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第五話 初空戦



東条との話し合いから一ヶ月がたった。


中国に駐留していた日本陸軍の部隊は、中国奥地に進出している部隊を除くとほぼ満州に撤退していた。


そして、将の言葉通りに国民党と共産党で亀裂が入り、再び中国は内戦となった。


蒋介石率いる国民党軍は、共産党軍に重慶を追われた。予想通りに、蒋介石は日本に支援を求めてきた。


これにより、今度は国民党軍と協力して、共産党軍に対し、反撃に出た。


この時、国民党軍は貴陽にいた。


日本陸軍は武漢まで進出していた。


むろん航空隊もいる。


しかし、海軍の主力戦闘機の九六式艦戦は航続距離が二千百キロであったが、些か心配であった。


そのため、部隊と航空隊を沙市まで前進させた。


将達はわずかだが、二週間の発着や飛行訓練を行った。これは、将達が決めたことだ。自分達は何もせず、ただ史実のことを言うより前線に出て戦いたい。何のために過去へ来たのか。そして将達は決意して訓練を受けて沙市にいた。


将は大尉に、誉達は中尉だ。


ちなみに航空隊司令官は塚原二四三少将である。


そして、飛行隊長に南郷茂章少佐がいた。


「あ〜。ひまやな〜」


華牙梨が戦闘機搭乗員の待機所で呟く。


待機所には将達の他にも十五人程いた。


皆は苦笑している。


「またかいな華牙梨。これで何回目やねん」


はぁと将がため息をついた。


「ひまやねんからしゃーないで将。ふあぁ〜。俺寝るわ」


ゴロンと華牙梨が寝転がった時、サイレンが鳴り響いた。


『ウウウゥゥゥゥゥ〜〜〜ッ!!!』


その瞬間、待機所にいた者全員が列線に向かって走りだしていた。


列線には三十機余りの九六式艦戦が整備員とともにいた。


整備員達はプロペラを回して計器のチェックをしている。


「いつでも飛べますッ!!」


計器を確認していた整備員が叫びながら操縦席を降りると搭乗員が代わりに乗り込む。


一番機の南郷機がするすると滑走路を走り、大空へと飛んでいく。


むろん将達も飛んでいく。


高度三千で集合する。


「もうすぐ来るはずなんやけど……」


誉が呟いた時、九時の方向に光る物を見つけた。


「………」


誉が目を懲らす。


「……ッ!!敵機発見ッ!!九時の方向ッ!!」


誉が激しくバンクをする。


南郷も見つけたのかスッと九時の方向に機首を向けた。


「全機突撃ッ!!」


南郷が突撃する。


敵の攻撃隊は八十機余りいた。


実際にはi―15が二十五機、i―16が二十機、爆撃機のSB―2が二十七機の七十二機だった。


将が狙ったのはi―15だ。


照準器に端まではみ出したi―15。


なんと急降下して未だに気付いていなかった。


カチッと操縦桿にある機銃ボタンを押した。


タタタタタタタッ!!


軽快な音ともに僅か一連射の弾丸はエンジン付近に吸い込まれた。


……ボゥッ!!


たちまちi―15は炎に包まれて落ちていく。


初撃で二十機余りが撃ち落とした。


「こりゃぁ、幸先がええな」


機体が急降下をしながら後ろに目をやる将が呟く。


将は操縦桿を引いて上昇に移る。


中国軍攻撃隊はあわてふためいている。


将が次に狙ったのはSB―2である。


将はSB―2の後下方についた。


「もらったッ!!」


七.七ミリで双発機攻撃には向いてないので主翼の十二.七ミリ機銃弾を放った。


ダダダダダダダッ!!


ボゥッ……ズガァァーーンッ!!


後下方から機銃弾を受けたSB―2はエンジンから火を噴き、落ちていく途中で爆発四散した。


「よっしゃッ!!」


将はガッツポーズをしようとした時、後ろに気配を感じ、急いで左旋回をする。


先程まで将がいた所に機銃弾が撃ち込まれた。


「あっぶな〜」


将がを襲おうとしたのはi―16二機だ。


将はフラップを開いて小さい左旋回をして二機の斜め後ろに回り込んだ。


二機のうち、奥にいた機が上昇しようと機首を上げ、前にいた機は少しを遅れて上昇しようとしたが、将は逃がさなかった。


「墜ちろォォォーーーッ!!」


タタタタタタタッ!!


ダダダダダダダッ!!


七.七ミリと十二.七ミリ機銃弾が機首と主翼から放たれた。


ガンガンガンガンッ!!


弾丸を受けた二機は穴だらけになり、そのまま墜落していく。


おそらく搭乗員が戦死したのだろう。


将が辺りを見回すが、ほぼ終わっていた。


ふと、下を見るとi―15が白い煙を噴きながら退避していた。


「悪いがこれは戦争や」


将は急降下をしてi―15の後方に回り込んだ。


敵の搭乗員は慌てて逃げようとするが、煙を噴いている上、操縦もあまり効かないのだ。


タタタタタタタッ!!


将は距離が五十メートルになった時に七.七ミリ機銃弾を放った。


弾丸は左主翼の付け根に吸い込まれ、白い煙から黒い煙に変わった。


そして、そのままi―15は大地に向かって落ちていく。


『全機集合せよ』


南郷少佐の声が無線から聞こえる。


将は集合場所に向かい、誉達を探す。


すぐに三機は見つかり、将は安堵の息をもらした。


『将〜。あたし三機やったで』


『俺なんか四機やッ!!』


『玲於奈と一緒か…。ま、誉よりかはましやな』


『華牙梨。それはどういう意味やねんッ!!』


誉達の声を聞きながら将は着陸態勢に入った。





機体の性能です。



―――九六式艦戦(三号)―――


最大速度四百五十キロ。


発動機 中島栄発動機。


最大馬力 八百九十馬力。


航続距離二千百キロ。


武装 機首七.七ミリ機銃×二、主翼十二.七ミリ機銃×二。


御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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