第二十七話 ドイツ海軍と自由イギリス海軍
二日連続の投稿は無茶苦茶久しぶり……。
―――7月25日、キール軍港―――
そこには捕獲された元イギリス艦艇群が艦体を休めていた。
その周りには戦艦ビスマルク、ティルピッツを筆頭にしたドイツ艦艇群もいた。
イギリス艦艇群の艦尾にはユニオン・ジャックの旗は無く、ハーケンクロイツの旗を靡かせていた。
―――戦艦ビスマルク、予備会議室―――
そこには大勢の艦魂が椅子に座っていた。
そこへ、左目にアイパッチを付けたショートヘアの女性が現れて上座に座る。
「……私はドイツ海軍旗艦に就任したビスマルクだ。といってもH級戦艦群が竣工するまでの話しだ。宜しく頼む」
ビスマルクは拍手される。
しかし、拍手しない艦魂もいた。
元イギリス艦魂の者達である。
「それと、イギリス艦魂にイジメはするな。彼女らは、敵だったが今は味方なんだ」
ドイツ艦艇の艦魂達が頷く。
そしてビスマルクはイギリス艦魂達に歩み寄る。
イギリス艦魂の中から一人の女性が出てくる。
「私はビスマルクだ」
「……私は戦艦ハウの艦魂ハウよ」
ビスマルクはソッと右手を差し出す。
「……これから我々に協力してくれないだろうか?」
「……………」
ハウは差し出された手を見る。
『……………』
会議室内も無言に包まれている。
「……古来より、敗者は勝者の言うことを従う鉄則があるわ」
ポツリとハウが呟く。
そして片膝を下につけて腰に据えていたサーベルをビスマルクに差し出す。
「ハウ以下イギリス艦魂は貴官に協力するわ。そのかわり、イギリス王室に手をかける場合があるなら私達は自ら命を絶つわ」
「王室には絶対に手をかけない。協力感謝する」
ビスマルクとハウが握手をした。
此処に、ドイツ海軍の艦魂達は新たな仲間を手に入れる事になった。
ドイツ海軍の増強は目覚ましい物だった。
フランス海軍の生き残りを加え、今回のイギリス海軍である。
さらにはZ計画でH級戦艦四隻、空母四隻、重巡六隻、軽巡六隻、駆逐艦二十隻が建造中である。
また、機動部隊も小規模ながらも誕生していた。
空母グラーフ・ツェッペリン、パウル・ベウマー(フランス空母ベアルン)巡洋艦二、駆逐艦十隻の機動部隊である。
搭載機はフォッケウルフ、スツーカ、フォッケウルフ雷撃機が搭載されている。
一方、ドイツの世界征服の野望を阻止する亡命イギリス政府の海軍、自由イギリス海軍(FUN)は戦艦ウォースパイト、バーラム、バリアント、マレーヤ、キング・ジョージ五世、プリンス・オブ・ウェールズ、レパルス、レナウンの八隻、空母アークロイヤル、イラストリアス型四隻、イーグル、ハーミスの七隻、巡洋艦十七隻、駆逐艦三十三隻を保有していた。
しかし、強力な自由イギリス海軍にも弱点があった。
大型艦の建造能力が無い事である。
元イギリス植民地群には修理用のドックと小型艦建造用のドックしか存在しない。
つまり大型艦建造用のドックは無く、大型艦は補充が効かないのだ。
大事に使っていくしかない。
自由イギリス軍はエジプトと南アメリカから既に撤退している。
兵力の殆どが中東に配備してある。
中東でドイツ軍を足止めをして、その間にカナダに移転した航空機会社の新型機が来る予定だ。
しかし、相手はドイツ陸軍である。
電撃戦はお手の物。
さらにはモスクワまで占領地域を拡大した。
新型機が来るまで中東派遣軍が耐えられるかがチャーチルの悩みの種であった。
―――セイロン島コロンボ港―――
そこには自由イギリス海軍戦艦部隊が駐留していた。
「いいかッ!?ドイツの馬鹿どもがインド洋に来たら一隻残らず叩きのめすんだッ!!捕獲されてハーケンクロイツの旗を靡かせている味方でもだッ!!」
予備の会議室で艦隊旗艦のウォースパイトが叫ぶ。
それを尻目に、一人の女性が写真を見ていた。
「……ハウ、デューク、アンソン………」
女性はポロポロと泣く。
「……必ず…助けるから……」
女性―――プリンス・オブ・ウェールズはそう呟いた。
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