第十六話 紀元二千六百年特別観艦式
……何かうやむやになってしまった……OrZ
―――1940年(昭和15年)10月11日、横浜沖―――
そこには多くの獰猛達がいた。
陛下を乗せた御召艦比叡。
先導艦高雄。
供奉艦加古、古鷹。
第一列に赤城、飛龍、蒼龍、瑞穂、五十鈴、伊六八、以下潜水艦9隻、駆逐艦沖風、峯風、矢風。
第二列に長門、陸奥、伊勢、山城、、摂津、涼風、江風、村雨、春雨、夕立、五月雨、漣、綾波、浦波、初雪、白雪、吹雪。
第三列に金剛、榛名、熊野、鈴谷、最上、利根、筑摩、陽炎、大潮、朝潮、荒潮、満潮、霰、不知火、黒潮、雪風、初風。
第四列に千歳、神威、千代田、多摩、常磐、伊十六以下潜水艦6隻、如月、弥生、望月、睦月。
第五列に日向、沖島、蒼鷹、八重山、天龍、神風、沼風、波風、野風、伊十五以下潜水艦3隻、掃海艇一号〜六号。
番外に長鯨、迅鯨、駒橋、勝力、明石、間宮、早鞆、尻矢、宗谷、他4隻の獰猛達が紀元二千六百年特別観艦式に参加していた。
計98隻、航空機533機である。
―――御召艦比叡―――
「山本。見事な陣容だな」
「はい」
陛下が山本に言う。
二人の脳裏にはこれらの獰猛達が矢尽き、刀折れで沈んでいく様子が見えた。
「……破滅などさせてたまるか……」
陛下が呟く。
「ところで、土方がいないようだが……」
「彼等ならもうすぐ来ます」
ブオォォォォォーンッ!!
航空機の爆音に陛下が空を見上げると、六機の零戦がいた。
「……あれか」
陛下は笑みを浮かべる。
「本来なら海自の艦艇も参加してもらいたかった……」
「陛下。それは仕方ありません。いつ何時、アメリカ等のスパイが目を光らせていますから」
「分かっておる。……しかし、全てが終わったら参加してもらいたいものだ」
陛下は参加している獰猛群を見ながら呟いた。
―――夜8時御召艦比叡会議室―――
「陛下、お茶です」
「うむ」
艦魂である比叡が陛下にお茶を渡す。
「陛下も艦魂が見えているのですか?」
将が質問する。
「うむ、天皇家は代々に渡って霊的な物が見えるのだ」
「成る程」
「まぁそれはいい。……欧州はどうなっているんだ?」
陛下が土方に問う。
「……ドイツ軍が若干優勢です。しかし、イギリス本土にまだ上陸していないので五分五分です」
9月15日に発生したバトル・オブ・ブリテンの日はドイツ空軍の勝利だった。
といってもギリギリといえる勝利だったが……。
連日まで、日本義勇空軍がレーダー基地や飛行場をドイツ空軍急降下爆撃機のスツーカと共同で爆撃していたのだ。
この爆撃のために、迎撃の要であるレーダーが破壊されてしまい、イギリス空軍は大敗してしまった。
しかし、ドイツ空軍もイギリス軍の対空砲火によりかなりの損害を出してしまったのだ。
この他にも、日本義勇空軍に補充機として渡したフォッケウルフFw190A―1十六機も活躍した。
活躍といっても九九式艦爆とスツーカの護衛なので空戦にはあまり参加してない。
が、爆撃機に近寄ってきたスピットファイヤーとハリケーンを爆撃機に寄せつけなかった。
一時、陸海軍の一部が「Fw190を日本でライセンス生産してはどうか?」と騒いだ。
だが、Fw190は海軍の空母艦載機に重要な航続距離が短く、約千四百キロしかないので却下された。
局地戦闘機の線もあったが、既に雷電、紫電の試作機が完成して試験飛行をしていたので却下となった。
陸軍も、疾風や五式戦闘機(後の飛燕)の試作機があったので却下となった。
「まぁ、ビスマルクがいるのでイギリスの降伏も時間の問題かと思います」
チャーチルの悩みの種はビスマルクだろう。
「そうか。わざわざすまなかったな」
「いえ、これが軍人の仕事です」
翌日、陛下は比叡を降りて皇居に戻った。
しかし、一ヶ月後の11月15日、ヒトラーはイギリス本土上陸を延期した。
チャーチルのしぶとさにヒトラーは負けたのだった。
しかし、ヒトラーはイギリス本土攻略の矛先を変えただけで北アフリカ、イラク、イランに狙いを変えた。
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