拠点1 秋蘭√
秋蘭は好感度イベあげてないのもあり、話短めです。
拠点1 秋蘭√ 『信用と不信』
私は警邏という名の街の散歩に出ていた。
散歩気分でなく、本来ならばしっかりと警邏に努めなければいけないのだが、
「こうも毎日何も起こらないと兵が怠けてしまうな」
そう、『何も』起こらないのだ。
黄巾党が各地で暴れまわっているこのご時世、スリや強盗といった楽をして金を稼ごうとする輩がどうしても出てくる。
なのにこの陳留の街ではそれらの事件が全くと言っていいほど起こらない。
有ったとしても酒に酔った者同士の喧嘩や財布を落としたといった事故のような事柄ばかりである。
そしてその平和そのもののこの場所は全身黒一色の目隠しした男が街の治安維持の改善案で、立て直された区画なのである。
まだ立て直しの行き届いていない区画は勿論のこと事件事故が少なからずある。
しかし、それも既に時間の問題である。
そしたら、今ある漢の街の中で一番と断言してもおかしくないくらい平和な街になるだろう。
だがこれだけでは終わらない。
街の外の田畑もアヤツの策通りに街に合わせてきっちり十字に切り分けられたら、収穫量を測るのもどれだけやりやすくなるかは私には分からないが、
今まで以上に楽になる上に、道が揃えられているので街が敵から急襲されても対処がしやすい。
ほんのちょっと考えただけで無風の出した策の良さがどんどん出てくる。
すごいと同時に恐ろしいとも感じた。
何故文武共に華琳様の軍の誰よりもほぼ優れているのに、自分で旗揚げをしないのだろうか。
今、私とともに2人の警邏兵を連れているが、この町の警邏を任されている兵はほぼ全員がこの前の戦で無風が気絶させた黄巾党の連中ばかりだ。
最初はそんな奴らに街の警邏を任せていては治安が悪くなると思い華琳様に進言したが、様子を見ましょうというお言葉で止められてしまった。
最初は練兵を見ていてもただの烏合の衆だとしか思わなかったが、日を追うごとに瞬く間に使い物になるくらいの兵に育った。
そして、その者らが警らに就いてからの事件への対応がガラリと変わった。
前の兵達は何をするでも上司に意見を聞いてから行動していた。
いや、それが普通なのだが無風のやり方は全然違い、声をかける暇も無いほど連携して報告書を仕上げ、私は報告書の最終確認だけ。
今までは前のが当たり前だったが、無風の兵に変わった途端に私の仕事の一部がすごく楽になった。
文句の付け所が無いくらい迅速かつ的確で、今までは指示を仰ぎに警邏本部まで聞きに来てから対処して報告書を書くにしても本部まで来てを繰り返していて、
上に上げる頃には3日前の街の報告書が届くなど少なくなかった。
警邏の形態が変わってから最高指揮官の桂花に報告書が上がるまで長くても6刻程度にまで早くなっていて、無風が怒られていた。
不思議な男だ、無風はと思って警邏を終えて城に帰ろうとした時、治安の悪い貧困街の方へ向かう長身で黒一色の男が目に入った。
そんなは男一人しかいない、もちろん無風だ。
「アイツが貧困街に何のようだ?」
無風の兵は警邏に回されているが、無風は警邏担当でない。
そんな男がそっちに向かうのに不安を持ち、後をつける事にした。
入り組んだ狭い道をクネクネと進んでいき、ある家に普通に入った。
こんな所の家に無断で入るなど怪しい。
家の壁に手を当てて音を聞いてみると、カチャ…キンッ!カチャ…キンッ!と剣を鞘から抜く音と納める音が聞こえる。
しかも微かに音がそれぞれ異なる。
つまり複数の剣があるということだ。
貧困街であるということと無風が一人ということ、そして複数…それもかなりの数の剣の音。
これらを合わせて考えると……
「まさか………陳留を乗っ取る気かっ!?」
おかしいと思ったのだ。
あれほどの者が自分で立たず華琳様の所に客将としてずっといることが、そして自分で育てた兵を全て警邏に回すなどという行動も。
全ては街を乗っ取り、そのまま華琳様をこの陳留から追い出すための策だったのかっ!!
しかし、そうなると警邏兵は当てにならない。奴の息が掛かっているから。
そしてそれを伝えても現行犯でないと意味がない。
自分もかなりの武を持っているが無風には敵わない。
ここは私の命と引き換えにしても仕留めるしかない。
「っ!動くなっ!!」
家の戸を手で弓を引きながら足で開けて中にいる人物に矢を向ける。
「…………やっぱり妙才か…………なんだ?」
私が矢を奴の眉間に向けられているのを気にせず、聞いてくる。
「…………お前も剣が入り用だったのか?」
「なに?」
何か私の思っていた事と奴の言っている事が噛み合ってないように感じ、周りを見回す。
そこには剣だけでなく弓から盾まで置いてあった。
「どうしました?無風の旦n…ひっ!?」
奥から一人の男が現れて私が弓を引いて無風を狙っているのに驚いている。
「…………大丈夫だ、こいつは夏侯妙才………知ってるな?」
「え…えぇ」
「…………こいつはこの店の主人だ……………妙才、それくらいで許してくれ」
「なに!?ここが店なのか?どう見ても店には見えないんだが」
無風の緩い反応に張り詰めていた気が霧散させられる
「…………だよなぁ」
「えぇ!?無風の旦那もそう思ってんすか?トホホ、そりゃあ場所が無いからこんなとこで商売してるワシが悪いのは分かってます。」
急にこの店の主人にしょんぼりされて申し訳が立たない。
「大丈夫だご主人、あと半月もしない内に次の区画整理が始まる。次は精錬系の区画のはずだ。」
その言葉に店主が明るくなる。
「それにしても無風よ、こんな貧困街に一人で来て、見知らぬ家に入って剣の音などさせてたら私で無くても疑う。もうこれっきりにしてくれ」
「…………すまない」
そう言いながらも、箱に大量に入った剣を一つ一つ取り出して感触を試している。
「そしてお前は何をしているんだ?」
その言葉を聞いた無風は腰に差してある木刀を私に渡してきた。
何かと思って木刀を見ると、鍔の部分に微かな亀裂があることに気がついた。
「…なるほどな」
多分この木刀は次の戦で壊れる。
最悪次の戦でも耐えられないだろう。
だから自分に合った武器を探しているのか
少しでも疑った事に申し訳なく思う。
するとピタリと無風の動きが止まった。
どうしたのかと見てみると手には今までの刀とは違った形状、というより一般的な柳葉刀よりも幅が小さくすぐ折れて頼りなさそうな感じである。
調べるでもなく、ただ剣を持って微動だにしていなかった。
「…………店主………これがいい」
「へぇ、構いませんが、そんな剣あったっけな?」
店主が疑問を浮かべた顔で了承する。
「…………ありがとう」
「いえいえ、ここに来たばかりの頃に旦那には世話になりましたから、それはお礼として受け取ってください」
代金を渡そうとした無風に首を振りながら豪快な笑顔で答える店主に無風が今度はしょんぼりして引き下がる。
この一連の出来事をほかの人が見たら何の芝居なのだと笑っていたかもしれない。
そう思いつつ無風と2人で城に戻る。
「そういえば、無風よ。その剣抜いて見ぬのか?」
ふと思った疑問を問う。
あっ…と間の抜けた声に転びそうになる。
「まったく、お前というやつは」
そして無風が剣を抜くと………それは素晴らしいほど澄んだ刀身。
ではなく、錆びていて青カビが繁殖しており見るも無惨な剣だった。
「な…なんだその剣は。大丈夫なのか?」
今なら返品が効くぞ?と言ったはいいが貰ったものなので返しに行く必要もないのだが。
その言葉にフルフルと頭を振り、引きつった…笑おうと頑張っている笑みを向けられる。
「…………大丈夫………だ」
「そ、そうか。まぁ、お前がいいのならいいが、くれぐれも華琳様を裏切らないようにしてくれよ?」
戦でも政でも華琳様を助けてやって欲しいと思い、そう言ったのだが。
「…………裏切る」
「…はっ?」
一瞬何を言いたいのか理解できなかったが、それが華琳様を裏切ると言っているのに気づくには、さほど時間はかからなかった。
そして平然とそう言い切る無風に戸惑いながら問う。
「な、なぜだ?なぜ裏切るんだ?」
「…………今のままの覇業を続けるのなら…………俺はここにいられない」
「今のままの覇業?何を言っている?分からない、もっと分かりやすい説明をしろ!」
「…………ごめん」
そう言ってすごく申し訳なさそうな雰囲気を発しながら城に戻っていく無風を見ているしか出来なかった。
「今の華琳様の覇業に何の問題があるというのだ、無風」
去ってゆく無風の背中を見ながらそう呟く。
分からない、お前が。
「姉者の所に行くとするか」
今日はいろんな事を考えすぎた、少し休もう。
街の賑やかな喧騒が収まりつつある夕暮れどき、もう少ししたら夜の警邏が始まる時間。
街は今日も平和に終わる。
秋蘭「なんで私がこのような役なのだ。納得いかぬ」
up主「いやだって、そおうでもしないと皆がデレデレのただのハーレム作品となっちゃうよ」
秋蘭「いいではないか、たぐ?とやらにもはーれむ有りなんて載せているだろう」
up主「だからって全員ハーレムなんて書きたくないよ!」
秋蘭「ああ言えばこういう。up主は我が儘な子供だな」
up主「我が儘!?秋蘭に我が儘って言われたよ、もう生きていけない」
秋蘭「いや、作品を早く書かないか?up主よ」
up主「(´・ω・`)」
秋蘭「頑張れ、up主」
up主「秋蘭に言われたらやるしかない。頑張ります」
秋蘭「うむ、お互い頑張ろう」
up主「次は流流√頑張って書きます!てかこれ読むとるるるーとってなんか歌ってるみたいだな。」
秋蘭「では皆の者よ、次回もup主をよろしく頼む」
up主「頼みます!」