第三十四話 同盟
F―X。
ヤフーのネットで見ましたがF―35の一部国産化を認めるとアメリカが容認したみたいですけど、今更無理な気が……。
なにせ、航空自衛隊のF―X一号機の納入が確か16年の9月か10月くらいで、F―35の運用試験が17年くらい……。
J20が20年くらいで運用開始のはずやからもしかしたら……の可能性が出てきたな。
「クックック。ドイツは見事にハマッてくれたな……」
カナダの首都オタワで自由イギリス首相のチャーチルは笑っていた。
「日本には悪いが、日本の海軍力は切り札になるからな……」
チャーチルはスコッチを飲む。
「それにしても、日本人と中国人の区別がドイツに分からなくて助かった」
インド洋で臨検を受けたタンカーは勿論日本のタンカーではなかった。
オーストラリア軍の旧式タンカーを改装して作った偽装タンカーだった。
乗組員は日本人ではなく、日本語が喋れる中国人であった。
この時代も香港は今だに自由イギリスの領土であった。
チャーチルはそこを突いたのだ。
高額で日本語が喋れる中国人を雇ってインド洋に向かわせたのだ。
「……これで日本に一気に近づけれる……」
チャーチルは勝つためなら敵の同盟国までも自軍内に引き込ませたのであった。
―――旗艦敷島―――
「土方君。これからどうするかね?」
各艦隊司令長官と参謀長が敷島の会議室に集まった中、将は小沢に問われた。
「……石油は既に確保していますが、それは艦艇用です。航空機用の高オクタン価ガソリンは今だにアメリカに頼っていますし、くず鉄もです」
「だが、つい昨日にアメリカから対日輸出は全て禁止されたな……」
第一艦隊司令長官の南雲中将が呟く。
「山本さん達は何と言っているんですか?」
第二機動艦隊司令長官の山口多聞中将が小沢に問う。(第一機動艦隊司令長官は塚原二四三中将)
「山本さんも覚悟はしているらしい。陛下も了承した」
「……では?」
塚原中将が小沢に尋ねる。
「……いよいよ、ドイツと開戦だろう。国民の非難もどんどんと熱を浴びている」
小沢は深い溜め息を吐いた。
国民は毎日「ドイツ討つべしッ!!」と叫んでいる。
「来週、ドイツと最後の話し合いがあるが、ドイツが無視をした場合は我が帝国ドイツに宣戦布告を移る」
『了解ッ!!』
小沢の言葉に全員が小沢に敬礼をした。
ドイツは日本との話し合いを黙殺をした。
そして、ドイツは「我がドイツ第三帝国はインド洋に無制限潜水艦作戦を宣言し、日本、自由イギリスに関わらず、我が制圧海域を航行したる船舶に対しては攻撃を加えるとするものである」と声明文を発表した。
事実上、日本に対する宣戦布告であった。
米内は御前会議を開き、陛下め了承をして三国同盟からの脱退とドイツへの宣戦布告を決定して声明文を発表した。
それから一日が経った時、自由イギリスから同盟締結の打診があった。
それはまるでこうなる事を予測していたかのような迅速さであった。
そして臨検事件から三ヶ月後の1945月1月15日、大日本帝国は自由イギリス政府との対枢軸軍事同盟が成立した。
チャーチルは日本に対して海軍力の提供を強く求めた。
日本はこれを了承して、インド洋派遣艦隊――印遣艦隊として、新たに再編した空母信濃を旗艦とする第二機動艦隊を派遣した。
―――旗艦信濃―――
「久しぶりの実戦か。腕が成るな……」
信濃の防空指揮所で信濃が呟く。
「意気揚々としているわね信濃」
「……赤城か」
そこへ、空母赤城の艦魂である赤城が転移をしてきた。
赤城のポニーテールが潮風で揺れている。
「怖いのか?」
「怖いわけないわ。私の命は既に靖国に預けているわ」
赤城は苦笑しながらそう言った。
「長年、機動艦隊の旗艦をしていたから腕が鈍ってしまうわ。胸も垂れそうだし……」
赤城はそう言って、自分の胸をぷにぷにと触る。
「……見せつけか?」
信濃が若干イライラしながらそう言う。
元巡洋戦艦だったせいか、赤城の胸は長門や大和と同等のレベルをした胸であった。
「やぁね。そんなんじゃないわよ」
赤城はケタケタと笑うが、信濃には嫌味にしか聞こえない。
それでも信濃の双璧は大きいのだが……。
「……負けられないわね……」
赤城は航行する第二機動艦隊を見てそう呟く。
第二機動艦隊は二日前に柱島泊地を出撃をして南シナ海のアナンバス諸島沖を航行していた。
後一日でシンガポールに着く予定である。
「……やるからには勝つのみだ……」
信濃は第二機動艦隊を見てそう呟いた。
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