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第七話 増える艦艇と艦魂と部下後編




―――翌朝午前八時半―――


旗艦長門は柱島泊地から呉港沖合に碇を降ろした。


桟橋から内火艇が発進する。


内火艇には陛下と二人の女性士官がいた。


女性の一人の髪は日本人と同じ黒だが、瞳はロシア人に多いグレーだった。もう一人は瞳も黒なので日本人だろうと思われた。


内火艇は長門に横付けされ、三人は一段ずつタラップを登る。


「総員ッ!!天皇陛下に敬礼ェェェーーーッ!!」


長門に乗艦した三人に甲板にいた者全員が一斉に敬礼した。


陛下達三人も返礼する。


「山本。別にこのような事はしなくてもよいぞ」


陛下の第一声はそれだった。


「は。しかし……」


「まぁよい。それと呉鎮守府で聞いたが、また新しい未来艦が来たと報告を聞いたぞ」


「はいその通りです。こちらにいるのがその艦隊司令官です」


山本の言葉に秋山が一歩前に出て陛下に敬礼した。


「日本海上自衛隊第二護衛隊群司令官の秋山です」


「御主か……」


陛下は秋山と向き合い、秋山の手を握る。


「どうかこの日本をよろしく頼む」


「は、はいッ!!」


秋山は陛下と握手が出来て感激した。


そして陛下は将のところまで歩き、と向き合った。


「……久しぶりだな土方」


「お元気そうでなによりです」


「うむ、本当ならもう少し話しをしたいが早速紹介しよう」


陛下は後ろの二人に来るように伝え、二人は将と向き合った。


「既に分かると思うがグレーの瞳が我が娘で名前はセイバーだ。セイバーの隣にいるのがセイバーの従兵である柚原由真君だ。二人とも挨拶だ」


「セイバーだ。よろしく」


「柚原由真です」


二人がペコッと頭を下げる。


「よろしく」


将がそう言った時、陛下が将に耳打ちをした。


「土方。遠慮なくビシバシとやっても構わん。余が許す。まぁセイバー辺りが五月蝿いと思うが私から手紙を渡そう。内容は今、言ったような文面だ」


「分かりました」


陛下は懐から紙を出して将に渡した。


「それでは土方。よろしく頼む」


陛下はもう一度そう言うと山本に敬礼して長門を降りた。


陛下を内火艇が長門を離れた時、将はふぅと息を吐いた。


「ふん。父様は何故こんな奴の部下にさせたのだ」


セイバーの呟きに将の肩がピクッて動いた。


「全くです。いっそ、山本長官の副官にでもよかったのではないですか?」


「ハハハッ!!。それもそうだな。おい、土方と言ったな?私を山本の副官にするように山本に言ってこい」


セイバーはそう言うとぐりぐりと将の右足を踏み、掻き回す。


セイバーと由真は今度の奴も自分達を皇族だからと言ってすぐ実行すると思った。


だが、セイバーに帰ってきたのは平手打ちだった。


パシィィーーーンッ!!


『……え???』


セイバーは軽快な音ともに左頬が痛いのを感じた。


セイバーの思考は一旦停止したが、すぐに復活した。


「て、てめぇ「それが上官に対する口の聞き方かァァァーーーッ!!!」グホォッ!!」


セイバーは腹に右ストレートをかまされ、口から胃液が出た。


「貴様は一体海兵学校で何を習ったァァァーーーッ!!」


セイバーは膝から崩れ落ちた。


「お嬢様ッ!!」


傍に由真は将に敵意を表し、銃を出そうとした時左のこめかみにゴツッと音がした。


「何、銃を取ろうとしてんのや?」


いつの間にか華牙梨が九ミリ拳銃を構えて由真のこめかみに狙いを定めていた。


さらに玲於奈と誉が日本刀を取り出し、由真の首に狙いを定めている。


「あんたらは今から将の部下になったんやで?何いきなり上官に向かって阿呆な事をしてんのや?」


誉のにこやかな微笑みに由真は背中から冷や汗が流れでるのを感じた。


一方、山本達はいきなりの出来事に思考を停止していた。


いち早く復活した山本は苦笑した。


参謀長である伊藤はオロオロしていた。


「長官。宜しいのですか?」


「なに、気にする事はないさ」


山本は完全に他人のふりをしていた。


話しを再び将達に向けよう。


将はセイバーと由真の態度に完全にキレていた。


最初は「(大丈夫やな)」と思っていたが父親である陛下がいなくなった途端に本性を出した。


流石の将も脚を踏まれた時点でプチンッとキレていたのだ。


「誉ッ!!バッターあるかッ!!」


「こんなこともあろうかと思ってあるよ」


誉はいつの間にか持っていた樫の三号バッターを将に渡した。


「足を踏ん張れッ!!」


セイバーはギロリと将を睨む。


「さっさとせぇやァァァーーーッ!!」


セイバーは立ち上がり、将に尻を向ける。


ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!


「ウッ!!……グッ!!……ウッ!!」


八回まで連続で殴打したところで樫のバッターが折れて飛んだ。


「五号棒いる?」


誉がまたいつの間にか五号棒(鉄)を持っていた。


流石のセイバーも顔を蒼白した。


あれでやったら自分の尻は骨が砕けるのではないか?


「いや、もうせんでええわ。ええかセイバー?俺は部下が皇族やろうと山本長官やろうと一切手加減をしいひぃんからな。分かったな?柚原もやで」


将の言葉にセイバーと由真の二人はただ頷く事しか出来なかった。


「ほんなら…よっと」


「え?ウワァッ!!」


将はセイバーをお姫様抱っこをした。


「どうせ、まともに歩かれへんやろ。医務室まで送ってやるわ」


ニカッと笑う将にセイバーは顔が朱くなるのを感じた。


「…こ」


「こ?」


セイバーの言葉に将が首を傾げる。


「これで勝ったと思うなよォォォーーーッ!!!」


セイバーは顔を朱くしながらあるゲームのヒロインの言葉を言って、お姫様抱っこから逃れて長門の艦内に逃げた。


その後を従兵の由真が追う。


「お嬢様ッ!!それはあたしのセリフですッ!!」


由真が慌ててセイバーを追って艦内に入る。


一方、将達はセイバーのセリフに吉本並のこけかたをしていた。


「何で知っとんねん……」


将の言葉に耳を傾けるのは誰一人いなかった。


また、少し離れて傍観していた山本は呟いていた。


「ほぅ、飴とムチか。先にムチをして後に飴か。土方君も中々やるじゃないか」


山本はニヤニヤしていた。


こうして将は部下に皇族の者を迎えた。


今回は短めでした。


次回はノモンハンです。


御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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