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化学室と名前

作者: 矢那瀬 風

まあ、読むだけでも。

今日も俺は絶賛嫌われ中らしい。俺はクラスメートのある女子にあまり好かれていない。なぜかは知らない。美人なんだけどなぁ。今日は彼女にプリントを渡したら挑発的な顔でガン見された。俺が何をした?しかも俺は、喧嘩は売られるとかってしまう癖がある。だから俺の態度もあまりよくない。ま、嫌われていてもしょうがないという訳だ。


ふう!!次は移動教室だぞ。早く行こうぜ」

「あいあい。」


親友である晴海はるみこと、ハルが俺に怒鳴るような勢いで話しかけてきた。俺は気の抜けたように返事をする。えっと・・・


「次ってなんの授業だっけ?」


俺は晴に尋ねた。もしやもしや、化学じゃないよな?だとしたらやばいぞ。


「化学だけど。」


あぁ、今日はついていない。俺はカバンの中とロッカーの中を見た。・・・ダブルピンチだ。だって、


「教科書忘れた・・・!!」


そう。化学の時間はただでさえついていないのに、教科書も忘れるとは・・・。もう、帰りたいです。チクショー!!焦る俺に晴は追い打ちをかけるように言った。


「教科書忘れたのか?なら、隣の人に・・・あ。そっか、隣りは果香かかだっけ?」


そう。隣の席は俺を嫌っている女子の白波しらなみ 果香。もとは男子が隣りだった。が、その男子の彼女が同じ班だったので隣同士にさせてくれということでこうなった。そのせいで俺は彼女と隣席なのだ。時計を見れば、次の時間まで残り2分。あー、借りる時間もねえな。この教室から化学室までは遠い。この教室は1階にあり、化学室は4階にある。しかも、反対側の端。くっそ〜!!


「もういいや。時間ないし行こうぜ」

「ま、ドンマイだな。風はついてない日だってだけだ。」


そう言って、俺たち二人は教室をでて、早足で化学室へ向かった。晴は“ついていない日”と言ったが、俺にはちょっとした運命の日になる。でも、それがわかるのはまだ先だ。

俺たちはぎりぎり時間内に化学室に着いた。自分の席に代わりのノートと筆箱を置きに行くと、彼女はいた。友だちと楽しそうに喋っていた。


「あれ?矢那瀬やなせくん、教科書は?」


彼女の友達に話しかけられた。俺は極力白波を見ないように忘れた、と言った。きっと白波は機嫌悪そうにしているに違いない。そこでチャイムは鳴った。ヤバい。マジで化学の時間が・・・悪魔の時間が始まる。先生が教室に入ってきて教科書を開けるように指示した。不意打ちだった。


「・・・はい。」


隣にいる白波が教科書を俺の方に寄せて言ってきたのだ。俺はつい、キョトンと間抜けな顔をしてしまった。彼女は何?というような表情で見てきた。え、だって。


「いいの?」

「ダメだったら見せるわけないよ。・・・矢那瀬くん、今日当てられるんでしょ?昨日の授業で言われてたじゃん」


あ・・・。忘れてた。白波は良く俺が当てられるの覚えてたな。


「ありがとう」


それと同時に先生に当てられた。ただ戸惑う俺に、彼女は自分のノートを寄せてきた。そこには答えの記号が書いてあった。


「えっと・・・③。」


先生に答えれば正解、と言われた。マ、マジか!すごいな、白波は頭いいんだ。と思ったことを口にすれば、俺に初めて


「そんなことないよ」


と笑ってくれた。もちろん先生には聞こえない小さな声のやりとり。・・・あれ?なんで俺は今まで嫌われていたのだろうか。


「ねエ、今までどうして俺をその・・・キラってたの?」


俺のその質問に彼女はあ〜、と綺麗な顔を歪めた。そして、苦笑しながら言った。


「私、目つき悪いの。しかも、勘違いされやすいし。私自身も勘違いしやすいから。」


今まで睨まれていたのだと思っていたのは、横目だったからか・・・。そう言えば、初めて話しかけた日に睨まれたと思ったんだよな。あのときに俺、白波の隣にいたからそう見えたのか。じゃあ、今日のは?そう聞けば彼女は


「目、悪いの。しかも今日は眼鏡を忘れちゃって。最初に声で矢那瀬くんだってわかったけど、間違ってたらな・・・と思って顔確認しようとみてたの。」


ああ。俺は勘違いしてたんだ。きっと、それで俺が態度を悪くしたから彼女は俺に態度を悪くしたんだ。やっと分かった。だから俺は彼女に


「ゴメン。俺、態度悪かったろ?」


と言った。彼女はわたしこそ、と笑った。彼女からふんわりと、自然な果物のような香りがしてきた。その顔は綺麗だった。どうか、先生に、周りのみんなにこの会話を聞かれていませんように。それから、この笑顔を俺以外に見せませんように。そう思ってから俺は気づいた。そっか、おれ。俺は彼女が好きなんだ。


「矢那瀬くんって長くない?風で良いよ。」

「うん。風ね。風も白波じゃなくて果香でいいよ」

「果香?」

「うん。風、か。名は体を表すって本当なんだね。」


・・・!!それを果香がいうか?!それを言ったら、


「お前こそそうだろ。」



俺の運命の日。

勘違いなんてしてた時間がもったいなかった。

俺が恋をしたのはいつからなのかは定かじゃない。

もしかしたら“この日”かもしれないし“初めて会った日”かもしれない。

でも、この日のおかげで俺たちの距離が今までと比じゃないくらいに近づいたのは確かだった。

読んでくださって有難う御座います。

文字を操るのが下手くそですが、大目に見てください。

感想が頂けたら嬉しいです。

ダメだしやアドバイス等、お待ちしています。

出来れば、これからもよろしくお願いします(笑)

その他作品もよろしくお願いします。

ちゃっかり宣伝です。

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