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純文学&ヒューマンドラマの棚

地球の見届け人

掲載日:2022/09/19


風にゆらゆら。

一輪の花が揺れる。

桃色の、名前の知らない花。


建物のほとんどが崩れ、壊れている。

大地や植物は枯れ、酸素も薄い。

雨ももう、なん10年…なん100年以上も見ていない。


かつては、人々で賑わっていた場所。

そこにはもう、誰もいない。

僕以外…僕とこの瓦礫の隙間から咲く、桃色の花以外は誰もいないのだろう。

人も動物も植物も。


大昔、地球に大きな塊が降ってきて。

それのせいで、ほとんどの生物がやられた。

あれからもうずっと…僕はひとりぼっちだ。

いや…この桃色の一輪が、まだ僕のとなりで咲いている。


けど…もう。


風に揺らめく桃色の花びら。

その花びらの先が変色し、しおしおになっている。

もうじき、枯れてしまうのだろう。


「ねえ、もう少しここで…僕のとなりで咲いててほしいんだけど…無理かな」


風に揺らめく桃色の花。

無言で、ゆらゆらと体を揺らす。



それから、幾日。



桃色の花は地面に横たわっていた。

綺麗な桃色の花びらは、茶色くよれよれになっていた。


僕はよれよれの花びらを、撫でるように指先で触れた。


「…ありがとう、僕に出会ってくれて。…またね」





僕は、本当のひとりぼっちになってしまった。

寂しいけど、これが僕の使命だから。




この地球ほしの終わりを見届けるのが、僕の使命だから……




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― 新着の感想 ―
[一言] いわゆる「終末物」ですね〜。よきでした♪
[良い点] 星の管理者でしょうか……。 ひとつの天体が滅びかねないほどの衝撃に、使命を背負う青年。 存在の次元を異にする存在。 物理的ダメージを負わない、通常の肉体とは別の体を持つ者。 意識だけの存在…
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