第二十五話 謁見と新型機
マリア皇女はネタです……。
ちょっとやり過ぎ感です。
―――6月15日帝都、帝国ホテル―――
帝国ホテルのとある一室に将達は集まっていた。
「……そろそろやな……」
将が呟くと、部屋の扉をノックする音が鳴る。
そして数人の人間が入ってきた。
陛下、近衛師団の兵士二人、そして……。
「母様ッ!!」
セイバーが驚く。
「え?母様って……もしかして……」
「はい、セイバー様の母親であるタチアナ皇后です」
将の呟きを由真が補足する。
タチアナ皇后は細身で背が高く、赤褐色の髪に、濃い青灰色の瞳をしていた。
「……セイバー。よくぞ御無事でした。そして立派に大役を果たせましたね」
「はい、御祖父様、御祖母様の仇を討ちました」
「マリア達も喜ぶでしょう」
タチアナ皇后が微笑む。
そこへ由真が将に小声で言う。
「(オリガ皇女様、アナスタシア皇女様は満州国の女王と首相をしています)」
「(え?ラストエンペラーの溥儀と違うん?)」
「(溥儀は満州国独立前に病死しました。なので、オリガ様とアナスタシア様の二人を満州国の女王と首相にして日本の防衛線にしたのです。いくらソ連も二人が女王と首相になればそう安々とニコライ二世皇帝の娘は殺せないはずなので。ちなみにマリア皇女様はロマノフ王朝時に皇帝一家のインペリアル・イースター・エッグを作った日本人の宝石細工師と結婚して横須賀にいます)」
「(……成る程な……)」
将は頷く。
その後、暫くの談笑後に陛下とタチアナ皇后は皇居に戻った。
―――横須賀航空基地―――
滑走路の駐機場に見馴れぬ航空機が翼を休めていた。
「あれが新型機と改良機ですか?」
将が空技の職員に尋ねる。
「はい、右から零戦三三型、雷電一一型、紫電一一型、陣風一一型、九九式艦爆三三型、九七式艦攻三三型です」
説明によると、雷電一一型は史実の二一型、紫電一一型は二一型(紫電改)だった。
零戦はエンジンを金星エンジン千五百六十馬力に換装して、機体に防弾装備を搭載している。(史実の零戦五四型)
陣風は史実の烈風と同じように両翼の真ん中から少し上に上がっている。
最大速度は六七五キロを出して武装は機首に十二.七ミリ機銃二門、両翼に三十ミリ機銃二門(ベルト給弾式、一門百五十発)を搭載している。
九九式艦爆と九七式艦攻は零戦と同じ金星エンジンを搭載して、速度は四八十キロまで上がった。
「本来なら彗星と天山が採用予定でした。ですが、日ソ戦争での航空機の損傷率が非常に高かったので、両機とも防弾装備の見直しをしています。エンジンも零戦と同じ金星エンジンなんですが、千五百六十馬力では馬力不足なので千八百キロ級の金星エンジンを開発中です。なので、彗星と天山はもう暫くかかります。この九九式艦爆と九七式艦攻は言わば時間稼ぎです。F―XでF―35を採用する場合、F―2の再生産での時間稼ぎと同じです。はよタイフーンに決めろや」
「成る程。(最後はスルー)両用の流星はどうなってるん?」
「機体はある程度は完成していますが、肝心の誉エンジンは戦闘機用を中心に生産していますのでまだ無理ですね。一応千五百六十馬力の金星エンジンを搭載して試験飛行をしてみましたが、速度は四八十キロ程度なので馬力不足です」
「そういえばジェット戦闘機はどうなってるんだ?」
華牙梨が尋ねる。
「史実の橘花、F86セイバーが完成して試験飛行をしていますが、まだまだですね」
空技の職員が溜め息をはく。
「ま、出来るだけ早く実戦に出せるように頼むわ」
「分かりました」
将達は採用された航空機に乗り込んで慣熟訓練をした。
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