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やったねれいちゃん恋人が増えるよ!

 連休明けの月曜日、ファーストキスに由来する関係性の変化について考えていた。

 浴槽内、女ふたり、何かが起こらぬワケもなくと言った感じのイベントは、勢いで飛び越えるには高すぎるハードルではなかったのかと。


 これから出す結論が「二人は友達」だったとしても、後腐れが残りそうな……もっとちゃんと拒否するべきだったんじゃないか。


(なんであのときに嫌じゃなかったと言ってしまったんだろう)


 紛れもなく本心の台詞であれども、一華が抱いている心情と私が抱いている感情とは大幅な乖離がある。

 このままだと、強引に行かれたら身体での関係も許してしまいそうな勢いだ。

 一般的には過度な肉体的接触を友人同士で行うことは少ないはず。


「たるんでいるんじゃない?」

「面目次第もありません……」


 ふたりちゃんや雅ちゃんが「どうしたの(だ)?」と聞いてくるのを「んー、なんか変」とおざなりに返していた。

 心優しい二人の心配を無碍にするようで心が痛んだけど、肉体的接触における関係性の変化について詳らかにするつもりはない。


 精神の安寧が保たれていないと心配をする海未ちゃんにせっつかれても、内容をぶちまけようとは考えなかった。


「先日一華と複合商業施設に居たんだって?」

「休日のお出かけでありますが……」

「そう……私は6週間前にあなたから、土日は家族に色々しないといけないと聞いていたけど」

「それはたまたま……その1週間前はだって家に居たし」

「ふむふむ」


 怒っている感じではなく、純粋に興味が大多数を占めているんだと思う。

 

「なら、私が誘っても融通を付けてくれる可能性はあるのね」

「予定が入ってなければ……」

「6週間前の放課後に土日での付き合いを聞いたときにはどうしてもダメだ的なオーラを放っていたから安心したわ」

「ええ!? そんな強い拒否反応だったかな!?」

「そうでしょうね、なにせ誘った一華も背中をこわばらせて緊張したと言っていたもの」

「それは申し訳ないことしたなぁ……後で謝らないと」


 力を失ったように両肩を落として「ごめんねぇ、海未ちゃんにも嘘をついたみたいな感じになって」と、塩をかけられたナメクジになる。


「ふむ、今の会話から総合すると……一華と関係性が変化をしたのは2週間近く前、初めてのデートが昨日って感じかしら」

「唐突に何を!?」


 屋上で「恋人と友人とどちらが良いのか勝負」が始まり、交互に過ごしていく間……先日ちょっとゴールラインを越えたイベントが起きた気がする。


「あなたの話を総合すると、まあそのような結論に至るのよ」

「デートと申しましても、あの、二人で出かけただけで」

「濡れ鼠になった後で二人でドコに行ったの?」

「ストーカーでもしてたんですか!?」

「いや、そこは単純に推測。あなたと一華を目撃した生徒はいたからデートしているのは知っている」

「なにゆえそのようなことに興味を……」

「あなたの作るお菓子は美味しいもの」


 つまりはこれから口封じのためのお菓子を作り続けろということ……?


「先日の雨は予報にもなかったし、一華もあなたも他人の傘を盗むような人間性でもないし、片割れはあまりあるほどお金があるから、雨宿りも豪勢なんだと推測できたのよ」

「ハイ……背筋を伸ばしながらリゾートホテルに入りました……着替えは後日家に配達されるそうです……外出着のローテーションが一つ増えました……」

「んで、その時に一線越えちゃったと」

「越えてないよ!?」

「嘘おっしゃい。あなたは違うけど、一華はかなりさかっているわよ」


 どこをどう見れば人間の感情を聞いてもないのに読み取れるのでしょうか。 

 一華だって「私は発情しています」と背中に紙が貼られているわけじゃないのに……。


「嫌?」

「え、こうして追及されること?」

「そりゃ、弱みを握って相手の言われたくないことを指摘するのは嫌なことでしょう。私も自覚をしながらやっているわ」

「でも、そうせざるを得ないからやっているんですよね? 海未ちゃんはとっても優しいから」

「あなたはすぐそういうことを言う」


 頭痛を感じたように左手の甲をおでこに当てて小休止、一回頷いた後。


「恋人のように振る舞う一華と関係を進めたくないのならば、私と恋人のフリをすることを進言するわ」

「ええ!? でも、私は一華との関係性をどっちつかずにしている優柔不断な人だよ、最低って言われるかもしれない人間だよ!?」

「そう、だからこそなあなあで恋人に進む可能性もある。あなたは優しいもの、強引に攻められたら関係が深まるかもしれない」

「……うう、なんか私の人間性が単純だからバレちゃっている?」

「そこで付き合っているフリよ、実は好意に気づいたとか、やっぱりこちらがとなれば一華も強引には来られないでしょう……あなたは友人を求めているのよね?」

「うん」

「なら安心して、私との付き合いで友人以上にはならないから……今回の件で助け船を出したのは、菓子の礼だと思ってくれれば」


 グイグイと迫られると、こっちが正しいのかな? って考えちゃう――それに、一華もグループのメンバーの誰かしらが付き合う相手なら諦めもつきやすいってコトなんだろう。


 私が提案したなら不安だけど、海未ちゃんは成績も優秀だし一華のことは分かっているんだから、お任せしちゃっても良いよね……?


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