表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校の脇の図書館  作者: 理科準備室
4/18

昼休みの「児童男子便所」

給食が終わってお昼休みになった。いつもだったら昼休みでクラスの友だちと体育館で鬼ごっこに行くけど、次々に体育館に向かっていく友だちを脇目に見ながら、ぼくは一人うんこを我慢しながら席の机にいた。ぼくはできればこのまま家までガマンしたかった。でも、あと5限の社会科の授業があったし、家までは歩いて30分かかった。

それを考えたら早く楽になりたかった。誰もいなくなった隙を見てトイレに行こう、誰もいなくなるのは無理としてもあそこでおしゃべりしている女子だけになったときに・・・。女子だったらトイレについてこないだろうし。

そんなことを考えていた時に#雲地__くもじ__#くんが教室に駆け込んできた。

「おい、おまえ、なんで体育館に来ないだよ!」

まさかうんこしたくて行けない、なんて言えないので、ぼくは仕方なく体育館に向かった。こんなときに限って運悪くジャンケンに負けて鬼だった。鬼は他の子を捕まえるまで走らなければならなかったので、走る振動が響いてきてぼくのおなかのうんこをシゲキした。

何とか一人捕まえたところ。ぼくは「先に教室に戻る」と言って鬼ごっこを抜けた。幸いみんな鬼ごっこに夢中でついてこなかった

トイレは体育館にもあるけど、みんなが遊んでいる昼休み中はキケン過ぎた。ぼくは校舎の渡り廊下を通って、階段のすぐわきの「男子児童便所」に行くことにした。そこならば体育館にも教室にも距離があったので、こっそりできそうだった。

でも、渡り廊下を急ぎ足でその「男子児童便所」に向かっている最中、ぼくはまだそこでうんこする決意がついていなかった。やはり穴見小の男子の学校でのうんこ禁止のオキテは絶対だった。

でも、そういえばおしっこもしたかった。ぼくはあくまでもおしっこをするためにあの男子児童便所に立ち寄るんだ。ただ、中に誰もいなかったら、ぼくはしゃがむ方に行ってしまうかもしれない・・・。

ぼくは階段脇の「男子児童便所」に着くと、ドキドキしながら白い引き戸を開けた。中に誰かいたらぼくはうんこできない、でも誰もいなかったらぼくはここでうんこするかもしれなかった。どっちを考えても引き戸を開けるぼくの胸はドキドキした。

でもその戸を少し開けると、中から「うわーっ、きったねえ!クソが出ている!」とか「開けろよ!」という声とドンドンドアを叩く音が聞こえてきた。のぞくと奥のしゃがむ方のドアが閉まっていた。そのドアの前には3年生の子が二人いた。一人はドアの下の隙間から覗き込んでいて、もう一人はドアをノックしていた。これが穴見小男子のオキテを破った子に待っている運命だった。もっと早かったら、ぼくも個室の中にいる子と同じ運命が待っていたかもしれなかった。やはり、うんこできなかった。

3年生の子たちは、戸を開けたぼくに気付くと、まるで飼っている子犬がフンを始めたのを見せるように「こいつ、うんこしているぜ、面白いからお前ものぞいてみろよ」と呼びかけた。

ぼくは自分もうんこしたくなっているけど、本当に他の子がうんこしているところを見たことがなくて、好奇心でぼくもドアの前にしゃがみ下の隙間からのぞきこんだ。暗いしゃがむ方の中に白いおしりと青い運動靴と便器が見えた。運動靴のかかとのところには「2ねん2くみ こしおび」と名前が書いてあった。うちのクラスの腰帯くんの一つ上のおにいさんだった。うんこはほとんど終わっていて、なかなかまとまった量は出なかったけど、時々ぴくっとおしりが震えると小さな茶色いかたまりがぽとんっと便器の中に落ちていった。ぼくは少しちんちんがかたくなったけど、でもおなかの中のうんこを思うと、自分の出て来るのをのぞいているみたいで。こんなふうにうんこが自分のおしりからでてくるのかと思うと気持ち悪くなった。

ぼくは「もういいよ」と立ち上がって、小便器に向かいおしっこをした。その間も「あっ、ケツふき始めたぜ」とドアの下からのぞきこむ二人の実況中継は止まらなかった。おしっこをしたら多少ラクになったこともあって、ぼくは学校でのうんこをあきらめ、上の階の教室に戻った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ