表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/47

第四十一話 砲撃

何とか開戦日までに間に合いました。


三式戦パイロットの慰霊碑も学校帰りに見に行ってきました。


あの戦いから七十年……日本が本当の独立をするのはいつになるでしょうね。





「宇垣司令官ッ!!瑞雲偵察機より入電ッ!!『我、敵艦隊ヲ発見ス』敵艦隊は前方約二百キロの地点にいますッ!!」


 通信紙を持った通信兵が慌ただしく艦橋に入ってきた。


「……空母はいるのか?」


「は。確認すれば……空母はおらず、戦艦四、巡洋艦五、駆逐艦十二隻がこちらに向かって航行しているようです」


「……妙だな。空母がいないとはどういう事だ?」


 宇垣は思わず参謀長の松田に尋ねた。


「恐らく……空母部隊と戦艦部隊に分離したのでは?空母が囮となって攻撃隊を引き付けて、その間に戦艦部隊が接近するという作戦ではないのですか?」


「ふむ……一理あるな。とすると、我々も分離したのは成功だったようだな」


 宇垣はニヤリと笑う。


「今のうちに兵達に戦闘配食を配らせろ。腹が減っては戦が出来んからな」


「分かりました」


 松田は宇垣に敬礼をした。






「いよいよか………」


 長門は防空指揮所で前方の海面を見ていた。


「気合いが入り過ぎているぞ長門」


 そこへ金剛が転移をしてきた。


「金剛か……」


「ほら」


 金剛が何かを長門に投げる。


 長門は受けとって中身を見ると、お握り三つと沢庵が三切れがあった。


「うちのところから貰ってきた。今のうちに食べておけ」


「……済まないな……」


 長門は金剛に一言言って、お握りを食べる。


 塩がよく効いている。


「ドイツ海軍はあまり砲撃戦には馴れていないと思うが、イギリスを倒した強敵だから油断は禁物だな」


「あぁ。海中から魚雷を撃ってくるのにも気をつけないとな」


 風が強く吹き荒れて、金剛の金髪の髪が揺られている。


「ま、頼りにしているぞ大将」


 金剛はニヤリと笑って転移をした。


「……言われなくてもそのつもりだ」


 長門は苦笑した。





―――戦艦ビスマルク―――


「敵艦隊が前方にいるだとッ!?」


 ウェルナーは思わず叫んだ。


「は。空母はいませんが、戦艦を中心とした艦隊です」


「……敵も同じ考えだったんだろう。まぁいい。ビスマルクに立ち塞がろうとする奴は誰でも沈めてやる」


 ウェルナーは勝利を確信したかのように笑う。


「全艦速度を上げろッ!!敵艦隊を血祭りにあげるぞッ!!」


 ウェルナーの言葉に艦隊の士気は上がった。


「クックック。漸く日本海軍と出会えるか」


 防空指揮所で艦魂であるビスマルクが笑う。


「ツシマ沖海戦以来の艦隊決戦は我々が勝たしてもらおうッ!!」


 ビスマルクは腰に据えてあるサーベルを抜いて、前方の海面に突き刺した。






 そして二時間半後。


「敵艦隊発見ッ!!距離五万四千ッ!!」


 長門に見張り員が叫んだ。


「……全艦に発光信号。全艦砲雷撃戦用意ッ!!」


「ハッ!!全艦砲雷撃戦用意ッ!!」


 長門から発光信号が全艦に伝えられる。


「いよいよだ………」


 乗組員が慌ただしく動く中、宇垣は誰にも聞こえないようにそう呟いた。


 そして、着弾観測のために零式観測機(零観)と瑞雲が合わせて五機がカタパルトから発艦していく。


「Uボートはいないな?」


「はい。今のところソナーには反応していないようです」


 宇垣の言葉に松田が答える。


「なら、海中に注意はあまり向けなくていいな。だが一応は警戒してくれ」


「分かりました」


 松田が頷いた。


「敵艦隊との距離四万八千ッ!!」


 見張り員が報告してくる。


「……東郷ターンにしますか?」


「いや、同航戦にしよう」


 松田の意見に宇垣は苦笑した。


「東郷ターンは相手が分かっている。なら、単縦陣での同航戦だ」


「了解。ドイツ艦隊との同航戦に入ります」


 松田は宇垣に確認のために聞く。


 宇垣は頷いて、全艦がドイツ艦隊との同航戦に入る。





―――旗艦ビスマルク―――


「奴らめ……同航戦で我々と戦うのか。右砲戦用意ッ!!」


 ビスマルク以下、ドイツ艦隊の主砲が宇垣艦隊に照準する。


 それは勿論、宇垣艦隊でもあり左砲戦の用意をする。





「距離四万二千ッ!!」


「……四六センチ砲の最大射程距離です」


「うむ………長門、陸奥。撃ちぃ方始めッ!!」


「了解。撃ちぃ方始めッ!!」


 宇垣が叫び、それを艦長が復唱した。


「撃ェーーーッ!!」


 防空指揮所でも、長門が日本刀をドイツ艦隊に向けた。


ズドオォォォーーンッ!!!


 長門、陸奥から四六センチ砲がドイツ艦隊に対して火を噴いた。




御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ