第八話 ノモンハン事件前編
無茶苦茶お久しぶりですm(__)m
今回は前後編に分けました。
史実で、日本とソ連は大規模な戦闘を二回していた。
ノモンハン事件と満州侵攻である。(間違っていたら言って下さい)
そしてその一回目のノモンハン事件が起ころうとしていた。
―――昭和十四年(1939)五月十二日―――
満州西部、大興安嶺山脈を越えた西方に広がるホロンバイル草原の一角で、満州国軍とモンゴル人民共和国軍の間に国境線を巡って小競り合いが起きた。
満州国側が主張する国境線は、草原のなかを流れるハルハ川に沿ったものだったが、モンゴル側は、それよりも二十キロ程東方のノモンハン村付近に国境線を策定していた。
この日、ハルハ川を越えてきたモンゴル軍兵士数十名が満州国軍の国境監視哨に対して銃撃を加えたことから紛争が勃発。
日本陸軍の現地部隊である関東軍第二三師団が出動し、一度はモンゴル軍を撃退したがすぐにモンゴル軍を支援するソ連軍がノモンハンに駆けつけ、本格的な戦闘状態に陥った。
戦車を中心とした機械化部隊を送り込んできたソ連軍に対し、関東軍第二三師団は多くの犠牲者を出し、部隊の中には全滅するのもあった。
史実の日本は中国と長い戦争を続けていた。
新たな戦いを起こしたくない日本政府と大本営は、外交による早期収容をはかろうとした。
だが、満州の守備を担当する関東軍はソ連軍に対する反撃を決意し、儀峨徹二中将率いる陸軍航空隊の第二飛行集団を送り込み、力でソ連軍を押し返そうとした。
だが、落としても落としても新たな戦闘機、爆撃機を送り込んでくるソ連軍に疲労困憊の搭乗員達を容赦なく叩き落とし、結局はソ連軍に大敗したのが史実である。(間違いであれば言って下さい)
しかし、この世界では違った。
―――ハイラル航空基地―――
ゴオオォォォーーーッ!!
「海軍さんが来たようです」
「ご苦労」
ノモンハンから二百キロ離れたハイラルの航空基地指揮所で指揮をしていた第二飛行集団司令官の儀峨徹二中将は副官をねぎらいつつ、外に出た。
蒼く晴れた空に無数の点々が広がっていた。
点々の正体は航空機である。
よく見ると機体は九六式艦戦や九七式艦攻がおり、海軍の航空隊だと分かる。
やがて、海軍航空隊は続々とハイラル航空基地に滑り込んだ。
滑走路の待機所に九六式艦戦、九七式艦攻、九九式艦爆、九六式陸攻が並んでいたが、もう一種類の航空機が翼を休めていた。
「あれが海軍が開発した最新鋭の戦闘機かね?」
儀峨中将が報告に来た海軍航空隊飛行隊長の淵田美津雄少佐に尋ねた。
「はい、我が海軍が開発した零式艦上戦闘機、零戦一一型ですわ」
「是非活躍してもらいたいものだな」
「そうですな」
その後、淵田は儀峨中将に報告した。
ハイラルに来た航空機は九六式艦戦百二十機、九九式艦爆九十機、九七式艦攻九十機、九六式陸攻九十機、零戦一一型九十機である。
「戦線はどうなっていますか?」
会議で海軍航空隊制空隊隊長の土方将大尉が儀峨中将に問う。
「うむ、今は膠着状態だ。未来の陸軍のおかげだ、改めてあの戦車は凄いと思うぞ」
あの戦車は多分九○式戦車だろう。
「なら、全航空機を以ってソ連軍を叩きますか?」
「うむ、それがいいな」
「待って下さい」
賛成しかけたところで将が待ったをかけた。
「どうしたのかね?」
「目先の敵を叩くよりも、敵の補給を断つのが先決です」
将がきっぱりと断言した。
「何故だ?」
「皆さんは本を見たと思いますが、ガ島の日本軍を考えて下さい」
『ーーーッ!!!』
将斗の言葉に全員がハッとした。
「……補給か」
儀峨中将が呟く。
「……はい、史実のノモンハンでもある一個大隊がソ連軍に包囲され、最後は装甲車のガソリンを飲んでいたと言っています」
「むぅ……」
儀峨中将は顎を撫でる。
「なら、ここは敵の補給を絶つ事が最優先やと小官は思います」
淵田の言葉に他の者が頷く。
「……よし、敵の補給を絶とう。全機、敵の補給路を偵察してくれ」
『ハッ!!』
全員が儀峨に敬礼して持ち場に戻った。
やがて、偵察隊が帰還して補給路を地図に書き込んでいく。
「全機、翌日に出撃だ」
既に夕日が落ちかけていたため、儀峨は出撃を翌日に持ち越して、航空隊は前線の名もない草原飛行場に移動した。
―――翌日―――
「全機出撃せよッ!!」
爆装をした九九式艦爆、九七式艦攻、九六式陸攻、制空隊の九六式艦戦、そして零戦が轟音を唸らせて大空に舞い上がる。
陸軍航空隊も爆撃隊の護衛にと九七式戦を出撃させた。
「……いよいよやな」
零戦一一型の操縦席で将が呟く。
攻撃隊は意気揚々と決戦の地―――ノモンハンに向かった。
そして、日本軍初の大規模な航空戦と戦車戦が開始された。
零戦一一型と九七式戦の機体紹介は次回です。
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