第四十二話
何とか前回から一ヶ月以内に投稿出来ました。
―――戦艦ビスマルク―――
「敵ナガト級が砲撃を開始しましたッ!!」
「何ィッ!?」
ウェルナーは思わず叫んだ。
「馬鹿な、早過ぎるぞ。ナガト級は十六インチ砲のはずだッ!!」
ウェルナーは双眼鏡で長門を見た。
「虚仮威しのつもりか?」
ビスマルクの防空指揮所で艦魂のビスマルクはそう思った。
しかし、直ぐにその思考を振り払った。
そんな事をしても日本には何のメリットは無いのだ。
「何故だ………まさかッ!?」
ビスマルクは咄嗟に上空を見た。
そして、何かが落下してくる音が聞こえてきた。
「敵砲弾が来ますッ!!」
ビスマルクの見張り員が叫んだ瞬間、長門から放たれた四十六センチ砲の九一式徹甲弾がビスマルク周辺の海面に叩きつけられた。
ズシュアァァァーーンッ!!
ズシュアァァァーーンッ!!
『ウワアァァァァァッ!?』
ビスマルクの艦橋にいた全員は、その衝撃で転倒する者が多数続出した。
「な、何だこの衝撃波はッ!?十六インチ砲弾ではないぞッ!!」
帽子を被り直したウェルナーが叫んだ。
「それ以上の衝撃波ですよ司令官ッ!!」
参謀長も同様に叫んだ。
「だ、第二派が来ますッ!!」
ヒュルルル………。
ズガアァァァァァーーンッ!!
ズガアァァァァァーーンッ!!
長門からの二回目の砲撃はビスマルクに命中弾を与えた。
砲弾はビスマルクの左舷後部十五センチ副砲とカタパルトに命中した。
後部十五センチ副砲は砲弾が命中した瞬間に右に傾き、爆風で副砲事態を吹き飛ばして、副砲員を即死させた。
また、カタパルトも吹き飛んで、航空燃料が引火して激しい火災を発生させた。
「まだ我々は撃てないのかッ!!」
「距離は三万七千ッ!!まだ撃てませんッ!!」
「糞ッ!!」
ウェルナーは舌打ちをした。
―――戦艦長門―――
「第二斉射目、命中弾です」
「うむ。遠距離砲撃訓練が無駄ではなかったな……」
松田の報告に宇垣は嬉しそうに頷いた。
日本海軍は史実のスラバヤ沖海戦を教訓にして、徹底的に遠距離砲撃訓練をした。
この遠距離砲撃訓練には宇垣、南雲、三川、松田などの砲撃屋や水雷屋の少将、中将も参加して訓練をしていた。
「第二斉射目での命中は中々早いですな。いつもは第六斉射目くらいで命中弾を出していたものを……」
松田は嬉しそうに言う。
「訓練の賜物だよ松田参謀長」
「そうですね長官。ならば……」
「うむ。サッサとドイツ軍を駆逐しようじゃないか」
宇垣の言葉と共に第五斉射目が放たれた。
それらはビスマルクの周辺に水柱を上げるか、ビスマルクの艦上に命中弾を叩き出した。
―――戦艦ビスマルク―――
「……奴らの主砲は十八インチ……か……」
ビスマルクの防空指揮所で、辺りが血だらけに海に一人で立つ艦魂ビスマルクがいた。
ビスマルクは今にも倒れそうであるが、サーベルで支え棒にして何とか立っている状態だった。
「距離三万四千ッ!!」
「よし、砲撃開始ッ!!」
炎上する中、ビスマルク、ティルピッツの三十八センチ砲が火を噴いた。
ビスマルクとティルピッツの砲弾は長門周辺の海面を叩きつけた。
「……次……その次に命中弾が出るな……」
「そのようですね。金剛、榛名、山城も砲撃を始めました」
長門の後続を航行している金剛、榛名、山城が砲撃を開始した。
三隻は近代化改装+四十一センチ砲への換装がされていたが、秘匿と命中弾を上げるために今までの砲撃を行わなかった。
「……もっと詰めるか」
「何万までですか?」
「三万……いや二万七千くらいだな……」
「分かりました。長門は心配ありませんが、後ろの三隻は些か心配ですな」
長門はポスト・ジュットランド型であるために装甲を食い破れる心配はないが、金剛、榛名、山城はそれ以前に竣工している戦艦なので心配はあった。
近代化改装はしているが、金剛と榛名は元は巡洋戦艦である。
「まぁ舷側には滅多には命中しないから大丈夫だろう」
「そうですね」
宇垣の言葉に松田は頷いた。
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