第十二話 南京ヲ攻略セヨ
何か話しが簡単なのは気のせいやろか?
―――2月10日上海沖―――
空母蒼龍、飛龍を中核とする第二航空戦隊は飛行甲板に飛行機を並べていた。
周囲には重巡青葉、摩耶、駆逐艦十二隻の護衛艦艇がいる。
飛龍の飛行甲板では搭乗員達を指揮所に集まっていた。
山口少将が艦橋から降りてきて、訓示を行う。
「諸君ッ!!いよいよ敵の首都を攻略する日がきたッ!!住民が住む地区は絶対に攻撃をしてはならないッ!!それだけ覚えおくように。以上だッ!!」
「敬礼ッ!!」
搭乗員達は山口に敬礼後、愛機へ駆け寄る。
ブオオォォォンッ!!
『発艦セヨ』の青い旗が降られると、将が乗る零戦が一番に飛行甲板を蹴って、大空へと舞う。
「頑張りなさいよ」
飛龍の防空指揮所で艦魂の飛龍が敬礼をしながら将を見送る。
ちなみに零戦の両翼には六十キロ爆弾二発が搭載されている。
どうせ、戦闘機は出てこないだろうと判断したのだ。
攻撃隊は爆装零戦三十六機、九九式艦爆五十四機、九七式艦攻五十四機である。
さらに、九州の鹿屋海軍航空基地から九六式陸攻五十四機と上海上空で合流。
一路、首都南京を目指した。
一方、首都南京では混乱していた。
南京守備隊司令官の唐生智中将は史実通りに南京を脱出していた。
末端の兵士達は不安になっていた。
そこへ、将達の攻撃隊が来た。
「全機突撃せよッ!!」
爆撃隊隊長で蒼龍艦爆隊隊長の江草隆繁大尉が後ろの偵察員に指示を出す。
「住民は狙うなよ」
江草はそう言いながら中隊を率いて急降下を開始した。
「よし、狙うは城門やな」
将は降下を開始する。
高度計はグルグルと下がっていく。
「撃ェェェッ!!」
ヒュウゥゥ……ズガアァァァンッ!!ズガアァァァンッ!!
放たれた二発の六十キロ爆弾は城門に命中。
城門は崩れていく。
上空に舞い戻ると、九七式艦攻と九六式陸攻が水平爆撃を開始した。
ヒュルルル……ズガアァァァンッ!!ズガアァァァンッ!!
恐らく、九六式陸攻内にいる従軍カメラマンがフラッシュを焚いてるだろう。
今回の南京攻略には三百人余りの従軍記者やカメラマンがいる。
敵国の首都を占領するのは新聞社にとってはまたとないチャンスだ。
そのために多くの記者やカメラマンがいるのだ。
だが、日本軍の思考は違う。
史実みたいに『南京の市民を大虐殺したッ!!』とか言われないように、市民が生存している写真を撮らせたいからだ。
ちなみに作者は南京大虐殺は無いと信じている。
さらに記録映画の撮影をするカメラマン等が攻略部隊にいる。
話を戻す。
既に南京の城壁は崩れ、中国軍は混乱していた。
「戦車隊を先頭にして全軍突撃せよッ!!」
南京攻略部隊司令官の松井石根大将は好機と判断して突撃命令を出した
「全車につぐ。これより敵首都南京に突撃する。全車、俺に続けッ!!」
戦車隊指揮官の宮沢少佐は部下にそう告げると、閉ざされた門に向かって砲撃する。
ドウゥゥゥーーンッ!!
ズガアァァァーーンッ!!
門は吹っ飛ぶ。
「行くぞッ!!」
戦車隊は勢いよく突入する。
「戦車隊に遅れを取るなッ!!」
連隊長の言葉に歩兵達は次々と南京の市街地に突入する。
「便衣隊には気をつけや」
南京の上空で零戦の操縦席で座る将が呟く。
将ら六機は南京上空で大きく旋回をして飛龍に帰還した。
便衣隊を完全に掃射したのはそれから一週間後だった。
一週間の間に兵士の死傷者は百名弱。
一般市民の死傷者は約二百名。
そのうち、日本軍の誤射は十一名。残りは全て、便衣隊に殺害もしくは重傷を負わされたのだ。
南京から成都に首都を移した中国政府は「日本軍は南京の市民を無差別に約三十万人も虐殺した」と表明を発表した。
さらに、日本軍が虐殺したかのように虐殺の写真を公開したが、通州同様にぼかしていた。
アメリカのルーズベルト大統領は日本を強く非難した。
日本政府は「事実たる根拠がないのに非難するのはおかしいではないか」と反論。
日米の関係は一気に急落していった。
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