第九話 ノモンハン事件後編
ここでお知らせ。
後、二〜三回程の転移現象を行おうと思いますが、何を転移したらいいですかね?
一応、潜水艦と戦車、戦闘機を転移しようと思うんですが、艦艇も迷います。
―――ノモンハン上空―――
「うへ〜地上は蟻みたいやな」
将は零戦の操縦席から風防を開けて地上を見ていた。
『将、下を見てないで周囲を偵察しろ』
将の右にいる零戦から叱責が飛ぶ。
「分かってるよセイバー。まぁすぐ来るやろ」
『へへ、久々の空戦やな』
『華牙梨、落とされんようにしときや』
『分かってるわ誉』
『てかこの会話は戦闘中に話すことじゃないぞ』
『もう無理ですよ玲於奈』
分かると思うが、上から華牙梨、誉、玲於奈、由真である。
あの後、五人は同じ同性のせいなのか三日も経つと仲良くなっていた。
将とは一ヶ月後だが……。
それはさておき、将達の零戦隊は爆撃隊の援護ではなく、ノモンハン上空での制空任務である。
キランッ!!
「ん……、来たな。全機につぐ、敵さんのお出ましや。しっかりと歓迎したろうやないかッ!!」
現れたのはI―16戦闘機八十七機である。
「全機、二機ずつで応戦しろッ!!行くでセイバーッ!!」
『分かったッ!!』
将とセイバーが二機一組を組む。
「行くぞッ!!」
セイバーはスロットルレバーを前に押し出す。
零戦一一型は咆哮を上げてI―16の編隊に突撃する。
【零戦一一型は史実の零戦五二型です。ただし、機首は七.七ミリではなく、十二.七ミリであり、重量が増加して最大速度が五四五キロである】
「くらえッ!!」
ダダダダダダダダダッ!!
セイバーが操縦桿上部にある十二.七ミリ発射ボタンを押し、弾丸が出る。
バキィッ!!
機銃弾がI―16の左付け根を貫き、左主翼が吹き飛んだ。
「よーしッ!!」
「油断するなセイバーッ!!」
ダダダダダダダダダッ!!
セイバーが後方を振り返ると、一機のI―16がエンジンから火を噴きながら墜落していく。
「撃つ前はちゃんと後方を見ろって言ったやろッ!!」
「う…すまん」
将の叱咤にセイバーは丸くなる。
「たく……。次からは気をつけや。初撃墜おめでとう」
「ああッ!!」
セイバーは将に誉められて、顔を赤くした。
「んじゃ行くで」
「おぅ」
その後、零戦隊は見事にI―16を全機撃墜に成功した。
その中でも将は五機。誉は三機、華牙梨は三機、玲於奈は四機、セイバーは四機、由真は三機を落とした。
また、補給基地の爆撃にも成功し、ソ連軍はこれ以降、補給がないため苦しくなるのだった。
一方、地上でも日本軍とソ連軍は激突していた。
―――ノモンハン―――
「全軍進撃ッ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
日本陸軍は九〇式、七四式戦車を戦闘にして進撃を開始した。
ドウゥンッ!!
ドウゥンッ!!
ソ連軍はBT―5、BT―7戦車とT―26軽戦車が撃ち返す。
ガキィィンッ!!ガキィィンッ!!
しかし、九〇式と七四式戦車の装甲を貫くことは出来なかった。
「何だとッ!!」
ソ連軍の戦車兵達は驚愕した。
自動車後進国の日本がこんな戦車を作ることを信じられないのだ。
「撃たれたら撃ち返せだな」
戦車部隊指揮官の加藤一馬大佐がニヤリと笑う。
「目標ッ!!正面、敵戦車部隊。撃てェェェッ!!」
ドウゥゥゥゥゥンッ!!
加藤大佐が搭乗する九〇式戦車の百二十ミリ滑腔砲が火を噴く。
ズハァンッ!!ズハァンッ!!ドグアァァァーーンッ!!
何と、砲弾はT―26の装甲を貫き、後ろにいた別のT―26をも貫いた。
加藤大佐に続けとばかりに、百二十ミリ滑腔砲、七四式の百五ミリライフル砲が火を噴いた。
ドウゥゥゥゥゥンッ!!
ドウゥゥゥゥゥンッ!!
ズハァンッ!!ドグアァァァーーンッ!!
ズハァンッ!!ドグアァァァーーンッ!!
BT―5戦車、BT―7戦車、T―26軽戦車が立て続けに撃破されていく。
また、八九式装甲戦闘車が三五ミリ機関砲を装甲車に狙いを定めて撃破していく。
次々と撃破していく軽戦車や装甲車を見て、ソビエト・モンゴル軍集団司令官のジューコフは遂に撤退を決意した。
だが、撤退を許さない日本軍は追撃を開始。
補給基地を叩いた航空隊は燃料、爆装の準備が完了すると直ちに出撃。
二百五十キロ、六十キロ爆弾を逃げるソ連軍に投下しまくった。
さらに、零戦、九六式艦戦、九七式戦が機銃掃射を行った。
ノモンハンのソ連軍はボロボロに敗れてしまった。
―――モスクワ―――
5月11日から始まったノモンハン事件は一ヶ月後の6月15日、モスクワにおいてソ連のモロトフ外相と東郷茂徳駐ソ大使が会見し、ノモンハン事件に関する話し合いが行われた。
満州国とモンゴルの国境についてはソ連とモンゴルが、日本側の主張をすんなりと呑んだ。
その結果、国境線は、日本と満州国が主張していたハルハ川に置くことになった。
また、北樺太を譲ると言い出して日本政府を混乱させた。
今回は事件なので戦争までいっていないので領土の割譲を考えてなかった。
首相の米内は将と相談した。
「ソ連の北樺太割譲をどう思うかね?」
「恐らく、日本に恩を売っときたいのでしょう。9月1日に第二次大戦が勃発します。ソ連はポーランドに侵攻しますからその後ろを安全にしたいのでしょう」
「成る程。それに備えて我が日本も満州に陸軍を増やすか」
「それに北樺太は油田がありますから例え、米国と戦争になった場合でも継続は出来ます」
「うむ、ならば北樺太の割譲は受けよう」
そして、モスクワで休戦協定が結ばれ、北樺太は日本の領土となった。
―――日本軍損害―――
戦闘機0。
爆撃機三機。
戦死者千名弱。
負傷者五百名弱。
戦車五両(八九式三両、九七式二両)
―――ソ連軍損害―――
戦闘機約九十機。
爆撃機多数。
戦死者約八千名。
負傷者約一万五千名。
装甲車両約八百両。
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