地球の見届け人
風にゆらゆら。
一輪の花が揺れる。
桃色の、名前の知らない花。
建物のほとんどが崩れ、壊れている。
大地や植物は枯れ、酸素も薄い。
雨ももう、なん10年…なん100年以上も見ていない。
かつては、人々で賑わっていた場所。
そこにはもう、誰もいない。
僕以外…僕とこの瓦礫の隙間から咲く、桃色の花以外は誰もいないのだろう。
人も動物も植物も。
大昔、地球に大きな塊が降ってきて。
それのせいで、ほとんどの生物がやられた。
あれからもうずっと…僕はひとりぼっちだ。
いや…この桃色の一輪が、まだ僕のとなりで咲いている。
けど…もう。
風に揺らめく桃色の花びら。
その花びらの先が変色し、しおしおになっている。
もうじき、枯れてしまうのだろう。
「ねえ、もう少しここで…僕のとなりで咲いててほしいんだけど…無理かな」
風に揺らめく桃色の花。
無言で、ゆらゆらと体を揺らす。
それから、幾日。
桃色の花は地面に横たわっていた。
綺麗な桃色の花びらは、茶色くよれよれになっていた。
僕はよれよれの花びらを、撫でるように指先で触れた。
「…ありがとう、僕に出会ってくれて。…またね」
僕は、本当のひとりぼっちになってしまった。
寂しいけど、これが僕の使命だから。
この地球の終わりを見届けるのが、僕の使命だから……