冥琳、落ち着いて。私たちは話をしにきたの」

「…………交渉、の間違いではないのか?」

「そうとも言うわね」


 孫策がこちらに近づいてきて俺の目の前で止まった。

 女性としては高身長だが、俺より若干背が低い。

 そして孫策がこちらを向いたまま顔が笑顔の形になる。


「それにしてもあなた、何者?冥琳は名を名乗っていないのにどうして分かったの?」

「…………簡単な事だ。断金の交わりの話は有名だからな。孫策と仲が良く、彼女はほぼ孫策、お前と年が離れていない」

「へぇ、なかなかいい観察眼を持ってるじゃない」


 そして孫策が俺から視線を外し、後ろの孔明と士元に視線を向ける。

 先ほどではないがビクリと肩を縮めて俺の背後に隠れる。


「で、そっちの二人は?」

「…………臥龍鳳雛の二人だ」


 それに心底驚いたという顔をしたのは周瑜の方だった。

 孫策はニッコリとした笑顔で関心したような声をだす。


「あなたたちがあのはわわ軍師とかあわわ軍師とか言われてる子ね」

「はわわ、はわわじゃ無いですもん」

「あわわ、無風しゃんー」


 こういう時、士元が極度の人見知りだと言うことを思い出させる。

 俺に対する時の士元と違い新鮮であると同時に、気負いしないで話してもらえてるんだなと嬉しく思う。

 ほんわかしたい所ではあるが時が時なだけに本題に入る。


「…………それで、呉の大将が何の用だ」

「ああ、うん。貴方たち、私たちに一番乗りの功を私たちに譲ってくれない?」

「…………ほぅ、俺たちが今から砦を攻めるみたいな言い方をするな」

「勘、だけどね♪」


 孫策が笑いながらそう言ってくる。

 それに周瑜が片手で額を抑えてため息をつく。


「雪蓮、お前の勘は当たるから怖い」

「うふふ、そこがいいくせに冥琳ったら」


 二人は凸凹なコンビであるかの様に見えるが、それなのにどこかしっくり来る。

 すごく抽象的にしか表現出来ないが、そうとしか言えない。

 これが断金かと思わせる。

 しかし、そこで引いてはこちらも得がない。


「…………いいだろう、そちらの条件は飲もう」

「無風さん!?」

「…………だが条件がある」


 孔明が目を見開いてこちらを見てくる。


「いいわ、言って頂戴」


 そこで条件を飲むとは一言も言わず、とりあえず条件を聞こうとするあたり交渉の最低限の知識は持ち合わせてる、と。

 

「…………そちらには優秀な諜報員がいると聞く。砦を攻める前にそいつらに砦内部のあるものを確認して貰いたい」

「え?確認するだけ?」


 肩透かしを受けたような声で孫策が問いかけてくる。


「…………ああ、それだけだ。それでいいな孔明、士元」


 確かに相手はかなり頭が切れるみたいだが、それも推測の域を出てない。

 ほぼタダでこちらは情報が手に入るのだ。

 これを利用しない手は無い。

 二人も俺の考えを読んだみたいで頷いて肯定してくる。

 だが二人がその真意を理解しているのかは俺には分からない。

 ここで砦を攻めたらどうなるのか、その相手の仕掛けた策を伝えずに話を進める意味に。

 劉備の掲げる理想と現実の矛盾を背負う必要がある事に。


「いいわ、それくらいならその条件、飲んであげる」

「…………交渉成立だな、調べて貰いたい事は……」




 そして密かに開かれた2軍間の会議は進む。

 劉備の理想を否定しかねない会議が。

 反董卓連合は始まったばかりだ。

 


華琳「ちょっとup主!私の出番は!」

up主「もう少しで出てくるから安心しろって」

華琳「嫌よ!今出しなさい!」

up主「今!?どうやって書けばいいんだよ」

華琳「そこはなんとかしなさい」

up主「しかも大事な所は俺に丸投げかよ!」

華琳「私……信じてるわ。up主」

up主「華琳……ってそんな手に引っかかるかアホ」

華琳「酷い!私で弄んだのね!」

up主「話が飛びに飛んで理解が追いつかないわ!」

流琉「華琳様ー。お夕飯できましたよー」

華琳「ありがと流琉」

up主「えっ!?いつの間に流琉までいんの!?」

華琳「私がup主の家の合鍵を渡したからよ」

up主「おおう!?俺の知らない所で何してるんですかね華琳様」

流琉「迷惑……でしたか?」

up主「うっ!…あーもう分かったよ、好きにしろ。まったくどいつもこいつも」

華琳「大丈夫よ流琉、こう見えて人が来てくれるのが嬉しいんだからup主は」

up主「ばっ///そんなんじゃねーよ///」

流琉「そうなんですか?えへへ、よかった」

up主「う~、もういい!皆様!また次回~」

華琳「まったく、素直じゃないんだから」

up主「もうこれ以上いじめないでください、死んでしまいます」

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