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第十九話 亡命政府発足と侵攻





―――1941年10月30日、カナダ首都オタワ―――


オタワの町並みに冷たい木枯らしが吹き荒れ、枯れ葉が街を覆わんばかりに空を舞っている。


そんな風景を窓から見ながら、自由イギリス政府首班であるウィンストン・チャーチルはイギリス本国を脱出する際に国王陛下ジョージ六世からの勅命を思い出した。


『本国を除くイギリス連邦各国を取り纏め、連邦の瓦解と連邦領土へのドイツ軍の侵攻を食い止めよ』


チャーチルは何とかながらにカナダに逃げれたが、その代償として、南アフリカとエジプトを手放す事になる。


エジプトはリビアから攻めてくるドイツ軍の猛攻に耐え切れる事は出来ず、在エジプト軍は中東へ、アレクサンドリアにいたH部隊と地中海艦隊は少々の損害だけで済んでインド洋に逃げた。


しかし、逃げる際にスエズ運河を爆破したので多少の時間稼ぎになった。


残存艦隊は自由イギリス東洋艦隊の名に変えてインド洋の防衛を背負う事になる。


それから数日後、チャーチルはホワイトハウスを極秘に訪れ、ルーズベルトに「ドイツに宣戦布告するか武器を輸出してほしい」と頼み込んだ。


ルーズベルトは二つ返事で頷いた。


ルーズベルトが選んだのは武器輸出法の成立だった。


アメリカ国民は戦争を望んでいなかった。


ルーズベルトは直ちに自由イギリス政府に武器を輸出した。


また、チャーチルは雷撃機の旧式に頭を抱えた。


そしてチャーチルが下した決断は………日本の九七式艦攻のライセンス生産だった。


仲は悪いが敵ではない。


チャーチルはそう判断した。


打診された日本も当初は困惑したが、米内も将に尋ねるしかなかった。


「まぁ今は敵ではないですから大丈夫じゃないですか?」


将にそう言われた米内も仕方ないとばかりに許可したのだった。


ドイツから何も言って来なかった。


ちなみに日本の九九式艦爆と九七式艦攻は色の変更をしており、F―2と同様の洋上迷彩をしていた。


話しがそれた。






それは突然の事だった。


チャーチルとルーズベルトとの交渉から三ヶ月後………ルーズベルトは亡くなった。(死因は脳卒中)






―――首都オタワ―――


「何ッ!?ルーズベルト大統領が亡くなっただとッ!?」


チャーチルは突然の事に暫し唖然とするしかなかった。


「……だが諦める訳にはいかん」


チャーチルは気を取り直して、副大統領から大統領になったヘンリー・A・ウォレスに武器輸出の承諾を迫った。


しかし、ウォレスは国民を戦争に行かすような事はしないと表明。


自由イギリスに支援した武器の輸出もルーズベルト政権より半分に萎縮され、最終的に1944年1月に打ち切られる事になる。


しかし、チャーチルに救いがあったのは米軍から提供されたクレムソン型駆逐艦四十隻と二隻の護衛空母だった。


この二種類の軍艦のお陰で輸送船団の護衛をしていた艦隊型駆逐艦が艦隊に配備する事が出来たのだ。


ドイツ軍はエジプトを攻略完了後、中東へ渡るために準備していたが、一年間延期された。


独ソ戦が始まったのだ。






1942年1月5日、ドイツはソ連との不可侵条約を破って一斉にソ連領土内に攻め込んだ。(大量の冬服を装備している)


これに立ち向かうソ連軍はドイツ軍の侵攻を予測して兵力の集中を終えてはいたものの、戦線を形成する軍団は強固とは言えなかった。


スターリンによる高級将校「粛清」の痛手から回復しておらず、まともに戦争の出来る指揮官の数が圧倒的に不足していたのだ。


そのため、一度戦線が崩れれば立ち直す事が出来ず、ドイツ軍の包囲と殲滅を許してしまった。


ドイツ中央軍集団は3月までにスモレンスクを、南方軍集団はキエフを陥落させ、北方軍集団もレニングラードを包囲下に置く事に成功した。


そして3月10日、勢いに乗る中央軍集団はモスクワ攻略作戦「クレムリン」を発動させる。


後退に後退を重ねたソ連軍に、歴戦のドイツ機甲師団を撃破する力はもはや残されてなかった。


しかも、彼等が期待していた極東方面の援軍も到着しなかった。(ノモンハンでの戦いで、日本の機甲師団を恐れて援軍を出せなかった)


モスクワ前面に展開した守備隊のソ連軍はドイツ機甲師団の攻撃にあい、各所で包囲殲滅又は捕虜が相次ぎ、結果として四十万の兵士が捕虜となった。


そして3月20日、ソ連軍の防衛線を貫いた中央軍集団の先鋒部隊がモスクワまで約五十キロにまで進出した事を知ったスターリンは、遂にモスクワの放棄を決定した。


スターリンはある場所を目指した。






―――満州里―――


ゴゴゴゴゴゴゴッ!!


「……おい、何か地響きがしないか?」


「本当だな……」


「おいッ!!あれを見ろッ!!」


上等兵の指差す先には砂煙が吹き荒れた国境だった。


そして、その砂煙が晴れた時、何百両ものソ連T―34中戦車がいた。


『ーーーッ!?』


監視所にいた全員があまりの事に唖然とした。


しかし、先程の上等兵がいち早く我に返り指示を出す。


「全員退避だッ!!此処にいては狙われるぞッ!!」


他の仲間も慌てて監視所を出るが遅かった。


ドウゥゥゥーーンッ!!


ズガアァァァァァンッ!!


T―34中戦車の主砲弾が監視所に降り注いで彼等を瞬く間に肉片に変えてしまった。






ソ連軍が満州に侵攻した。







御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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