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大きい方が好きってことなのね……

 帰りのホームルームが終わった瞬間に緊張の糸が切れて身体がくずおれた。

 ただ一日が終了……いやもちろん、ここから帰宅の途中でスーパーに寄るって重大事案があるけど、手慣れたモノだ、むしろ癒やしになるかもしれない。


「おー、お疲れだったのだ」

「みゃーちゃんは前までと付き合いが変化してなくて安心ですよ」

「そんなことをしても怜は喜ばないから当然なのだ」


 私が喜ばないという部分をひたすら強調したから、刺さる人には刺さる文言だったんだろう。

 ふたりちゃんや一華は申し訳なさそうにしているし、海未ちゃんは人を殺せそうな視線をしている……態度が普段通りですが何か? と言わんばかり、放課後だから多くの生徒が校外に出ているので出来ることだ。


「あー、癒される……」

「手を握ったくらいで喜びすぎなのだ。よっぽど酷いことをされてきたんだな」

「いや、むしろ他の人からすると羨ましいことなのかも?」


 首を捻りながら言うと、みゃーちゃんは「ダメなところはダメと言わないと」と苦言を呈するけども、客観的に見れば美少女から迫られるというのは羨望の視線を向けられて然るべきかも。


 私が観客席に居るならば、エンターテインメントなのかもしれない、まあ、あんまり人の不幸を喜びたくはないけど。


「雅……生憎だが、私は校内で一番容姿の整った女だと自負している」

「そう思っているだけの凡人の可能性があるけどね……」


 海未ちゃんの茶々には左手で握りこぶしを作ることで許す所存――一華の細かい動作、私じゃなきゃ見逃しちゃうね(そうじゃなかった?)


 もちろん海未ちゃんだって一華が美人さんであるのは認めるだろうし、お気持ちで否定されても彼女には何のダメージもない。


 何らかの理由で海未ちゃんの煽りが心に突き刺さったんだと思う……でも、容姿端麗なのは言うまでもないし、凡人でダメージを負う性格はしてないと思うけどな?


「そんな私から至近距離で愛の囁きを受ける。実際に怜は心臓が止まりそうなほど嬉しかったと言ったぞ」

「衆人環視の中でいきなり愛していると言われて心臓が止まりそうなほどビックリしたんだよ!?」


 ええと、みたいな反応に思いのほかしょげてしまったので、嬉しいよと言ったのは事実なんだけど、過去回想に創作が混じってませんか? 記憶との齟齬はこうであって欲しいよりも優先順位は高いですか?


 ……まあ、私も私で傷ついた姿を見たくなかったので、フォローに熱心になったのだから、勘違いさせた方にも責任はあると思う。


「ふたりは一華みたいに変な迫り方はしていないって私は信じているのだ」

「うん、してないよ~?」

「ふたり、あなた正直に言いなさい。怜とあなたとの反応の差が露骨すぎてあなたを疑わざるを得ないのだけど?」


 両手を腰に当てて海未ちゃんが威圧するように言うと、ふたりちゃんがうるうるとした目をこちらに向けて「助けて~」と無言の要求をしてくる。


 確かに一華は断れない状況を作って迫ると、みゃーちゃんが言うところの「変な」ことをしている。

 ふたりちゃんはそれがない時点でパチパチと拍手を送りたいけども、衆人環視がないことを利用して服を脱ぐと言い出したのだ。


「……ええと、一華は私が地面に何度も頭をこすりつけてお願いしたら、裸で校内をランニングしてくれるかな?」

「そう……だな……」


 「断りなさいよ」「断るのが一般的なのだ」と、友人らに指摘をされてもきちんと考える姿はとっても格好良い。

 本来は間髪を入れずに「嫌だ」と即答する選択だと思うけど、私に言われたからで迷ってくれている。


 メンヘラ彼女に都合の良い彼ピッピ的な反応をさせて本当にごめんだけど、この埋め合わせは必ずさせて貰うからね……。


「他の人間に見られる危険性を考えれば嫌だと言うべきだろうな。だがどうしてもキミが」

「言わないからね!?」

「ああ、それは二人の時にお互いにな」

「約束はしかねぬかな!? 決定事項みたいに、コラ、メモるな!」


 本日夜、風呂場にて裸で抱き合うとかメモするにしたってもうちょい工夫しようよ! みゃーちゃんも海未ちゃんも「うわぁ」みたいな顔をしているよ!


「で、ふたりはどうなの? するの?」

「え? するわけないよ~?」

「目の泳ぎっぷりパネェ、たいやきくんなのだ」


 ふたりちゃんの基礎能力からしてごまかしきることは可能だったろうに「とんでもないこと言ったのかも」との判断がそれを許さなかったというか。


 彼女の天使みたいな良心が危うい選択をノーとしたんだから、これ以上話題を掘り下げることもないよね。


「まあ、あなたは優しいもの。下心のあるこちらの女と違って、純粋な善意でお願い事を聞くこともあるでしょう」


 一華を一人悪者にして場を取りなすのが正解なのかそうでないのか。

 でも正直に「服を脱げば良いよね」みたいな発言をとりただして、是非を決めるとなればすぐに火種は燃え広がるに違いない。


「はい」


 と、ふたりちゃんが挙手をする。携われた雰囲気に余罪を告白するんだなと思った。

 何か言いたげなのは海未ちゃんもみゃーちゃんも察したらしく、一華相手みたいにぞんざいな対応はしなかった。


 ……いや、神岸一華と言えば全校生徒が平伏するようなカリスマ性とスペシャルな才能を誇る才女なんだけど、グループ内では私に次いで二番目に立場が下っぽいの笑っちゃう。


「怜ちゃんは私の魅力に揺らいだよ」

「ちょ!?」


 一華の身代わりになるかと思いきや私も道連れにされてしまったで候。

 だがここで否定をしてしまうと、壁ドンとお尻のフェザータッチをした彼女への攻撃が再開されてしまいかねないので。


「距離が近くてつい……」

「ま、怜も年頃ということなのだ」


 こういうときに使う言葉なのかは分からないけど、若いころには色々と間違えることもあるでしょう、と海未ちゃんが閉めたので「以後気をつけます……」と問題を起こした3名は頭を垂れるしかなかった。


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